晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

情況ノート第1回

2007-05-04 14:26:50 | Weblog
 近年、社会の格差、不平等に関する議論が盛んである。

 1955年頃からの長期にわたる高度経済成長、その後の石油危機を減量経営で乗り切った70年代末にもマスメディアで「一億、総中流化」と言われた時代があった。
 当時は、「新中間論争」と呼ばれた。この論争は、結果的には、中流意識が本物なのか、幻想なのかの決着を見なかった。

 80年代に入り、日米の自動車摩擦に象徴されるように、日本経済の対外的な競争力の問題や、国内的には「消費の多様化、個性化、高度化」が喧伝された。「違いのわかる・・」CMもこの頃のこと。

 1990年、バブル景気の崩壊、その後長期不況が続いた。1998年橘木俊詔「日本の経済格差」(岩波新書)が話題となる。①日本は不平等度の最も高いグループに属している。②80年代後半のバブル期に不平等化に向かった。③土地の相続などを通して、資産の世代間移転がなされ、「階層の固定化」が進んだ。

 経済不況と世襲化が同時並行で進み、「努力すれば何とかなる」時代から、「努力してもしかたがない」社会、さらに「努力する気も無い」社会へと変わった。
 
(参考)
 WASP:白人、アングロサクソン系、プロテスタント(アメリカ社会のエリート層を示す。)
 JWASP:日本のエリート層を示す新しい言葉、ホワイトカラーの家に生まれ、アメリカナイズされた生活をし、サバーバン=山手育ちであり、プライベートスクール=私立学校に小さい頃から通っている人

「戦後日本における階層構造の変容ー階層秩序化する日本社会ー」田中史郎より



 私たちはいったいどんな時代を今、ここに、生きているのだろうか。その答えを見つけるために、情況ノートを試行することにした。


 明日は、豊平川ラン&ウォーク ハーフを走るぞ。楽しく走ることを目標に。


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『日本の青空』

2007-05-03 20:50:31 | Weblog
 今日は、憲法記念日、日本国憲法が施行されて60周年の日、映画『日本の青空』(大澤豊監督 2007年作品)を観た。

 現在の日本国憲法は、アメリカ占領軍(GHQ)に押し付けられたものだから、日本人自らが作る憲法が必要というのが、改憲派の主張である。

 これに対し、この映画は、在野の憲法研究者「鈴木安蔵」の仕事に焦点をあて、高野岩三郎らとの憲法研究会で作った「憲法草案要綱」(1945.12.27)が、1週間で作り上げられたGHQ案の元になった。

 従って、今の憲法は、日本人の考え方が反映されており、単純な押し付け憲法ではないというものである。



 映画の中でいくつか確認したい史実や、現在の憲法には天皇制の容認などの矛盾がある。
 しかし、この映画の上映運動が拡大し、人々の関心事項に憲法がなり、正確な事実や正確な論理の整理が少しづつでも進んでいけば良いと思う。

 大きな声の出ないおちょぼ口の安倍ちゃんは、紛れも無く祖父岸信介のDNAを継承している。彼の「戦後レジームの転換」という野望に対決するには、この映画の上映を企画している「9条の会」の方々は、少し上品過ぎるかも知れない。

 5.26~6.15スガイディノスシネマ(札幌地下鉄白石駅)で公開されます。

 

 
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『鉄道ひとつばなし2』

2007-05-02 22:23:23 | Weblog
 『鉄道ひとつばなし2』(原武史著 講談社現代新書 2007年刊)

 著者の原氏は、いわゆる鉄道マニアではなく、天皇制など日本政治思想史の研究者。氏が「鉄道」を思索の手がかりのひとつにしているのが、小さなエッセイが集められたこの著書から良くわかる。

 氏は、歴史、思想、都市と郊外、東京と地方などを「鉄道」から分析していく。



 
 数年前、道北の稚内までの鉄道の旅で感じたことは、今は、鉄路を剥がしてばかり、この巨大な装置としての鉄路を敷いた時代が持っていた未来へのエネルギーの源泉は何だったのだろうかと。明治の思考スパンの偉大さに敬服。
 


 駅舎やホームは、その時代を表している。札幌駅のJRタワーはまさしく平成の産物。でも、旧札幌駅の駅舎や0番ホーム、地下道、北口の様子もしっかりと私たちの昭和としての記憶の中にある。


 鉄道をめぐる記憶はなぜこんなに鮮明なのだろうか。そして、鉄道を中心に思考が廻るのだろうか。

 車窓からの風景、時刻表での旅行計画の空想、駅弁、汽笛の音、トンネルの中の煙と臭い、チッキ、連絡船、海峡ラーメン、鈍行列車・・・
 

 
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『憲法九条を世界遺産に』

2007-05-01 20:08:28 | Weblog
 共産党の志位委員長は1日、全労連のメーデーで、いわゆる従軍慰安婦問題に対する安倍首相の姿勢について「戦争に無反省の勢力が憲法を変えて武力で海外にうって出る。美しい国どころか恐ろしい国づくりだ」と批判。(以上毎日新聞より)



 「恐ろしい国づくり」とは、的確な表現だと思う。



 『憲法九条を世界遺産に』(太田光、中沢新一 集英社新書 2006年刊)

 3日の憲法記念日で憲法は施行60年を迎える。憲法関連の書籍がたくさん出版されている中から、売れているこの1冊を選んだ。そして、良かった。

 爆笑問題の太田光とは一体何者なのだろうか。かつては、コロンビアトップ、立川談志、ビートたけしと世相を批評する芸人はいたが、少し次元が異なるようだ。

 今どき、誰も振り向きもしない九条をネタに孤軍奮闘、決死の覚悟で語っている。大衆に媚びを売っていない。笑いを取ろうとしていない。その存在が笑いなのだ。

 現代のドンキホーテとして、時代と格闘する姿で芸を表現している。



 太田光と、同じ主張をしているように見える護憲派(戦後民主主義擁護派)とを比較するとその運動の限界が見えてくる。(ここは、自戒も含む。)

 その受身の被害者スタイル。
 平和を願う、戦争は否だ、血を流したくない、死にたくない。悪いのは、自民党、政治家、アメリカ。私たちが正しいのに誰もわかってくれない。

 そこに、欠落するのは、覚悟と犠牲。異なる考えの勢力との覚悟の勝負。上品ぶっていたら負ける。




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