18歳の繁殖牝馬が、5日前から右後跛行。
左右とも直飛(飛節の屈曲が少ない)で球節が沈下している、
浅屈腱脱位を疑っている、とのこと。
右飛節は形がおかしい。
浅屈腱が外へ脱位しているし、
飛端の滑液嚢や固定装置が崩れている。
左飛節も同じ。
左飛節は球節も大きくなっているので、もう慢性化しているのだろう。
右は5日前に悪化したのかもしれない。
Lameness in Horse を古い版から渉猟してみると、それぞれ写真が載っているが、
あまり良い写真ではない。
若い獣医さんの参考になればと思って、外貌写真を載せておく。
外科治療はいくつかの方法が報告されているが、成果はかんばしくない。
最新の情報では、中途半端な脱位は痛みの要因になるので、腱鞘鏡手術で完全に脱位させることで痛みがなくなる、というIan Wright 先生たちの症例報告が紹介されている。
ただ、今回の馬は18歳の妊娠馬なので、吸入麻酔をかけての手術にリスクがあるだろうし、
右の痛みも徐々に左のようには治まるだろうと判断した。
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DSLD(ESPA)の所見のひとつとして皮膚の過伸長がないか引っ張ってみたが、この馬は正常だった。
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前夜に引き続き結腸左背側変位の1歳馬の開腹手術。
もう発症3日目で、結腸は膠様浸潤を起こしていた。
右背側結腸に便秘塊もあり、結腸骨盤曲を切開した。
結腸を空にしてやることは、その後の結腸の回復の助けになるだろうと思う。
再発しないように注意が必要だが、すでに十分注意した給餌管理がされているとそれ以上は難しい。
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私はこれで仕事納め。
夜間当番も休日当番もないので、”正常な”、”世間並みの”、”当たり前の”、”かたぎの”、年末年始をすごす。
みなさん、1年お疲れ様でした。
どうぞ良い年をお迎え下さい。
痛みもなのでしょうけれど、運動で腱が変位して関節も定まらず歩様いよいよ訳わからずとなりそうな気もします。
首おかしくなって早逝されたスーパーサイアーさんなんかも遺伝的に無関連ではないのかも知れませんよ。
ヒトにマルファン症候群というのがありますが、そんな感じなのかなと思います。
年末年始休んでる奴らなんか生涯社会的イニシアチブ与えなくて良いんじゃないですかね。
みんなで楽しよー言って人こきつかっちゃダメよね。
週休毎年1日増やしていくとかどうですか笑
重種の妊娠馬、悪化することがないのは管理が良好なのかそもそも重さに耐えるものなのか?
治療となると個体ごとに適応の判断となりそうですね。
腫れて急性期を疑うときは触ってみて熱いかどうかですかねぇ。負重困難ならすぐ担当さん呼びますけど。
便秘もある1歳馬。運動量は十分でしょうね。
いつもたくさん遊んでもらっている馬たち、ふれあいや引馬などのお仕事が苦痛でなく、愉しいと思えるようだといいな、と。
当たり前の、普通の、そういうことってありがたいことですね。
よい年末、年始となりますように。
この12月から夜間当番、急患対応から引退させてもらいました。うちは地域の救命救急もやってますから、いったい何歳までそれが可能なのか、もちろん人それぞれなのですが、60を過ぎて、というのは無理があると思います。
本当に「今日発症しました」「きのう発症です」という症例は私は診せられたことはありません。腫れが治まりかけて、あれっ、何かヘン?というを診せられることが多いです。あるいは完全な慢性例をこちらで指摘するとか。