発熱と不調で来院し、輸送熱(胸膜肺炎)の再発かと思われた上がり馬は4日後に死亡した。
「あの程度の胸膜肺炎で数日の経過で死ぬか・・・」と思ったが・・・
剖検したら腹腔内がひどいことになっていた。
盲腸と大結腸が壊死している。
左の胸腔に胸膜炎はあったがひどくはない。
前腸間膜動脈根部に血栓による完全閉塞があった。
血栓をほぐしたら普通円虫の仔虫が何匹か見つかった。
盲腸動脈、結腸動脈にも血栓があり、そちらでも円虫の仔虫が見つかった。
死因は「寄生虫栓塞による大結腸・盲腸の壊死」だった。
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この病気の多くは消化器症状(主に疝痛)を示す。
この馬はそれがまったくなかったので疑うこともできなかった。
腹部も超音波で診たが、腹水増量もなかった。
診察中に、私は駆虫したか訊いて、不調なのでまだ駆虫していない、という返事だった。
不調でも構わないから駆虫しなさい、と私は言った。
私が寄生虫性動脈瘤の可能性を考えたのは蛋白電気泳動像が寄生虫性動脈瘤パターンだったから。
β領域に異常な増高があり、それも鋭いピークではなくβ1とβ2がつながる。
昔よくみた。
しかし、イベルメクチン普及後はほとんど見なくなった。
知っているのは、私より上の年代の獣医さんだけだろう。
私が指示したとおり駆虫したのかどうか知らない。
いずれにしても手遅れだった。
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またゆきふったです
ゆきふっててもウン〇さんぽいきたいです
獣医もっと頑張らなきゃと思います。
β分画の正体は何なのでしょうか。
免疫的なものなのか、循環障害の指標となりうるものなのでしょうか。
記事だけでも勉強になりますが、アンカーのhig先生もっと記載されてください。
でないと後の人間はイベルメクチン耐性が増えて症例に遭遇する機会が再び増えてきても多分ピンとこないで、別のものと解釈してしまうことになるでしょう。
時間が許す限り、全身状態を確認することの大事さ。
オラ君、おはようございます。うんちもgood lookingでしたか?
予報どおり、予想以上に冷えました。
北米ではそもそも蛋白電気泳動をあまりやらないようです。このような動脈瘤パターンは電気泳動をやらないと気づきもしません。
IgG(T)だという文献があったりもしますが、詳細はよくわかっていないようです。
盲腸動脈、結腸動脈はすでに肥厚していたと思います。しかし、通常は体表からは超音波でも見えないのです。
腹水は腸管壊死が全層に及ばないと増量しないでしょう。
直腸検査して超音波プローブで腹大動脈のドップラー検査をすれば波形の異常があったかもしれません・・・腹大動脈そのものは狭窄もしませんので、異常ないかも。
今まで何例かこの病気だと推定診断して治療して良くなった症例を経験していますが、確証はありませんし、もっと早期で軽度だったのだと思います。
そして、何より「予防しろよ」という話です。