放送大学の新学期が始まった。第1期は、『歴史の中の人間』と『現代の国際政治』の2科目を選択した。僕は、現在のウクライナ情勢に直面して、一体何のために学んでいるのだろうか、と自問を繰り返している。知識のための知識ではなく、垂れ流される圧倒的な情報の中で、一体何が真実なのかを見極めること、もっと身近な問題で当事者となった場合に、他者の考えに右往左往しないで自分なりの判断ができること、そうなりたいと想う。
「SAMEJIMA TIME」(鮫島浩) ロシアのウクライナ侵攻 その3 アゾフ大隊 公安調査庁
侵攻当初は、テレビ・ラジオ、新聞などの報道は「ウクライナ=100%善、ロシア=100%悪」一色だったが、月刊誌などの特集ではかなり事態の捉え方が相対化されてきて、言説が多様化してきている。
このことで象徴的なのは、「アゾフ大隊」なる名称がマスコミに出てきたことだ。
アゾフ大隊の存在は、この国の政府機関である公安調査庁もしっかり把握していて性格づけもされている。(以下、引用)『国際テロリズム要覧2021』の「極右過激主義者の脅威の高まりと国際的なつながり」に「2014年,ウクライナの親ロシア派武装勢力が,東部・ドンバスの占領を開始したことを受け,『ウクライナの愛国者』を自称するネオナチ組織が『アゾフ大隊』なる部隊を結成した。同部隊は,欧米出身者を中心に白人至上主義やネオナチ思想を有する外国人戦闘員を勧誘したとされ,同部隊を含めウクライナ紛争に参加した欧米出身者は約2,000人とされる」
公安調査庁のHPに掲載されていることを知ったのは、鮫島浩氏のHP『SAMEJIMA TIME』2022年4月1日付け「ウクライナに跋扈するネオナチを陰謀論で片付けていいのか?トランプ復活を恐れるバイデンと欧米メディア」という記事だ。
開戦時、プーチンの「ネオナチとの戦い」という言葉を聞いた時には、何という寝言を発しているのかと思ったのだが、それは決して虚言ではなかったということだ。そして、このアゾフ大隊の存在がプーチンに侵攻の口実を与えたのだ。公安調査庁の見解とプーチンの考えが一致している。これは政府にとっては不都合だ。
さらに続きがある。何と公安調査庁は4月8日にこの部分をHPから削除した。では、なぜ削除したのだろうか。ネオナチが存在することに政府がお墨付きを与えてしまっては、「ウクライナ=100%善、ロシア=100%悪」の構図にヒビが入るからであろう。削除を境にマスコミ報道に「アゾフ大隊」なる言葉が、準軍事組織、内務省系の軍隊などの枕詞が付けられて使われ始めたと思う。マスコミが「アゾフ大隊」の存在を報道して、その性格付けを説明しても、政府は特にいずくなくなったからだろう。
米国にとってはウクライナ人の命はロシアを衰退させるためには使い捨てなのか。ブリンケン国務長官とオースティン国防長官がゼレンスキーに「武器と金は用意するからお前たちはもっと戦え!」と火に油を注ぐために訪問。
現在、そのアゾフ大隊は東部マリウポリのアゾフスタリ製鉄所に籠城しロシア軍から兵糧攻めを強いられているが、彼らひとりひとりも命を持った人間である。
理由はあとから考えよう。とりあえず即時停戦。これ以上、死者を増やすな!