香港のデモを見て思った。アへ首相の独走を許していることを、全て力の無い野党のせいにしている自分がいる。「若者よ、来るべき日のために身体を鍛えておけ!」今から僕も肩を作っておくか。
『多発する人造地震―人間が引き起こす地震』(島村英紀著 花伝社 2019年刊)
昨年9月に発生した北海道胆振東部地震による被害の復旧はまだ道半ばにも達していないようだ。震源に近いところの地面や家屋は余震で何回も強く揺さぶられて見えないダメージを被っている。道路や建造物などは金と時間をかければ何とか復元できるのだろうが、市民生活の再建と心の安定を取り戻すのは容易なことではない。あれから少しの揺れにも敏感になっている自分がいる。相手が自然だからどうしようもない。これは仕方がないと言って自分を何とか納得させているが。
さて、ここにきてトンデモ本としか思われないような本が出版された。今回の地震が人造地震、すなわち人間の活動に起因しているというのだ。著者の島村氏は北海道大学にもおられた地球物理学・地震学の専門家であり、簡単にフェイクだといって切り捨てるだけで済む内容ではない。
著者は人造地震の原因として、シェールガスやシェールオイルの採掘で用いる水圧破砕法、堤高の高いダム建設、地下核実験、そしてCCS(二酸化炭素の回収貯留実験)をあげている。CCSというのは、二酸化炭素が地球温暖化の元凶とされているので、このガスを減らすため、工業活動から出るガスを、深さ1000メートルを超える海底下に高圧をかけて封じこめるというものだ。
著者は、CCSがこれまで新潟県長岡市と苫小牧沖で行われており、中越地震(2004年)、中越沖地震(2007年)、胆振東部地震(2018年)と何らかの関係があるのではないかというのである。本書においては、データを用いたりして理論的に詳しく解説されていないのであるが、僕が浮かべたイメージは、地下の断層の間に高圧で封じ込まれた二酸化炭素が入り込んで岩盤と岩盤の間を潤滑剤のような効果をもたらし、今まで動かなかったものが動いて地震が発生するというというものだ。
2019年4月に公表された政府の温暖化対策案「パリ協定長期成長戦略案(長期戦略)」にCO2回収貯留・利用の推進が書かれている。CCSは国策となっており、それに対する疑義であれば、国民の無用な不安を煽るのではなく科学的に反証してほしいものだ。著者が投じた一石を科学者たちは真剣に受け止め、何が真実かを追及してほしい。