晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

ブレイディみかこ 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 イギリス社会 多様性 格差

2022-02-27 09:35:15 | Weblog

(緊急)プーチンロシアのウクライナ侵攻を糾弾する!あらためて、国際紛争を解決する手段として、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は認められないと考える。NATO加盟国を図式化した地政学的な解説が流布されているが、プーチンは民主主義的価値観の浸透に怯えている。米欧はロシア国民、ウクライナに対して制裁ではなく民主主義の風を送り「モスクワの春」を迎えよう!

 

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみかこ著 新潮社 2019年刊) イギリス社会 多様性 格差 

ブレイディみかこ氏は、保育士として働き、夫、息子との三人暮らし。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』とは、ぼくとはみかこ氏の息子、みかこ氏は日本人でイエロー、夫はアイルランド出身でホワイト、そのことに起因して学校など息子の周りで様々なことが起こり、息子の心はちょっとブルーなってしまう。でもこの息子はそこを深く考え、自分なりの乗り越え方を見出し、最後はちょっとグリーンになる。とりわけ氏の息子は、日本の同年代に比べて社会的な問題意識や発言内容が大人であると感じた。

著者は2020年4月から2021年3月までの間、北海道新聞に毎月「時評社会」として暮らしの視点から見たイギリス社会の様子を報告していた。短い文章なのだが日本社会とは大きく異なる人びとの意識を興味深く読んでいた。本書は近くの図書館から借りたのだが、本の傷み具合からかなり多くの人に読まれていることがわかる。

著者の表現が巧いため、社会における多様性や差別といった大きなテーマを扱っているのだが、生活上の実体験に根差していて平易な言葉使いなのでスムーズに読むことができる。とりわけ、著者と夫や息子との会話はそれぞれのキャラが発揮されており、そこから見えてくる社会の多様性とは具体的な生活のうえではこのように表れてくるのか。そこにはこんな苦しみが生じるが、それをどうやって克服していけばよいのか。答えはないがヒントは満載だ。

住んでいる地域、住宅、選んだ学校、働いている保育園を舞台に、イギリス社会に厳然として存在している上流から最下層までの階級という意識が露骨に表れている。日本とは違う。僕は、特に北海道は比較的フラットと感じているがどうだろうか。

 

 

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2030札幌冬季五輪「異議あり」 その4 道民意向を無視 市民生活は後回し

2022-02-15 14:41:13 | Weblog

札幌市は、手狭になったアクセスサッポロについて153億円をかけて旧道立産業共進会場(月寒グリーンドーム)跡地に建て直すという。(さらに土地代も必要なのかも知れない。)一方、ファイターズ移転後の札幌ドームは赤字転落が必至とされるが一向に利活用策が見えてこない。札幌ドームを展示施設に随時転用できるような方策を検討したのだろうか。

 

2030札幌冬季五輪「異議あり」 その4 道民意向を無視 市民生活は後回し

2030札幌冬季五輪については、このブログに2021.11.21その1「粉砕」、11.25その2「阻止」、12.4その3「反対」を書いた。

そのうち、「新幹線延伸時期との不整合」については、本日の北海道新聞朝刊に(引用)~賛成少数でも招致継続 札幌市長、五輪意向調査で~(見出し)、「30年度末予定の北海道新幹線札幌延伸については31年2月の五輪開幕前への前倒しを目指し、国などに働き掛ける方針を明らかにし『30年冬季五輪の開幕に間に合うのが理想的。国の予算を含めかなりの人・モノ・金が投入されないと実現しないので、(国などに)要請していく』と説明。一方で、札幌延伸の前倒しは招致の『絶対条件ではない』と述べ、早期の延伸が実現しなくても招致時期を34年に変更する考えはないとした。」との記事が掲載された。

(僕の感想)従前の「こだわらない」という頓珍漢なコメントから常識的なものになった。

一方、意向調査については、(引用)「全道の住民を対象に3月中旬に行う意向調査に関し『賛成反対の住民投票ではなく、政策判断のために行う』と述べ、調査で招致への支持が半数を下回った場合でも招致活動を継続する考えを示した。意向調査は全道17,500人を対象に招致の賛否や、その理由を尋ねる。秋元市長は『市民の期待や心配を把握し、どのようにしたら懸念を解決できるか確認するのが目標』と語り、招致活動を継続するかは調査結果だけでなくワークショップなどを通じた市民意見や市議会議論を勘案して判断する考えを示した。」

(僕)このコメントから、意向調査において到底賛成多数は得られないだろうという市長の弱音が見えてしまった。でも招致という結論ありきで走るという。そこには何のための意向調査なのかという疑問だけが残る。そして2022年度予算案には4億2,300万円もの招致費用が計上されている。

また、2.11北海道新聞に(引用)、~五輪期間の大雪協力体制構築へ 札幌市長が意向~(見出し)「札幌圏の記録的な大雪で交通期間(記事は誤植!)機関のダイヤが大幅に乱れたことに関して、五輪期間中の大雪への対策について問われ、JRや道と連携を強化する必要性を指摘」との記事が載った。

(僕)市民生活を第一と考えているなら、8年も先の連携を語るのではなく、今の体制を検証して直ちに改善を図りたいというのが常識的コメットだと思う。

 

 

 

 

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アーサー・ビナード 『知らなかった、ぼくらの戦争』 探しています 戦争体験 

2022-02-10 10:01:47 | Weblog

北京五輪真っ最中だが、札幌は大雪でJRもバスも止まり、ゴミ収集、物流が遅延状態。はたして8年後の2030年の今頃に冬季五輪を開催できるのだろうか。優先すべきは市民生活じゃないか。来月に市民(道民)アンケートが実施されるということだが、今の事態をしっかりと把握して回答したい。

 

『知らなかった、ぼくらの戦争』(アーサー・ビナード編著 小学館 2017年刊)  

近くの図書館で借りた。本の傷み具合から随分と多くの人に読まれていることがわかる。本書は、文化放送のラジオ番組「アーサー・ビナード『探しています』」で語られた戦争体験者の皆さんとのインタビューをまとめたものだ。とても読みやすく、しかも「知らなかった」ことがたくさんあった。戦争を知る世代が減少していく中、著者は記憶に残すべき重要な真実を引き出している。読了後かなり時間が経ったが記憶に残った。

例えば、1941年、陸軍の南部仏印進駐を記念して日本中の小学校にゴムマリが届いたという少女(当時)の話。その時は素直にうれしかったが後に天然ゴムという資源を日本が手に入れることができたためということがわかったと。

真珠湾攻撃時に米空母が湾内にいなかったことから米国が事前に攻撃されることを知っていたと証言するゼロ戦パイロット。広島県大久野島の毒ガス工場で学徒として働いた女性はそれを絶対に口外してはいけないと言われたと。ニューギニア、硫黄島、沖縄の惨状。引き揚げ、被曝、空襲、・・実際の体験者からの貴重な話。放送当時でも皆さんは高齢でおられ、その後、亡くなられた方も多いことがわかる。

平易な言葉で書かれているので、小学校高学年くらいでも読める良書だ。

 

 

 

 

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