仰臥での手術中のx線画像なので、上下さかさまになっている。
内側関節面(内顆)から亀裂が走ってしまうと、どんどん近位方向へらせん状に伸びていく。
骨折した当日、夕方にスクリュー固定した。
スクリューを6本入れて骨折線を圧迫し、背足底方向では骨折線は見えなくなったが・・・・
角度を変えて撮影すると、6本のスクリューより近位にまだ、背側と足底側を分けるような亀裂が走っている(矢頭)。
それで、さらにもう一本スクリューを追加した。
このあたり(骨幹部)の背側皮質は非常に厚く硬い骨なので、圧迫スクリューは強固に効く。
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致命的な骨折に悪化しないようにするためには中足骨全長にわたるようなプレート固定が推奨されるタイプの骨折なのだが、外科侵襲が多くなって、骨膜増勢や伸腱の癒着が起こり、競走馬にはなりにくくなってしまう。
骨幹部にまで骨折線が伸びているために、麻酔の覚醒が危ないので、フルリムキャストを巻いたり、覚醒用のプールで覚醒させたりということを行っている馬病院もある。
立位でスクリュー固定を試みた報告もある。
私は、発症してからできるだけ早く手術することが大切だと考えている。
骨折線が伸びず、広がらないうちにスクリューで圧迫してしまえば、リスクを減らすことができる。
短時間で手術を終わらせることもスムーズな覚醒のために大事。
そして、覚醒には吊起帯を使った。
研修会があった日で、獣医師2人しかいなかった。
たいへんだが・・できる。
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繁殖雌馬の縦隔型リンパ腫の剖検。
齰癖する上がり馬の上顎切歯の抜歯。
蹄葉炎の繁殖雌馬の深屈腱切断術、立位で。
夜、子馬の臍ヘルニア。
どうぞお体お気を付けてください!
こちらはまた朝顔が咲き始め、ギンヤンマが飛んでいました^^
かつては、器具を滅菌して、教科書で勉強し直して、できたら解剖体で練習して、1日か2日後に手術。でしたが、今は骨折したその日に手術するのが一番と思っています。事情が許せばですけど。
カラスノエンドウに似ているのですが違うみたいです。いまわんさか咲いています。
そちらは夏第二段でしょうか?
Bush clover、関西以西だとお彼岸ごろが盛りで秋のはじまりという感じですが・・・
プレートを使いたくても、競争馬としての予後を考えると難しい症例も出てくるんですね。
麻酔の覚醒時の事故も考えなくてはならないのですね。
きっとそうです。けっこう茂った木で、葉っぱは丸いです。ありがとうございます!
競走馬は、ゆっくり確実に治そうというのは許されません。どのくらいの休養期間で治る、どのくらい費用がかかる、術後の成績はどうなる、が手術してもらうえるかどうかに関わってきます。
吉野家馬外科医(安い!うまい!早い!;笑)が望まれるゆえんです。
そこを閉じていっても亀裂終末(先端)部への応力集中をもたらすように思えますが、如何でしょうか。
これを防ぐためには、亀裂終末を閉じるスクリューを第1に打つべきように思えますが、そのような術式になっているのでしょうか。
骨折線を長くしてしまう前に立位でも良いから早く固定してしまう、という流れは納得のいくところです。
螺旋方向に圧迫をかける様なプレートは存在するのでしょうか。
そのようなプレートがあれば短くても有用に思えるのですが。
相変わらずぶしつけな質問で恐縮です。
螺旋骨折の骨折面を正確に把握するのは難しいのですが、骨折線に垂直にスクリューを入れて、骨折線が見えなくなればひとまず悪化を止める役には立つだろうと考えています。
骨折線の起始部からスクリューを入れていくべき、という考えは面白いです。そうする外科医もいるようです。完全に割れてしまっているのでなければ、ずれは大きくはないでしょう。完全に割れているのなら、関節面にずれが残らないように確認しながら関節側から止めるべきです。