晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

『吉本隆明「心的現象論」の読み方』 その1

2013-06-29 21:25:04 | Weblog

 『吉本隆明「心的現象論」の読み方』(宇田亮一著 文芸社 2011年刊)

 吉本隆明の『心的現象論』は『試行』第15号(1965年10月)から最終号(1997年)まで毎号連載された。そして、第28号(1969年8月)までの分に手を入れたものが『心的現象論序説』(北洋社 1971年刊)として出版された。第29号(1970年1月)以降の分については未公刊である。

 『吉本隆明が語る戦後55年 全12巻』(吉本隆明研究会編集 三交社)の第7巻 初期歌謡から源氏物語まで/親鸞とその思想』(2002年刊)から、『試行』第29号以降分が掲載されている。

 しかし、当時ザクッと読んだこの『心的現象論』は難解で、ほとんど意味不明、そもそも私が「ヒトの心」の分析ということに全く興味を持っていなかったからでもある。

 さて、『吉本隆明『心的現象論』の読み方』についてである。著者の宇田氏は、民間会社(キリンビール)に勤めた後、大学に入り直し臨床心理士として“ヒトの心”を仕事の対象としている方である。従って、氏は専らの研究者では無く、臨床現場でのヒトの心との格闘から吉本の『心的現象論』を氏なりの解釈で書き上げた力作である。ここにも「市井の偉人」がいた。

 まず吉本が「心をどうとらえたか」、吉本の「心の見取り図」がわかりやすく解説される。

 ヒトの心が対人関係の視点から捉えられる。

 他者との対人関係は二つに分けられる。①二者関係:私とあなたの対話、私とあなたの二人だけの意味付け、価値付けの世界、例えば「家族」、吉本の言葉では、〈対幻想〉、ここでの幻想は、観念とか心と言い換えてもいい。

 ②集団的関係:自分と社会との関係世界、私と組織・集団との対話、意味付け、価値付けの世界、例えば、チーム、学校、企業、国家など。〈共同幻想〉

 もうひとつの関係性として、③自分自身との関係:自分自身との対話、個人としての意味づけ、価値付けの世界、〈個人幻想〉

 本書の最後で、著者は、〈個人幻想〉〈対幻想〉〈共同幻想〉という概念を用いて、現代の課題である、ひきこもりなど心の不調、児童虐待、臓器移植などを解明してみせる。

 本書は、『心的現象論』に挑戦したくなる解説書である。

 

 

 

 

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コンサ札幌、FW緊急補強か?

2013-06-22 21:59:34 | Weblog

 2013シーズン、20戦9勝9敗2分、勝ち点29で10位、6位との勝ち点差は3点、今日は厚別でFC岐阜にラッキーな4対0で勝利、ようやく今シーズン半ばにして始めて星を五分にした。プレーオフはまだまだ射程圏内ということでブラジル人FWの補強を考えているらしい。

 昨日は、宮の沢白い恋人サッカー場で練習見学。練習に参加していたのは、フェリベ選手、身長197cmとバスケットボールの選手のように背が高い。ポストプレーなどはそこそここなしていたが、ちょっと反応が遅いよう。セットプレーの練習でも前にディフェンスに入られてしまう。俊敏性は今ひとつだが、年俸が安価ならチームのアクセントとして補強してもいいであろう。

 期待を込めて今シーズンを予想すると、ここからの数試合で勝ち癖がつけば、勝ち点70を超えることができるのではないか。そうすれば、目標の6位以内、プレーオフにからむことができる。

 練習の後半、野々村社長がピッチに姿を現した。JAL千歳マラソンを完走するなど社長はこの球団を何とかしようと必死でやっている。社長のやる気がどこまで選手に伝わるか。ユース出身選手が多いが、伸びしろたっぷりの素材。磨けば光る石ばかり。後半戦に期待が膨らむ。

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「一読者」様へ

2013-06-19 21:10:39 | Weblog

 588年創建された飛鳥寺、その中の大仏像。

 

 「一読者」様へ         

 一読者様から、いくつか素敵な詩をいただきました。

○吉本隆明氏の一周忌に寄せて

  草芽吹き過ぎ行く日々の幻想忌

○同じく吉本隆明氏を悼んで

 日溜りにうたたね猫の幻想忌
 幻想忌花を手向けて出かけたり
 冬ざれに意志を貫く叛旗あり

○そして、私の故郷、釧路に寄せて

 霧の朝旅出誘う異国船  
 霧湧いて幣舞橋も幽のなか

 寒雷やけあらし叫ぶ釧路港
 夏近し北辺の花目にやさし

 ふるさとという響きは、母の子宮の中に居た記憶を呼び覚ますのだろうか、母胎のようにふわりと自分を包んでくれる。

 炭鉱のズリ山の向こうに沈む夕陽と西の空一面を染める夕陽。

 ぼんやりとした海霧(ガス)の中、船に位置を知らす霧笛の音。

 魚カス工場の香ばしい臭い。製紙工場から出る酸っぱい臭いの煙。

 暗くなるまでよく遊んだ砂浜の匂い。

 

 今の私には愛国心はこれっぽっちも無いが、不思議な私の愛郷心。長く海外生活を続けたなら国を想う気持ちが芽生えるかな?

 

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走りながら考えたこと

2013-06-16 15:44:14 | Weblog

 飛鳥寺。

 

 ようやく気温が高くなってきた。少し走ると汗が噴出す。爽快だ!こうなると体重もぐっと落ちるはず。頬の肉が落ちてコケコケになるのが理想。

 午前中にランニング、走りながら考えたこと。大学への入学時期を今までの春から秋に移行することを検討しているという。そうすると、高校を卒業してからの半年、大学を卒業してから入社までの半年間タイムラグができる。政府は、この期間を海外留学やボランティアに使うのはどうかと言っている。

 ボランティアには、志願兵という原語がある。自民党の憲法改悪案には自衛隊を国防軍にするとある。私の直感だが、この間に兵役、徴兵制というのが念頭に無いか?

 女性の夜道の一人歩きは危険だ。最近、交番の署長さんの講話を聞いた。注意したほうが良いと言うことが6つ。①なるべく歩車道の区別のある道路を通る。②引ったくりなどから防衛するためバッグなどは車道と反対側に持つ。③後ろからの音が聞こえないので、イヤホンなどで耳を塞がない。④後ろを意識して歩く。⑤何かあったら直ぐ通報できるようにケータイは手に持つ。⑥自転車の荷物かごにはカバーをする。

 私が質問した。「ケータイで110番をする時は、市外局番が必要なのですか?」署長さん「ケータイの出始めの頃は、市外局番の次に110番だったが、今は110番だけで繋がります。」知らなかったのは、私だけなのだろうか。110番の経験はあまりすることが無いだろうから、意外と知られていないのではないか。

 では、119番はどうなのだろうか。

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『テレビに映らない世界を知る方法』 その4

2013-06-11 20:13:51 | Weblog

 『テレビに映らない世界を知る方法』(太田昌国著 現代書館 2013年刊) その4

 「来年になると、釧路を離れて50年目だ。」「春採湖、チャランケチャシ、月見坂など釧路のいくつもの風景が目に浮かぶ。」(2011.11 P242)『棺一基』という句集を刊行した大道寺将司氏は、獄中生活37年、釧路出身で、高校卒業時までそこに暮らした。(2012.5 P236)

 *そうか、私も改めて数えてみれば、1973年に釧路を離れて40年になったのか。地名も懐かしく、子どもの頃遊び慣れた所ばかりだ。人それぞれの理由があって生まれた所に住み続けることはできないが、否、その時はここを出ようと決心をした結果なのだが、同郷の人に親しみを感じ、故郷を思う気持ちが強くなったのは年齢のせいなのか。

 「私が生まれ育った北海道・釧路の高校を卒業し、そこを離れたのは1962年のことであった。」「父は、私が物心ついたころから、地方議会の議員をしていた。北海道が革新王国と言われていた時代である。」(2007.8 P288)

 *少し調べてみた。おそらく太田氏の父は、社会党から道議会議員を長く務めた太田益夫氏だと思う。昭和30年代、小学校低学年だったと思うが、選挙カーから「オオタマスオ、オオタマスオをどうぞよろしく!」と叫ぶ声を覚えている。もう一人覚えているのは「ニッコウフクジ、ニッコウフクジ」という名前である。日共から何回も衆議院選挙に立候補していたが、いつもダントツで最下位の泡沫候補であった。生まれ育った環境もあって私は早熟過ぎる政治少年であった。

 *釧路出身の有名人、「挽歌」の原田康子、バーブ佐竹、カルーセル麻紀、「六文銭」の及川恒平、木之本亮、写真家の長倉洋海

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ザ・ニュースペーパー札幌公演2013

2013-06-09 09:55:21 | Weblog

 奈良県明日香村、石舞台。蘇我馬子が埋葬されていたとされるが、上に古墳のように土が乗っていたと思われるが、土は剥がされてしまっている。

 

 『ザ・ニュースペーパー札幌公演2013』      

 NPの札幌での公演は、2日間4ステージ、年2回と定期化しており、私にとっても毎回足を運ぶことは日常になっている。日常の場面では思っていても口に出せないセリフがバンバン飛び出すことが彼らの売りであり、観客はそれを2時間笑い続けることによって非日常を体験する。

 そこで、重要なのは彼らのギャグの質である。権力にあるものを、飛ぶ鳥を落とす勢いにあるものを笑い飛ばす、アンタッチャブルなタブーに踏み込むなどこれまで彼らのスタイルは一貫してきた。それが、いつもチケット完売という結果に繋がっていると思う。

 しかし、今回は観た後に違和感が残った。「NP堕落への第一歩」といってもいいのではないか。気になった例を挙げる。人気場面であるさる高貴なご一家では、これまではお父様とお母様夫婦間の微妙なすれ違いが主題だったが、今回は、週刊誌と同じレベル、同じ視点から、お母様(姑)によるお嫁さん(嫁)いびりで笑いをとっていた。

 今、この国の空気になろうとしている周辺アジアに対する排外主義に迎合したお父様による韓国非難、共産党を揶揄するときの赤狩り的な排除の雰囲気、時の権力者安倍総理への切り込み不足、NPは大衆の俗情に迎合してしまっている。この路線は、NPを駄目にする。

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『テレビに映らない世界を知る方法』 その3

2013-06-03 20:23:02 | Weblog

 今年のNHK大河ドラマ『八重の桜』を視ているが、初春の頃だったと思うが山口県(長州)出身の安倍首相が「長州の描き方がまるで悪者扱い」と評したということが伝えられた。昨日の放送では、薩長による倒幕運動も終盤を迎え、江戸城は無血開城された。次回は、薩長による会津攻めということになるのだろうが、ここにきてドラマの中では薩摩藩ばかりが出てきて長州の動きが全く見えない。私は、NHKに無言の圧力がかかっているのではないかとひとり邪推している。

 

 『テレビに映らない世界を知る方法』(太田昌国著 現代書館 2013年刊) その3

 2006年にシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国が発効させたTPPは、「小国のFTA(自由貿易協定)」であった。2009年に米国のオバマ大統領が参加を表明し、「帝国のFTA」に豹変した。(2011.4 P128)

TPP反対論を総体として眺め、「ナショナリズム」の匂いが鼻につくのは、ひとが「食」と「農」について語るときであることが多い。TPP反対の論理にナショナリズム、それは、「国家主義」とも「民族主義」とも、言葉遣いによっては「日本至上主義」というべき言動、が入り込む余地をなくすべきだと考えている。(P132)

 *TPPへの参加について、私は、このブログ「総選挙を考える」(2012.12.8)で「TPPについては、それに反対しているのがドメスティックな既得権を持っている団体であることから、国境という障壁を越えるという方向には基本的には賛成である。ただし、現在のTPPが米国従属を強めることになることから、方法論としては誤りと考える。 」と書いた。私もこの問題に対して、太田氏と同じ匂いを感じたと思う。ただ、未熟だった民主党と比較して、自民党の内部反対派を合意へ持っていく見事な進め方に改めて政治とはこういうものなのだと感嘆している。

 異論を持つ者同士がどう対話できるか、同じ意見を持つ者同士がいかにその考えを深めることができるのか。ブラジルの教育学者、パウロ・フレイレが強調した「相互浸透性」「相互互換性」に基づく対話は、私たちが基本にすべき考え方である。そのような話法や文体を生み出しうる思想はどういうものかを考える中で、「内省」「自己内対話」とでも言うべき過程を経ることの重要性を思った。(2009.12 P166)

 *あれだけ持ち上げていた橋下維新の会代表を、マスコミがこきおろしている。こうなることは予想されたことだが、その場の感情レベルで煽るだけ煽っている今のマスコミの言説に決定的に欠けているのが、「内省」「自己内対話」ではないか。は、「内実を問う」を心がけたいと思っている。美しいきれい事だらけの言葉、誰も反対のできないスローガン、「美しい日本」に代表されるが、政治や特に教育の分野で垂れ流し状態だと感じる。その内実を問わねばならない。

 「させていただく」というのが、誰が、どんな場合に使おうと、私(太田氏)が不快に思う表現の一つだ。とりわけ、権力(実権)を持つ政治家が使うと、へるくだったように見せかけるその心根が透けて見えて、卑劣さが感じられる。(2007.12 P211)

 *異議なし! 「それでは、私の方から、説明させていただきます。」「○○ですか、今日はお休みをいただいております。」 止めましょう。

 

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第33回JAL千歳国際マラソン2013

2013-06-02 17:28:55 | Weblog

 例年JAL千歳は、霧がかかり、雲が厚く、寒々とした天候なのだが、今日は、カラッと晴れて、18℃で暑くも無く、絶好のマラソン日和だった。

 フルには、あの公務員ランナー川内選手が出場と言うことであったが、自分の種目で精一杯、見る余裕は無かった。その替わり、ハーフに今年からコンサドーレ札幌の社長を務めている野々村芳一氏が走っていた。偶然、スタート場所も私のそばで、ちょっと緊張気味、現役時代よりかなり体重が増えているようだった。

 途中コースに折り返し地点が1箇所あり、すれ違いでは野々村氏との間隔がかなりあり、その後追い越されていないので、とりあえずの野村氏よりは早かったと思う。それだけが収穫。

 天候などのコンディションは最高だったが、前日の走り込みを少しがんばり過ぎたのか、最初から足が重いのには参った。疲労をすっかり抜くなどこちらのコンディションをもっと考えるべきだったと反省。

 昨日は、白石区南郷通り13丁目付近、白石サイクリングロードの八重桜が満開だった。例年は、5月20日頃だったと記憶しているが、見事な桜のトンネルが出現していた。

 

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