晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

吉田拓郎 『TAKURO YOSHIDA 2019 -LIVE 73 YEARS- in NAGOYA』

2019-11-24 16:43:23 | Weblog

『TAKURO YOSHIDA 2019 -LIVE 73 YEARS- in NAGOYA』(NAGOYA CONGRESS CENTER / CENTURY HALL) AVEX  DVD

コンサート名は、73歳になった拓郎という意味だろうが、昔からのファンにとっては、もちろん1973年中野サンプラザホールで行われたLIVE’73を想起させるものだ。1974年、僕は大学に入ったばかり、喫茶店のジュークボックスで『マークⅡ』ばかりを聞いていた。

拓郎が懐メロシンガーではなく、今でも音楽で勝負していることを感じるライブである。今回の特徴は、全曲の作詞、作曲は拓郎自身。ゆえに『洛陽』、『外は白い雪の夜』など岡本おさみや松本隆らと組んでヒットした楽曲は無い。まるでデビュー当時所属していたエレックレコード時代のシンガーソングライターとしての原点に戻っているようだ。拓郎自身もLIVE’73から40数年を経過してそんな想いに至っているように思える。

あらためて拓郎の詞を聞くと比喩や情景描写が少なくあまり巧いとは思わないが、自分との向き合いから感情をストレートに表現していることがわかる。いつまでもどこかにピュアさを失っていない人だと思う。

アーティストとファン、長い付き合いと、時代の移り変わり、自分自身の置かれた情況の中で、微妙な距離間の変化が生じる。若い頃、あんなに影響を受けたのに、ある時期、40歳代半ばから60歳くらいまでかな、なにかしっくりと来ない期間があった。それは自分が会社人間になっていた時期と重なる。拓郎の曲のように感じるままに自由に振る舞うことができない自分であったから。

そして、無業者になった頃から、ふたたび若かった頃の感動が甦る。もっとやさしくあれと、信じた道を進めと、あまり力まないでと、背中を押されている。

このコンサートでの僕のベスト3は、『今夜も君をこの胸に』、『I’M IN LOVE』、『恋の歌』だ。

 

(参考)このブログで吉田拓郎について、2013.2.21に『吉田拓郎 LIVE 2012』、 2009.11.14に『18時開演 TAKURO YOSHIDA LIVE at TOKYO INTERNATIONAL FORUM 2009.07.04(SAT) 17:00開場』、2009.7.11の「吉田拓郎 倒れる!」を書いた。                              

 

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ジム・ロジャース 『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』

2019-11-16 17:13:37 | Weblog

五輪費用について鈴木知事は森さんに費用は出せないとはっきりと釘をさしたが、ビビった秋元市長は費用のことを言い出せず、そのことを記者に指摘されて気色ばんだとか。案の定この脇の甘さを見抜いた組織委員会から、警備費の負担が出てきた。道路補修などは恒久性があるので市民から一定の理解を得られるだろうが、原則を逸脱した臨時的な経費はどうだろうか。

 

『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(ジム・ロジャース著 講談社+α新書 2019年刊)

白雪姫さまから2019.11.1に「ジム•ロジャーズ著『日本への警告』の中で、『東京オリンピックは日本の衰退を早める』と書いている。『歴史を観れば、オリンピックが国家にとってお金儲けになった例しがないことがわかる。国全体を救うことにはならず、むしろ弊害をおよぼす。--と。』とのコメントをいただいた。

白雪姫さまが引用された中には省略された部分がある。「・・がわかる。一部の人に短期的な収入をもたらすことはあっても、国全体が・・」であるが、そこにこそ著者の本質が表れていると思った。著者は世界的投資家と紹介されているとおり、彼の視点は投資に見合うリターンがあるかどうかであり、その点では、短期的な収入というのは投資先として魅力がないということなのだろう。本書でも書かれているように氏の手法は、評価が最低の時に買い、値が上がるのを待って売り儲けるというもの。これまで随分と儲けたようだ。

著者がこの国に対して発している警告は、現状の少子高齢化と巨額の長期債務残高を放置すると、人口減少と財政が破綻するというものである。これらが現在この国が抱えている大きな問題と大多数の人(少数の例外者が存在する。)が捉えているのは間違いない。しかし、この指摘が的を射ているからといって、著者の言説全てが正しいと考えるのとは次元が違う。ここに、最初に自分を信用させて、次に持論を展開するという巧妙なごまかしがあると感じた。

なぜなら著者の価値基準は、あくまで投資先として儲けることができるかどうかであり、この国に暮らす人、この国の将来とずっと付き合う気はさらさらないであろうと思うからである。次から次と儲かりそうな投資先に資本を投入し、そして売り、儲けることができれば国籍など関係なく渡り歩いて活動しているのであろう。よくいわれる禿鷹ファンドとは、氏のような外国人投資家をいうのだろうか。眉毛に唾をつけて読むべき本だ。

ただ、少子化による人口減少が国の活力を低下させてしまうのか、長期債務残高がこの国の財政を破たんに導くのかなどに対しては、様々な考え方があり僕自身整理ができていない。例えば、れいわ新選組の山本太郎代表が唱えているMMT理論など自分なりに判断する必要があると思っている。

著者による日本評価とは全く別の視点で「この国は先進国ではない」ということを指摘していたのが、2019年10月31日(木)8:00からのテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」内のコーナー「玉川徹のそもそも総研」だ。経済評論家の加谷桂一氏が説明していた内容が以下だ。

僕らはこの国のGDP(国内総生産=モノ・サービス)が世界3位(1位アメリカ、2位中国)と高いので経済的に豊かだと思っているが、国民の豊かさを示す1人当たりGDPは26位と低い。ちなみに中国は72位。この数値は為替レートの変動の影響を受けるので、円高が進んだ2000年では2位になったこともある。購買力平価の1人当たりGDPは、1990年10位、2018年18位となっている。

①日本の労働生産性(付加価値÷労働者数・労働時間)はG7で最下位(日本生産性本部)。1970年代からOECD36カ国中20位前後。②世界競争力ランキング(各国の雇用や貿易などの経済指標を基に毎年発表)は30位で1997年以降では最低(IMD)。③平均賃金はOECD加盟35カ国中18位。④相対的貧困率は38カ国中27位。⑤教育に対する公的支出のGDP比は43カ国中40位。⑥年金の所得代替率(現役時代に比べてもらえる年金額)は50カ国中41位。⑦障害者への公的支出のGDP比は37カ国中32位。⑧失業に対する公的支出のGDP比は34カ国中31位(いずれもOECD)。

2017年の世界輸出に占める日本のシェアは3.8%、1位中国(10.6%)、2位米国(10.2%)、3位ドイツ(7.7%)。ドイツは、GDPが日本より2割小さいが、輸出の絶対量が日本の2倍以上もある。

結論としては、敗戦でゼロから再出発したこの国が先進国に追いつきかけたのが1990年代くらいで、バブル経済の破たん以来坂を転げ落ちているというのが真実ということだ。「平成」とはそういう時代だったのだ。

 

 

 

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2019 秋 東京旅行 その3

2019-11-01 13:57:20 | Weblog

アへ首相の大嘘から始まった東京五輪だが、NHK大河ドラマ「いだてん 東京オリムピック噺」は、役者たちが台詞を一本調子で怒鳴るばかり、ニッポン・ニッポンの連呼、これは国策ドラマ。案の定史上最低の視聴率だ。様々なゴタゴタを見ていると、この国の力はかなり落ちてしまっていて、五輪を開催できる国力が既に失われているのではないかと思う。まだまだ色んなことが起きるだろう。

 

2019 秋 東京旅行 その3    

3日目10月18日(金)

○東京国立博物館平成館で「御即位記念特別展 正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」を鑑賞。八角鏡、琵琶(唐)、白瑠璃碗(ペルシャ)など遣唐使によってもたらされた本物の宝物を見ることができた。僕が放送大学で習った知識によると、これらは聖武天皇のコレクションであり、当時は天皇制の権力基盤が弱く、また飢饉や疫病で社会不安が広がっている中、天皇は各地の豪族に贈り物として使い権威を保とうとしたということだ。聖武天皇は同様の目的で、東大寺の大仏造立、各地に国分寺を建立した。放送大学の学生が、博物館、美術館の入館料が大学生として扱われるのがうれしかった。

国立博物館館内で「たん熊」の弁当

○上野の森美術館で「ゴッホ展」を見る。ゴッホの生涯を辿るような展示構成になっていて、年齢と共に絵が変化していったことがよくわかる。僕が知っているゴッホの作風は晩年に精神を患った頃のものなのだ。ゴッホは亡くなってからその評価が認められたということだが、弟が作品を処分せずにいたこともすごい功績だと思う。国内では見たことの無い作品も取り寄せられていて、初見の作品が多かった。同時代の作家たち、セザンヌ、モネ、ルノワール、ゴーギャンの作品も展示されていたが、小さな美術館なので作品数は少なかった。

○巣鴨商店街を歩く。もっと賑わっているのかと思ったが意外と閑散としていた。帰りに乗った都電荒川線に感動。

○日本橋三越の「たいめいけん」でナポリタン。周りのお客さんたちがそろって注文するエビフライ、大きくて美味そうだった。

 

4日目10月19日(土)

○神田古書店めぐり 古書はネット購入が主流になったのだろう、以前より店が減ったような印象。吉本隆明の『高村光太郎』を購入できたので満足。

渋谷東急東横店「角力」で寿司。あなごが絶品なのでこの店に行くのは3回目。

品川駅エキナカ「エキュート品川」で弁当を買い、京急エアポートで羽田へ。いつの間にか高架化されていてノンストップで所要時間がすごく短くなる。これはモノレールより便利だな。

○しかし、ここから厳しい事態に。日航17:40出発予定が機材繰りで遅れ18:30に変更(実際は18:45くらい)そのうえ天候が悪く、上昇時今まで経験したことがないほど激しく揺れる。機内サービスの時間が短くなってしまってコーヒーを飲めなかった残念。航路も山形経由で日本海側を飛ぶ。だがこれで終わらずここから再び厳しい情況になった。新千歳着陸時、濃い雲の中で視界不良と横風が強く滑走路に着陸寸前に急上昇のやりなおし、大揺れの中2回目で何とか着陸したのが20:30。羽田に引き返すかとも思っていたのでまあいいか。

 

コメント (2)
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