不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

戦後左翼史 その31 1947年 2.1ゼネスト中止 『闇の男 野坂参三の百年』

2016-11-26 19:41:18 | Weblog

「田舎のプロレス」、「茶番」と発言して撤回、謝罪した議員がいるが、僕は真実だと思う。昨日の年金法審議での採決の際、野党が掲げた「強行採決反対」のボード。なぜ、予め手元に用意していたのか。台本通りに怒って見せただけではないか。

 

戦後左翼史 その31 1947年       

(★印は日共関係)

◎1947(昭和22)年 2.1ゼネスト中止、各産別労働組合の結成と騒然とした世の中であった。

*(*は僕の考え)『闇の男 野坂参三の百年』(小林峻一、加藤昭著 文芸春秋 1993年刊)を20数年ぶりに再読した。ソ連崩壊の翌年、1992年は日共にとっても、野坂にとっても激動の年であった。3.30名誉議長野坂、百歳の誕生祝い、7.30党創立70周年、その間に旧ソ連共産党文書保管所にて、野坂が同志を密告した手紙を発見、12.27除名

本書(P149)に野坂にまつわる疑惑が列挙されている。

(1)1928年3.15事件で逮捕され、1930年に眼の病気で保釈されたが、その真の理由は「転向」したからではないか。

(2)保釈中の1931年に特高警察の監視の目を盗んで夫婦そろって国外に脱出できたのも、当局との妥協によるものではないか。

(3)コミンテルン時代、山本懸蔵ら日本人共産主義者の粛清に対してどのような対応をしたのか。なぜ話さないのか。

(4)コミンテルン時代、2度のアメリカ滞在中に、日本向け工作以外にどんな活動をしたのか。

(5)戦時中、中国延安では、ソ連、中国、アメリカとどんな関係を持っていたのか。

(6)終戦時1945年、帰国に際して、米軍と間で妥協や合意があったのではないか。

(7)日共の分裂時代、1952年から53年にかけて、北京で伊藤律を査問・幽閉した真の理由は何か。

*党創設の中心人物がスパイだとしたら、腐った土台の上に建てた情報が筒抜けの建物とはどのようなものなのか。野坂に関する事実が判明すると、日共は除名処分により終止符を打った、つもりだろう。が、いつしか公安との関係でこの党史の根幹に関わる問題は再燃するであろう。

*急進的な言葉を並べたスローガンで人々を引きつける。指導部による下部組織に対する煽り唆し。しかし、いざ実践となると腰が引ける。言うことはいつも同じ。「敵は強大、無駄な犠牲は生じさせない、組織の温存が第一だ。」左翼、日共のこの習性は、今も変わらない。

★1月 神山茂夫「平和革命をめぐる諸問題」『改造』(~2)、中野重治「五勺の酒」『展望』

1.18 全官公庁労組共闘委、「2.1スト」を宣言(2.1午前零時をもって無期限スト突入)

1.28 吉田内閣打倒・危機突破国民大会、皇居前広場で40万人参加

 

1.31 マッカーサー、2.1スト中止を命令、全官公庁共闘委議長伊井弥四郎、スト中止を放送

*主観的な願望と客観的な情勢認識の転倒:この事態になって初めて日共は、進駐軍=解放軍規定が誤りだったことに気づいたのだろうか。どう考えたとしても世間の常識は、進駐軍=占領軍だ。獄中何年などを誇って出獄した党員が中心にいたが、情況を認識する感覚が完全に鈍っていたのではないか。あるいは、鳴り物入りで帰国したスパイ野坂の影響力が強かったのか。占領下で革命を実行する、できるというのは、きわめて主観的な楽観論である。客観情勢を的確に認識できないのは今も変わらない日共の習性である。

2月 梅本克己「人間的自由の限界」『展望』

2.1 全闘・全官公庁共闘解散

3.10 全国労働組合連絡協議会(全労連)結成 (産別会議・総同盟、中立系主要労組計420万人が参加)

3.17 世界労連サイヤン視察団訪日

4.26 民主婦人協会結成(神近市子ら)

5.14 産別会議執行委員会自己批判

★6月 志賀義雄「軍事的封建的帝国主義について」『アカハタ』、蔵原惟人「文化革命と知識人の任務」『世界』

6.1 社会党・民主党・国民協同党連立による片山哲内閣成立

6.5 国鉄労働組合(国労)結成、6.8日本教職員組合(日教組)結成(50万人)

6.30 全日本土建一般労組(全日土建)結成

8.20 全逓、各地で職場離脱闘争開始

10.5 欧州共産党情報局(コミンフォルム)結成(ポーランドにて)

10.19 国労臨時大会、民主化同盟派進出、11.7国鉄反共連盟結成

11月 『唯物史観』(~48.12)創刊

11.2 全逓第4回大会、地域人民闘争方針決定

11.10 日本自治団体労組総連合(自治労連)結成

12月 宇野弘蔵『価値論』河出書房

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

戦後左翼史 その30 1946年 野坂参三帰国 労働争議 

2016-11-14 19:51:42 | Weblog

米国のマスコミ情報を鵜呑みにしていたこの国では、トランプが大統領に選ばれた以降、政府、与党、否野党も同じく、マスコミも揃って何をされるのだろうかと慌てふためいている。僕は野党の活路は外交にしかないと言い続けているが、亀井静、翁長知事などがトランプにアプローチをかけているようで少しの希望を持つ。反米愛国の日共はトランプ現象を歓迎すると思ったら、完全にビビっているのではないか。

 

戦後左翼史 その30 1946年  野坂参三帰国 労働争議     

◎1946(昭和21)年 (★印は日共関係)

戦災復興、食糧難、労働争議、憲法改正と社会は混沌としていた。

1.10 日本私鉄労組総連合(私鉄総連)結成

★1.12 野坂参三、延安から帰国

1.12 民主主義科学者協会結成大会

1.15 山川均、人民戦線結成を提唱

1.16 社会党中央執行委員会、共産党との共同戦線は時期尚早と結論

★1.26 野坂参三帰国歓迎国民大会(日比谷公園、3万人)、野坂「愛される共産党」提唱

*敗戦を迎えてのちに、この国の人々が持った意識を同時代として経験していない僕らから想像するのはかなり難しい。人々は戦時中の軍国主義体制に抑圧感を感じていたのか、国を信じて戦争に向かって行動していたのか、それにより戦後の意識にも差異が生じたと思う。抑圧の解放と感じた人々は、進駐軍が解放軍に見えてしまっても不思議はない。軍国主義の旗を振っていた人々は深刻な挫折感を抱く中で、しかし、中には旗を振りたいと言う気質は変わらずに、戦後も民主主義に旗を持ち替え、自らの戦争責任も棚上げにした人もいたと聞く。あとから振り返ると加害者でもあり被害者でもあることから人々の意識に倒錯がみられる。

徳田、志賀、宮本らなどのムショ帰りも箔が付いた復帰だが、野坂の場合はコミンテルンの国際的な権威を着た鳴り物入りの帰国であったのだろう。

★2月 『前衛』創刊

2.3 日本青年共産同盟結成大会

2.6 米ソ共同委員会、ソウルに設置 5.6 無期休会

2.7 関東労協婦人部会準備会、女性の最低賃金引上要求

2.9 日本農民組合結成

2.19 解放全国委員会結成

★2.24 共産党第5回大会、平和革命方式を採択

*3か月前の第4回大会で徳田―志賀ラインが確立され、天皇制打倒を正面に掲げた急進主義的な方針を決定したと思ったら、野坂が合流し徳田―野坂―志賀ラインによる占領下において平和的な手段による革命が可能とし、なんと進駐軍は解放軍であるという認識を持ったのだ。後にソ連のスパイであることが判明した野坂がその時に果たした役割(米国のスパイ、そうなると米ソ二重スパイ)は、誰か(米国か)の指示の下、党の急進的な動きに対しては穏健なブレーキ役を担っていたのではないか。この大会以降、伊藤律が登用される。

2.27 国鉄労働組合総連合会結成

2.  日本アナーキスト連盟結成

3月 宮本百合子「播州平野」『新日本文学』(~11)

3.5 チャーチル、米ミズーリ州フルトンで「鉄のカーテン」演説

3.16 婦人民主クラブ結成

4月 中野重治「批評の人間性(1)」『新日本文学』、野間宏「暗い絵」『黄峰』(~10)

5.1 第17回メーデー(復活メーデー 50万人)

5.31 全逓信従業員組合(全逓)結成

5.  生産管理闘争ピークに

6.8 東京都労働組合連合会(都労連)結成

6.13 第2次読売争議、GHQ、編集局長らに退社命令

★6.28 共産党、人民共和国憲法草案決定

*現在の日共はいつのまにか、なし崩し的に護憲政党になった。(れんだいこHPに学ぶ)政府が国会に憲法改正(日本国憲法)草案を上程した際、第9条の「戦争放棄」条項に「自衛戦争は正義の戦いだ。自衛権まで放棄しているのは行き過ぎではないか」、「戦争一般放棄という形でなしに、侵略戦争の放棄とするのがもっと的確ではないか」と質問している。

日共は当初、自主防衛論者だったことがわかる。このなし崩し的な党方針の変更は、その後何度も経験することになるが、このことにより従来の方針に従って真面目に活動してきた党員がいつも裏切られるのである。

7.24 国鉄、75,000人の合理化を提案、国鉄労組総連合ゼネスト決定 9.14解雇撤回妥結

8.1 日本労働組合総同盟(総同盟)結成大会(委員長松岡駒吉)(社会党系)

8.18 国際学連結成(プラハ)

8.19 全日本産業別労働組合会議(産別会議)結成大会(委員長聴涛克己)(日共系)

*「総同盟」と「産別会議」が分裂

8.28 北朝鮮共産党と朝鮮新民党合同、北朝鮮労働党結成

9.10 海員組合ゼネスト

★9.29~10.2  野坂参三「天皇制はいかに変わったか」『アカハタ』

*(れんだいこHPに学ぶ)概要「天皇の大権は大幅に削減され、天皇制諸機構や諸勢力は重大な打撃をこうむった。が、今だに、相当に重要な特権的地位を保持しており、依然として神秘化され、また、国民の上に君臨している。新憲法は『主権在民 』の美名の下に『主権在君』たらしめようとするものである」。

10月 長谷部文雄訳『資本論』(日本評論社、全11冊 ~50.8)、花田清輝『復興期の精神』我観社

10.1 全炭・東芝争議突入、新聞放送労組、電産など「産別10月闘争」始まる

11.23 南朝鮮の共産党・新民党・人民党が合同して南朝鮮労働党(南労党)結成

11.26 全官公庁労組共同闘争委員会結成

*国鉄53万.全逓38万.全教組35万.全官公労協8万.全交連22万の合計153万人。議長伊井弥四郎、副議長佐藤安政(全官)、事務局長長谷武麿(全逓)。

12.6 早大全学学生大会開催、学園復興と民主化を決議

12.17 全官公庁共闘・全国労働組合共同闘争委員会(全闘)共催、生活確保・吉田反動内閣打倒国民大会、50万人

12.22 電産争議解決、「電産型賃金」確立

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする