真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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駄楽ひまなときブログ
行きつけのお店のブログ、下戸なのに。しかも閉めたんだけどね
ツイッタ
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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魔性尻 おまへが欲しい
は行
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2021年09月19日
「
魔性尻 おまへが欲しい
」(2020/制作:ファミリーツリー/提供:オーピー映画/監督・脚本:ベビーブーム・マサ/脚本:今奈良孝行/プロデューサー:榊英雄/音楽:北村太郎/撮影:川口晴彦《PHOTOGRAPHERHAL》/照明:土井立庭/照明助手:堅木直之/録音:木村健太/整音・音響効果:服部俊・中村未来/ヘアメイク:MAKO/仮面制作:小林雄二/タイトルデザイン:佐々木統剛/ガンエフェクト:小暮法大/助監督:三輪江一・飯山嘉幸/美術協力:北山陽二郎/仕上げ:東映ラボ・テック/協力:木原佑輔・深野光洋・リバーマウス・ニューマタンゴ・WILD JUMBO/出演:知花みく・アベラヒデノブ・篠崎かんな・三浦知之・鈴木義君・前野恵・関幸治・沢村東次・石川雄也・今奈良孝行・石橋侑大・宮川太一・飯山嘉幸・千葉勲・榊英雄・飯島大介)。出演者中、沢村東次と飯山嘉幸・千葉勲は本篇クレジットのみ。
載せてゐた尻が離れた、アベラヒデノブの恍惚とした横顔に大書で威勢よく叩き込むタイトル・イン。刑事の佐久間(千葉)と大木(榊)が―面相は抜かれない―制服警官もう一人(後述する消去法でセカンド助監督)を伴ひ、アベラヒデノブと三浦知之の死体が転がつた廃工場に入る。佐久間いはく蜂の巣といふ割に二人の遺体には二発づつの銃創があつたが、何時の間に鑑識を済ませたのか、アベラヒデノブの死因は窒息死だつた。一ヶ月前は飛ばして十五年前、新進俳優として脚光を浴びかけてゐた後藤日出男(アベラ、が苗字なんだ)は、共演した大先輩の清十郎(今奈良)から、芸能界御用達とかいふ占師を紹介される、石橋侑大が二人を引き合はせる助監督・ユウタ。日出男が素直に訪ねてみた夏目結衣(篠崎)は、
ODZ
に於いて坂ノ上朝美が繰り出した、今なほ鮮烈な印象を残す爆乳肩揉み式のオッパイ枕と、雷電ドロップばりの顔面騎乗で日出男を籠絡。要は結衣に溺れやがて失踪した日出男と、日出男の同級生で、当時DJといふ設定に大した意味もない川村光司(三浦)が往来にてバッタリ再会。結衣の下に乗り込んだ川村は、“お前のためにやつてやつたよ”と称して結衣を刺殺する。十五年後、日出男の父で有限会社「後藤モータース」社長の裕也(飯島)は、俳優業を引退した日出男が継ぐ予定の後藤モータースに、お勤めを終へ出所した川村を迎へ入れる。
配役残り、封切り時には既に―事務所―移籍改名してゐたらしい知花みくは、日出男が想ひを寄せる後藤モータース女子社員・小平恵。宮川太一と鈴木義君は、界隈に出没するポン引きのタイチと芦田智幸、時間差の後塵を拝す芦田の方が兄貴分。実生活まんまの役をノーミスのカッコよさで振り抜く石川雄也が、日出男が恵を誘ふ、実名登場するバー「ニューマタンゴ」(渋谷区本町)のマスター。石川雄也がダーリンから名義を戻すのも何時以来かと調べてみたら、佐々木浩久ピンク映画第三作「
好色男女 セックスの季節
」(2019/脚本・監督:佐々木浩久/主演:栄川乃亜)をケロッと忘れてゐた、忘れるやうな映画なんだけど。三人一遍に登場する前野恵・関幸治・沢村東次は裕也が川村を紹介する、後藤モータースの経理担当・林光子と、工員の楠木哲と中谷真一。社員の頭数が二桁にも満たない零細企業で、恵が何の仕事をしてゐるのかは気にしんさんな。その他芦田が声をかける“お尻のオリンピック”を、愛想笑ひで回避する男がチーフ助監督臭い気もするものの、見切れ具合が速すぎて確証能はず。何れにしても飯山嘉幸ではないのが、後述するとした消去法の所以。
小癪極まりなくも一般映画版「アブノーマル・ロデオ・ブルース」(80分)は本名義で発表した、廣田正興改めベビーブーム・マサのピンク筆卸作。ベビーブーム・マサといふのは廣田正興が元々使用してゐた筆名だといふが、当サイトにいはせればオーピーもオーピー、斯様なナメた真似を何故許す。脊髄で折り返して廣田正興に腹が立つ返す刀で、最後の牙城といつてはエクセスに失礼ではあれ、量産型裸映画の本丸を担つてゐる自覚が果たしてあるのや否や、大蔵の生温い態度も甚だ嘆かはしい。頭を冷やしてクレジットから如実に窺へる通り、
角田恭弥
に続き榊英雄が連れて来た外様が、どうも共倒れもとい共々、ワン・ヒット・離脱の賑やかしで終る模様。えゝと、全然冷えてないよね。
廣田正興が今作の想を得たとする、友人の俳優部が占師にガチで心身を囚はれた実話とやらは、当該俳優部の名前を出せないか出さない以上、あくまでありがちなギミックに止(とど)まる、といふ半ば突き放した扱ひに落ち着かざるを得ない。日出男に対する裏返した劣等感を川村が拗らせてゐるぽい、重たいつもりのドラマは呪文みたいな掴み処のない芸名同様、アベラヒデノブのアベラヒデノブな口跡に逆噴射された結果、ストレートに判り辛い。藪から棒な恵の首絞め願望に劣るとも勝らず、日出男の個展を開くレベルの趣味が仮面作りだなどといふのも、清々しく木に竹も接ぎ損なふ。クライマックスの舞台に、しかもあんな馬鹿デカい藪蛇か逆説的な小道具を持ち込む一見へべれけな無理に関しては、恵に挿す力技の道理に免じて等閑視。尤も、あるいはそもそも。死にすら至る苛烈な性的嗜好を描くにしては廣田正興に旦々舎の馬力なり、殊に山﨑邦紀の甘美であると同時に冷徹な夢幻を望むべくもなく。失速するだけのスピードも終に出ないまゝに、煙滓みたいな情けない龍雲が青空にポケーッと浮かぶ、屁のやうなラスト・ショットの何気に壮絶な破壊力まである意味等速直線運動。我ながらムチャクチャな数式だが、役所広司と深澤和明(ex.暴威)を足して二で割ると案外このくらゐになりさうな―深澤和明の負のベクトルはそこまで大きいのか―三浦知之はまだしも、一切の華といふ華をオミットした、ジミー土田の下位互換的なアベラヒデノブが、一本の劇映画を背負はせるには土台苦しくはなからうか。ビリング上に大穴の開いた致命傷に加へ顕示的な瑕疵が、言葉を換へると画が完全に負けてしまつてゐる、二番手の威圧的な乳尻をも霞ませかねない勢ひでラウドに鳴らす、無駄に前に出過ぎる劇伴、伴へよ。いはにや伝はらないのならいふてやるが、俺達は女の裸を観に来てゐるんだ。他愛ないスコアを、聴きに来た訳ぢやない。男主役をさて措くと―主役につき措けないが―パッと見そこそこ手堅さうな俳優部の面子にも思へ、一旦自身を半殺しにノシた芦田を、日出男がニューマタに連れて行つてのガード下。千鳥足も満足に踏めない大根二本が、無様に右往左往してゐるのはそれは転調ばかりのタップか何かか?反面、所々従来の文法的には不要に映らなくもない粗いカットの跨ぎと、描かないのか描けないのか、頑なに射精もしくは絶頂に至らない至らせない完全未完遂は兎も角、邪魔臭い音に耳を塞げば絡みは質量ともまあまあ。中でも非裸稼業から猛然と飛び込んで来ては、豪快な脱ぎつぷり乱れぶりでゴトモタ肉便器の座をエクストリームに撃ち抜く、前野恵の淫靡なブレイブは大いなる賞賛に値しよう。ピンク継続参加の期待は元より霞よりも薄さうだが、この人の濡れ場が一番クッソどエロかつた。当サイトは結衣の魔性尻よりも、光子にジュッポジュッポ吹いて欲しい、
黙れ
、
息すんのやめれ
。面白くない詰まらないでいふと話を変へようかといふ仕方のない体たらくにせよ、勃つ勃たないなら意外と満更でもなく戦へるのかも知れない、首の皮一枚繋がつた一作、てなところである。
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