晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

『毒と薬の世界史』

2008-11-30 15:24:51 | Weblog
 11月最終日、風が強く、気温も低く、すっかり冬になったような気分。そんなことで、本日は雪読生活。11月は、このブログも随分がんばって書いたと思う。1ヶ月で19回は今までで一番多い。質より量になっているような気もする。12月は、仕事もそれなりに忙しくなるだろうから、こんなわけにはならないだろう。



 『毒と薬の世界史 ソクラテス、錬金術、ドーピング』(船山信次著 中公新書 2008年刊)

 良書である。本書には、歴史、地理、化学、医学など総合的な知識が詰まっている。「総合学習」というテーマの不明確な教科が義務教育で行なわれているが(既に、無くなりましたか?)、外部から見ている限り無駄に時間を費やしているように思えるが、本書のような本をベースに1年かけて勉強すれば、子ども達の頭の中に人文科学と自然科学の全体の見取り図を描くことができるのではないか。

 また、近年、事件において薬物が使用されたり、無意味な健康ブームでも薬物の名前が様々に紹介されているが、それらの薬物(毒物)の物質上の位置取りも大体わかる。麻薬、覚せい剤、筋弛緩剤、抗生物質などである。

 エピソードをひとつだけ、「散歩」という言葉の由来の部分を引用する。

 古代中国の鉱物薬に「五石散」がある。気分を爽快にする強い薬である。薬効があらわれることを散発というが、散発となったら歩かなければならない。これを「散歩」という。

 最古(平安時代)の医書に丹波康頼(俳優丹波哲郎の先祖に繋がる。)が著した全30巻の『医心方』の中に、鉱物薬を用いた際の薬害についての記述があり、鉱物薬の害から逃れるためには、歩きまわらなければならず、「散歩」という言葉はここから生まれたという。




 
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