馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

喉頭片麻痺による喘鳴症

2007-01-14 | 呼吸器外科

 学生の頃通っていた乗馬クラブに、喘鳴症の馬がいた。Pa210068_1

速足で乗っている程度でもゼーゼーヒューヒュー鳴って、苦しくなるようだった。

「大学の外科の教授に処方してもらった薬を与えていて、少し楽なようだ」とも聞いたが、今にして思えば、神経麻痺による喘鳴症が投薬で楽になるはずはない。

 芦毛の細身で小柄な雌馬で、1、2度乗せて貰ったが、反動が柔らかい馬だった。

しかし、気性が悪いところがあり、人を乗せたくない時には馬房の中で尻を向けて来て、つかませなくなる馬だった。

喘鳴症のせいで、運動させられると苦しいのでそうだったのかもしれない。本来はおとなしい馬だった。

あの喉鳴りでは乗馬も長く続けられなかっただろう。

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P3090021_2 左の披裂軟骨が垂れ下がった喉頭。

深呼吸させても、左の披裂軟骨は外転しない。

神経が麻痺して動かなくなっている。

P3090020_1 こういう喉頭片麻痺の馬は、強い運動中には左写真のように左披裂軟骨が虚脱を起こして、気道を閉塞させる。

こうなると馬は苦しくて止まってしまう。

この喉頭片麻痺による喘鳴症の外科治療としての喉頭形成術 Tieback についてはこの次。

 

 


2 コメント

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こんにちは。古い記事に書き込んですみません。思... (カワイ)
2007-05-14 04:43:53
こんにちは。古い記事に書き込んですみません。思い出話ですが、学生時代、馬術部に喘鳴症で鶏跛の、スーパー乗馬がいました。学生の中障害までならば、落とすことはあっても絶対に止まらない、たとえ連続障害の途中で人が落馬しても馬だけ跳んでくる、というすごい馬でした。大柄なセン馬でしたが、私が大学にいた6年間で止まったのは2回だけ、その時乗っていた友人は、監督にボコボコにされながら(すみません、なにしろ体育会系なもので)、「いまのはオレが悪い。」と納得していました。今から思うと牧歌的な話ですが、こういうヒジョーシキな馬がいたと思うと、なんだか嬉しくなります。
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>カワイさん (hig)
2007-05-14 06:19:50
>カワイさん
 すごい馬ですね。障害を飛ぶのが好き。という馬はいるようですね。馬場へ放牧すると、馬が自分で障害を飛んだのを見たことがあります。
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