晴走雨読

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『少子社会日本』

2007-05-29 20:39:13 | Weblog
 『少子社会日本ーもうひとつの格差のゆくえ』(山田昌弘著 岩波新書 2007年刊)
 著者は、これまで「パラサイトシングル」や「希望格差社会」など、社会事象の特徴を的確な言葉で表現してきた社会学者である。



 本書では、少子化の原因として、一つは経済的要因であり、①結婚や子育てに期待する生活水準が上昇して高止まりしていること。つまり、結婚することにより今の生活水準を下げたくない、自分の親から受けた子育ての水準より自分の子どもに良くしてあげたいという期待である。
 しかし、その反面、②若者が稼ぐことのできる収入水準が低下している現状がある。
 
 もう一つは、男女交際に関する要因であり、③結婚しなくても男女交際を深めることが可能になったという意識の変化、そして、④個人の魅力格差が拡大していることが指摘されている。



 この中でも、③の恋愛観の変化について興味深いことが書かれています。
 1950年生まれ以前の人(1970年代以前に黒春を送った人)は、恋愛に憧れ、恋愛をしたら結婚するのが当然と言う時代に育った。

 それに対して、1960年生まれ以後の人(1980年代以降に青春時代を送った人)になると、恋愛をしたら結婚をしなければならないなどと言ったら笑われる時代に育ったとのことだ。




 1970年代までは、男女交際が極めて貧弱で、異性と出会う機会少なかったため、個人の魅力格差が隠蔽されていたので、そのことが「好きになる」確率を高めていた。(社内恋愛→結婚はその典型)
 
 しかし、1980年代以降、男女交際の機会が増えると、魅力格差が顕在化してしまい、逆に結婚から遠ざかってしまう人が増える現実がある。これも少子化の原因である。



 私は、1954年生まれ、丁度、中間の世代である。当時を思い出すと、生活水準への期待などほとんど無く、職も金も「失うものなど、何にもない」ところから始めるという嬉しさを感じたものですが。
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