晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

中村文則 『私の消滅』 宮崎勤 精神分析 

2023-01-26 13:17:30 | Weblog

年寄りのひがみを一言。今月、コロナウィルスに罹患して亡くなる国民は1,000人に達するだろう。マスコミは「基礎疾患のある高齢者が死亡者の大半である」という。言外に「だから仕方がないのだ」という声が聞こえる。基礎疾患のある者、高齢者は社会のお荷物ということなのか。介護、医療、年金などの負担が軽くなるから黙殺?

 

『私の消滅』(中村文則著 文芸春秋 2016年刊) 宮崎勤 精神分析

放送大学の2学期試験をえたので、苦手な小説を読んでみようと近くの図書館に行く。中村文則氏の名前は最近の新聞で時事問題について発言していたような気もして少し古いが『私の消滅』を借りる。

結論を言うと、わかったような、わからなかったような、僕には入り込めない小説だった。僕の能力が足りないせいだろうが、ストーリーを追えない。後戻りして読みなおそうとも思わなかった。

中村氏は、精神病や精神分析の知識、過去の犯罪分析などを交えながら本書の中でこんなことを言っているようだ。

私って誰なのか、またあなたって誰なのか。私が私であるのは私が私と思っているから。ではどうして私は私と思っているのか。それは、私の中に過去の私の記憶があるから。では過去の記憶を変えれば、私は私でなくなるのだろうか。私はあなたになり、あなたが私になることができる。こんな難題を解こうとしてこの物語を展開したということなのだろう。(誤読ならご指摘を願いたい。)

僕はどうしてこの物語に没入できなかったのだろうか。ひとつは、中村氏の著作に『教団X』(未読)があるのでもう少し社会派的なテーマを扱っているのかと一方的な期待を持ったこと。あとは、本筋を補強する人物や情景の描写が淡泊で、登場人物たちそれぞれの個性が出ていなかったこと。また場所や季節、温度、昼夜など情景のイメージが湧いてこなかったことがある。

「私って誰なのか」を問うことは壮大なテーマだと思う。これを考えるなら、僕には違うフィールドの方がピタッとくる。哲学、倫理学、宗教学などの普遍的なテーマだからだ。難解ながらも自分がそこに入り込んで格闘してみようと思うから。

 

 

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安保3文書とウクライナ侵攻

2023-01-16 16:45:49 | Weblog

昨日(2023.1.15)の道新朝刊に、バイデンに首根っこを押さえられたキシダの写真が掲載されていた。この景色はいつか見たことがある。そうだ、マックアーサー大元帥の横にちょこんと並んだ昭和天皇の御姿だ。この国は77年経っても敗戦国扱いか。

 

安保3文書とウクライナ侵攻       

『年末・年始に考えたことを日記風に』

2022.12.14 ロシアのウクライナ侵攻で一番喜んだ(大儲けした)のは米国の軍事産業だ。そして今後は日本からの注文も増えるだろう。この戦争の構図も見えてきた。それは、侵攻直前にバイデンは米軍の参戦はないというシグナルを出し、それにプーチンが乗った。一方、ゼレンスキーはNATOに加盟することができNATOの一員として共に戦うことができると読み違えた。(トルコが反対)そして僕がウクライナに賛同できないのは男子の国外退去を禁じたからだ。ゼレンスキーは戦いたくない、人を殺めたくないという人びとの自由を封じた。また、世界を見渡すとウクライナ支持で皆が一致しているわけではなく、ロシアもウクライナも支持しないという国がアジア、アフリカ、南アメリカなどに多数存在する。

2022.12.25 あたかも戦争は避けられないような雰囲気づくりが進む。今にも敵(中国、北朝鮮、ロシア)が攻めて来るぞ。その時には家族を守るため銃を持って戦うのは国民の当然の義務だ。このマヤカシの論理に反論しにくい空気が立ち込めている。では、それに対抗する論理をどう立てたらよいのだろうか。対話による外交が重要だとか、武器購入は米国の軍事産業を儲けさせるだけだ。こんなのではちょっと弱いと思う。ウクライナ侵攻後の情況下で大衆がなるほどその通りと思える論理が必要だ。

2023.1.5 安保3文書(アンポンタン3文書と呼びたい)は、昨年(2022)の臨時国会開会中にはまだ検討しているということで内容を明らかにせず、国会閉会後に即刻閣議で決定した。そして今月(1月)通常国会の開会(23日)前にキシダは訪米しバイデンに報告してしまった。法案化しなければ国会審議は要しない、重要国策を閣議で決定し国権の最高機関たる国会をスルー。この国会での審議は“後の祭り”。許せない。さて野党はアンポンタン3文書を真っ向から否定できるのだろうか。うがった見方をすれば、政府が一方的に決めたことなので責任を被らなくて済みホッとしているのではないか。今が肝心なのに有事法制反対の時の勢いが全くない。世論を作り出すことができていない。

2023.1.7 米軍事産業から見ると、2021年8月のアフガニスタン撤退で兵器の売り先が喪失。それでロシアをけしかけてウクライナ侵攻で一儲け。そう考えるとポストウクライナは、台湾か北朝鮮。その時、今のウクライナの役回りを果たすのが台湾と日本、韓国になるのではないか。エゴ丸出しで考えると、ウクライナ戦争が長期化した方が日本の安全にとっていいのではないかと思ってしまう。

2023.1.12 ニュースは軍事がらみばかり。立憲民主党をはじめとする野党はアンポンタン3文書の内容そのものを批判すべきだ。しかし増税の可否を含む防衛費の財源論に終始する恐れあり。

2023.1.15 青臭い議論になるが、アンポンタン3文書の議論は、日本国憲法の平和主義、とりわけ第9条の戦力不保持という考え方に背いていないか、百歩譲って、専守防衛を逸脱していないか、からスタートするべきと考える。そしてアへ内閣以後、政府は法の番人であるべき内閣法制局の長官を人事で懐柔、法を逸脱しても政権の意図に沿った解釈を出させてきた。対外的には“法の支配”は普遍的な共有すべき価値観と高らかに唱えるが、自ら法治主義を毀損していることを指摘するべきだ。政治家には原則論のど真ん中の議論から始めることを期待したい。

 

 

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『拝啓 吉田拓郎様』 2023年1月1日

2023-01-02 09:33:27 | Weblog

『拝啓 吉田拓郎様』 2023年1月1日 

雪も降らず気温も高い比較的穏やかな年明けでした。あけましておめでとうございます。皆さま、このブログを読んでいただきありがとうございます。

昨年は国の内外で予想もしなかった出来事が相次ぎました。僕自身も8月末に右鎖骨を折るというケガをしてしまい、今は95%くらいまで回復しましたが中々違和感が取れない状態です。

毎年、元旦号の『朝日新聞』を買います。今年は「走り初め」と兼ねてすぐ近くのコンビニまで相当に遠回りしながらの8kmランでした。

紙面をめくりながら一番驚いたのが『拝啓 吉田拓郎様』というAvexによる見開き全面広告でした。それは昨年12月のオールナイトニッポン出演で活動を中止(引退)した拓郎への感謝のメッセージでした。そこに書かれた言葉が全てを言い表してはいないと思いますが、ファンの声を代弁していました。

深夜放送DJ、全国ツアー、オールナイト野外コンサート、フォーライフレコード設立などとアーティストたちにとって先駆けとなるようなスタイルの活動を提起してきた拓郎が、引き際においても他の人とは一味違うところを見せてくれました。僕も高校生の頃から拓郎の唄を聞いて励まされ影響を受けてきましたが、最後も考えさせられる辞め方だと思いました。

拓郎76歳。僕は68歳でまだまだエネルギーがあると思っていますが、それがいつまでも続くというわけにはいかないということはわかっているつもりです。それでも今年の目標はいくつかありますが、この左翼絶滅危惧種ブログを毎週更新できる位の新たな気付きや知識を得る、それができるような感性を磨きたいと思っています。

(2022.6.16に「吉田拓郎 ラストアルバム 『ah-面白かった』」を書きました。)

 

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