馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

結腸捻転警報発令

2019-05-21 | 急性腹症

土曜日の午後2時半、種付け帰りにそのまま疝痛で運び込まれた繁殖雌馬。

超音波で肥厚した結腸壁が見えて、そのまま開腹手術。

朝から疝痛でフルニキシンを2回投与して種馬所へ行ったが、疝痛で鎮静剤を投与して帰って来た、という。

種付けに行くべきではなかったのだ。

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入院厩舎へ行ったのが夜7時。

そのあと夜9時過ぎ、同じ牧場の繁殖雌馬がひどい疝痛との連絡。

来院したら痛くて立っていられない。

鎮静剤を投与しても倒れこんでしまう。

ひどい腹囲膨満。

血液検査でPCVが50%を超えているのだけを確認して急いで開腹する。

結腸捻転で間違いない。

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その手術の片付けが終わらない夜中、2歳馬の疝痛の依頼。

来たら落ち着いていて、血液検査所見も悪くない。

帰って経過を観てもらうことにした。

終わって1時過ぎ。

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2時過ぎに繁殖雌馬の疝痛の依頼。

「ひどく痛い」とのことなので、鎮静剤を投与して連れて来るように指示。

来院したのは3時半。

痛みはひどくない。血液所見も悪くない。

結腸捻転ではなさそうだ。

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日曜日はほとんど寝ないままやっかいな関節鏡手術を2例。

夜は、私は当番ではなかったが、結腸捻転の馬が来院し、結腸の傷みがひどくあきらめたそうだ。

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そして月曜日、夕方また疝痛の依頼。

またまたまた結腸捻転だった。

再発防止のcolopexy中。

終わって夜8時。

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1年でもっとも日照時間が長い時季になっている。

気温も高い。

青草はどんどん伸びている。

1週間以上雨が降っていないが、今日はこれから雨だ。

草はさらに伸びるだろう。

結腸捻転警報発令です。

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注意報じゃない。警報だ。

すでに被害は出ていて、さらに重大な被害になる恐れがある。

「命を守る行動をとってください」って、朴訥とした気象庁のおじさんが言うやつだ;笑

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とうちゃんもくさ刈れよ

 

                  

 

 



6 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2019-05-21 07:20:18
 ぽんぽん痛いおんまさんに種付け。競馬に負のイメージが強化されますね。ヒトの都合や利益を優先する場面で馬を守る手段、ルールはないのですか?
 そもそも青草では疝痛になりにくいのでしたね。食べすぎ警報でしょか?食べ物が変わることへの飼養管理警報?

 colopexyの症例数はだいぶ蓄積されましたか?予後はどうでしょ?

 天候、季節の変動に合わせていろいろに作業があるけど、先生方も、作業する方も怪我や体調不良に気を付けないと、ですね。

 オラ君、気持ちよさそに散歩、いいですねー。
 先日、ふと沙流のスズラン思い出しました。
 そうだ、そうだ、ほんとはいい季節なはずだった。いいイメージ復活させて過ごすゾ。
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あー (とんすけ)
2019-05-21 07:28:00
この警報が発令されるたびに、自馬持ってるわけでもない私がビクビクします…
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Unknown (脱サラの牛飼い)
2019-05-21 18:00:18
北海道でも比較的暖かいところなのに、牧草(チモシーが主体?)はまだまだ出穂前の低繊維・高タンパク、高カロリーの時期なのでしょうね。

素人考えですが、昼間放牧と思うので、朝放牧前の早朝に厩舎で乾草を食べさせると良さそうに思うのですが?
  すでにやっていたり、朝に乾草やっても後においしいものがあるのを知っていて給与しても食べないのかもしれませんが。

牧草といえども、出穂前は乾物中のたんぱく質は20%前後、繊維は濃厚飼料に毛が生えた程度、怖い飼料です。そのくせ凄くおいしいのだと思う。
牛ならグラステタニーやワラビ中毒、施肥の時期によっては硝酸態中毒、心配事ばかり。
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>はとぽっけさん (hig)
2019-05-22 05:19:10
経済動物として飼われていますが、死なせては経済的にも損失です。単なるミスです。

結腸捻転が多発する生産地では、1回目からcolopexyすべきだと確信しています。この1年に、ヨソでcolopexyしなかった再発例が何頭も来ました。

春は良い季節なはずですが・・・・生産地には過酷な季節でもあります。
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>とんすけさん (hig)
2019-05-22 05:21:51
これくらい毎晩、疝痛馬が来ると「今晩もどうせ来るさ」と開き直っています。手術中に他のを頼まれると、寝ているのを起こされるより楽だったりします;笑
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>脱サラの牛飼いさん (hig)
2019-05-22 05:30:42
基本的には、無料の高栄養の青草をいっぱい食べさせたい、という馬飼いの思いがベースにあるようです。そして北国では季節が急変します。つい数週間前までストーブを焚いていたのに、暑さを感じるようになり、日照時間は南国より長くなっています。

放牧前に乾草を与えるのがバランスをとることにつながるかどうか、興味があるところです。牛とちがって馬はいくらでも食ってしまう動物なのだそうです。牛飲馬食というのは正しいのです。
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