晴走雨読

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「作家的時評集」高村薫 その1

2007-12-03 20:57:31 | Weblog
 「作家的時評集 2000―2007」(高村薫著 朝日文庫 2007年刊)

 論壇時評に代表されるようなその時代に対する発言集を読むのは楽しい。
時間の流れを振り返ることができる、その時自分はどのような事に直面し、どのようなことを考え、何をしていたのかなどと。

 作家高村薫は、北海道新聞に毎月「時評社会」というコラムを持っていて、いつもパンチの効いた短文を寄せている。今までに高村の作品としては、「レディ・ジョーカー」を読んだが、それはグリコ森永事件を題材にしていたかと思うが、ストーリーが骨太であると同時に緻密で、サスペンスとしては非常に面白かった。少し描写が詳しすぎて、長すぎるのが欠点だが。

 「作家的時評集」は、この8年間、高村が新聞などに寄せたコラムをまとめたもの。

 2000年の主な出来事、4月小渕首相が急死、森政権に。2月大阪府知事に太田房江が初当選、全国初の女性知事。その太田氏、本日3選不出馬声明。国会で党首討論が始まったのもこの年の2月。6月金大中、金正日会談、7月そごう倒産、9月シドニー五輪、10月田中康夫が長野県知事に、大晦日に世田谷一家殺人事件(未解決)

 高村は嘆く、新年の祝いとともに記憶の全てを流してしまうこの国の国民性を、「嘘」だらけの警察、行政、食品や薬品メーカー、モラルを失った警察、公務員、教育者、そして、選挙に行かない国民、インターネットに代表される匿名社会の危うさを。
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