晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

今尾恵介 『地図と鉄道省文書で読む私鉄の歩み 関西(1)阪神・阪急・京阪』

2017-05-17 20:18:50 | Weblog

自民党内での派閥再編の動き。突然のアへ自らによる憲法改悪提起、今でなくてもいい眞子様婚約予定発表。マスコミの注目を誘導しようとしているのは明らか。森友、加計学園問題と無能大臣たち足を引っ張るので、アへ政権が少しぐらついてきていると感じる。ただ、決定的なのはキングメーカーである米国トランプ政権が日ロ交渉を含めてどう考えているかだと思う。

 

『地図と鉄道省文書で読む私鉄の歩み 関西(1)阪神・阪急・京阪』(今尾恵介著 白水社 2017年刊)         

関西小旅行中に、京都駅近鉄名店街みやこみちにある「ふたば書房京都駅八条口店」で購入。今回の旅でも、近鉄、京阪、阪急、京福(嵐電)を利用したので、それぞれの私鉄の成り立ちなどが知りたくなった。

本書で引用されている鉄道を創設するための各鉄道会社から鉄道省に提出された申請文書や路線の変更申請などは書体が古く読みにくいが、付帯された地図と共に読むと、当時の沿線の社会状況などもよくつかめる内容になっている。各社、各路線には固有の事情と歴史があり、先人たちが苦労して今の形を作り上げたことがわかる。

現在は資本が統合されたり、経営が変わったりしているが、昔はプロ野球球団の多くを経営していたことからもこの国の経済界の中で鉄道会社の力がすごかったことがわかる。関西では、近鉄、南海、阪急、阪神、関東では東急、国鉄、西武、九州では西鉄と。

今度旅行するときには、本書に紹介された地点を通過する際に、その成り立ちなどを思い出したいと思う。僕は、名所などをバスで効率良く訪れることのできる企画ものの旅行に参加したことはないが、旅行前に地図や時刻表で交通機関を調べるのも楽しみと思っている。

引き続き刊行されるであろう『関西(2)』には、近鉄、南海、叡山電鉄などが紹介されるといいのだが。また著者は、『日本鉄道旅行地図帳』も著しており、本書の傍らに置いて読むとより地理的な位置関係などがよく理解できる。

 

 

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桐野夏生 『夜の谷を行く』 連合赤軍事件

2017-05-11 09:44:51 | Weblog

先日、20数年ぶりに当時仲間だった人の一部で「再開の夕べ」を催した。懐かしさ、お互いの現状報告、姿は年を取ったが、中身は相変わらずだなあと。でも後始末もしないでいなくなりやがってという思い。僕などは、変わり身早く巧くやりやがってと思われているのだろうなあ。

 

『夜の谷を行く』(桐野夏生著 文芸春秋 2017年刊)

さすがは、桐野夏生、最後までグイグイと一気に読ませる。★★★★★!

ストーリーは、1972年連合赤軍、あさま山荘事件から40年後、2011年永田洋子の獄死が報じられたところから始まる。追い打ちするように3.11東日本大震災、ひとつの時代が終るのか。それまで名前を変え社会の片隅でひっそりと生きてきた事件の関係者たちがおのれの人生の終盤を迎えて動き始めた。

登場人物たちは、何らかの形でこの連赤事件に関係しており、それぞれが心の奥底で引きづっているものがある。現在を目立つことなく平凡に生きようとしている自分。しかし、ひとたび40年前に時間を引き戻されると、その頃の自分がにわかに持ち上がってきて、わだかまりとして残っている他者に対する鋭い批判、自己に対する悔悟が噴出する。

配置された登場人物たちの距離感が読みどころ。何らかの意図をもって自分に接近してきているのかと疑心暗鬼に囚われるが、実は無関係、自己の中で作り出した幻想。中々正体がわからず自分との関係性が見えなかった人物が実は・・・最後の最後に見事な謎解き。

 

僕は、東日本大震災で時代が変わったとか、思想に変化が起きたなどと言う人を信用しない。一時的に反原発で盛り上がっていた人たちも案の定持続力が切れてきているように感じる。そういう輩は、他国からのミサイル一発で今度は排外主義を声高に叫ぶのだろうから。

僕の連赤事件に対する問題意識は、左翼組織の病理解明だ。親がソ連共産党であれば、その子は日共、その孫は新左翼、その中に連合赤軍がいる。連綿と引き継がれたDNAの解析だ。桐野氏は、それを完全に私的物語にしてしまった。でも見事なものである。

なお、連赤関係についてはこのブログで、2008.4.29に『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(若松孝二監督 若松プロダクション・スコーレ株式会社製作 2007年作品)、2014.4.30から2014.7.10まで5回にわたり『レッド Red 1969-1972 1から8』(山本直樹著 講談社イブニングKCDX 2007年から2014年刊)、2014.6.14に『落ちたって、いいじゃん! 逆転発想にこそ南関中学合格のカギがある』(金廣志著 角川書店 2009年刊)を書いた。

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