いつの間にか、夜の雨が降り出していました。本を読んだり、文章を書いたりしていたので、気がつきませんでした。雨粒が窓をたたく音、久しぶりに聞いたようです。猫の額より狭いマイガーデン。これで、ししとうとインゲン豆がググッと伸びるでしょう。もう少し雨が強くなったら、車庫から車を出します。一晩置くと自動洗車が終了です。
『やくざと芸能と 私の愛した日本人』(なべおさみ著 イーストプレス 2014年刊)
著者なべおさみ。人懐っこい丸顔が浮かんだ。そういえば、なべおさみという芸人がいたな。最近テレビに出ていない。どうしてだったかな。なべやかん(息子)は、出ていたっけ。世間からすっかり忘れられてしまった過去の人。
なべおさみが大変面白い本を書いた。芸能界とやくざの関係は、在日など芸能人の出自と合わせて一種のタブーだと思う。昔なら、この分野は、竹中労や猪野健治あたりが得意としていたと記憶する。本書は、そのタブーに挑んでいるというより、なべ自身がその世界に生きる人だったことに驚く。
顔に似合わずなべは中学生の頃から新宿の遊び人。人に惚れるタイプで、それがやくざだろうが、政治家だろうが、実業家だろうが、先入観を持たない。子どもの頃から現在までのエピソードが書かれていて、なべがつきあいのある芸能人の実名がばんばん出てくるが、そのほとんどはやくざと関係があることを示唆している。
ただ、本書の中で、理論編ともいうべき『第三章「本物」やくざをおしえよう』では、この国の歴史を調べており、渡来人、ユダヤ人、アウトローの発生、やくざの起源、被差別、身分制度、天皇制などが分析されており、なべの推論も含めてこの国の裏面史となっている。良く勉強していると感心させられる。
本書は、久しぶりに読んで楽しん本であった。推薦(☆☆☆☆)
私も仕事上様々な世界のひとと接してきたが、ひとを肩書や他人の評判で決めつけてはいけないと思っている。自分で付き合って評価を決めてきた。ひととの関係で、私がずっと心がけていることは、シンプルに「嘘はつかない」「約束は守る」のふたつだけである。