この『晴走雨読』は、2006年4月に開始して以来、この4月で13年目に入る。12年間で1,206本を掲載した。トータル閲覧数(PV)832,004、トータル訪問者数(IP)273,782人。この間の変化としてホームページやブログなどより言葉を短く言い切るツイッターなどが好まれるようになり、トランプ氏のような他者に対して刺のある言い方が流行っているようです。僕はもうしばらく続けるつもりですので、改めまして読んで下さっている方に感謝いたします。
『京都の凸凹を歩く 高低差に隠された古都の秘密』『京都の凸凹を歩く2 名所と聖地に秘められた高低差の謎』(梅林秀行著 青幻舎 2016年、2017年刊)
『ブラタモリ』というNHKの秀逸な番組がある。タモリさんが全国を訪ね歩き、「土地の記憶」を地形や地質などから読み解く。著者の梅林氏は、『ブラタモリ』の京都編で案内人を務めた在野の研究家である。肩書は、京都高低差崖会崖長。僕は、『ブラタモリ』の功績は、全国で地道に研究している人、特に地質や地理、そして中々目立つことの少なかった学芸員という職業の人たちに世間の光を当てたことだと思っている。
僕は、縁がありここ何年か続けて京都に行く機会がある。空いた時間にはあちこちを歩いてきたが、その中には本書に取り上げられたところもある。
巨椋池(おぐらいけ)の項に興味を魅かれた。巨大な湿地だった所を戦前に干拓して農地や住宅地に変貌させた。僕が行ったのは、近鉄京都線向島駅から填島というあたりだが、その周辺は豊臣秀吉の頃、伏見を首都にするため数々の巨大土木事業が行われたところである。秀吉が行った改造には、伏見城の別荘として向島城の築城、宇治川の流路変更、観月橋の架橋、伏見に繋がる堤防道路などがある。
タモリは、秀吉はデベロッパーだという。京都を巡ると秀吉が開発した痕跡が数々ある。そしてそのスケール飛びぬけているのだ。本書でも、伏見、聚楽第、豊国神社の大仏、御土居の項がある。
翻って、僕らのクラス北海道の場合は、本州に比べて歴史の厚みが薄いが、切口次第では眠っている意外な「土地の記憶」を呼び覚ますことができるのではないか。『札幌の凸凹を歩く』は成立するかな。