真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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2007年九月で消滅した旧本館より継続して使用中の掲示板です
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駄楽ひまなときブログ
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友松直之監督のブログ、激しくエモーショナル
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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再会の浜辺 後悔と寝た女
や行
/
2018年10月11日
「
再会の浜辺 後悔と寝た女
」(2018/制作:VOID FILMS/提供:オーピー映画/脚本・監督:山内大輔/特殊メイクアップ・造形:土肥良成/撮影監督:中尾正人/録音:光地拓郎/編集:山内大輔/音楽・効果:project T&K・AKASAKA音効/助監督:江尻大/特殊メイクアップ&造形スタッフ:大森敦史・串淵徹也《spitters》・江沢友香《spitters》・長谷部美月/撮影助手:戸羽正憲/監督助手:村田剛志/演出部応援:菊島稔章・小関裕次郎/ポスター:本田あきら/沖縄ロケコーディネーター:リチャードTH/協力:はきだめ造形・ウエストビュー・おほはまキャンプ場・梁山泊 山の会/仕上げ:東映ラボ・テック《株》/出演:涼川絢音・川瀬陽太・桐島美奈子・ほたる・竹本泰志・森羅万象・和田光沙・細川佳央・岡田貴寛)。
雲に塞がれた暗い海の情景と、“先の戦争”の影響も懸念される、島魚“しまうを”のPCB汚染を伝へる主(ぬし)に辿り着けない女声のニュース音声。当の島魚を、切れない包丁でグッチャグチャ苦心して捌く手許。真白のカーテンみたいなワンピースで身を包んだ涼川絢音が砂浜に現れ、暗転タイトル・イン。銛で島魚を仕留めたミカヨ(涼川)が、ダイビングスーツを脱ぐ。ピンク参戦当時より確実にプログレスしてゐる、頭身から伸びた気すらする涼川絢音の浮世離れたスタイルの良さに惚れ惚れさせられるが、地に足の着いた下心には寧ろ触れないのかも。同じ与太を蒸し返すのは、二本撮りに免じて許されたし。そのまゝ黒ビキニでミカヨが弁当を食べてゐると、釣竿を抱へた吉井(川瀬)が現れ、ミカヨは肌を隠す。帰りしな、高橋(竹本)のハイジェットに声をかけられたミカヨは一旦無視するも、結局車に乗り何処ぞのホテルで寝る。
配役残り、和田光沙は高橋の妻・明恵、夫婦生活はオッ始められない。激しくといふか滅茶苦茶に動いて誤魔化してゐるが、トランスなグルも恐らくこの人。細川佳央は、妊活中のミカヨ夫・佐藤準一。準一と、外から流れて来た吉井の稼業は、島に未だ大量に残る地雷撤去の作業員。森羅万象も作業員の三沢で、吉井・準一らの班にもう二人ゐる内の一人は、作業風景が最初はこの人から抜かれるリチャT。もう一人と、作業員が食事といふよりは餌を与へられるシークエンスに見切れる、更に若干名は演出部か、それと高橋が手配師。左目上に大きなケロイド状の特殊メイクを施したほたる(ex.葉月螢)は、男達に―金を取り―身も任せるある意味正しく飯盛女のシズエ。地雷帯に住みついた、戦争未亡人最後の生き残り。元々刑事の吉井は、放たらかしにしてゐる間に間男を作つた妻を殺害、七年臭い飯を食つてゐた。ボリューミーな爆乳で正方向の煽情性に関し一人気を吐く桐島美奈子が吉井の妻・恵美子で、岡田貴寛が間男の鈴木。吉行由実2016年第一作「
女教師の秘密 縛つてあげる…
」(主演:加納綾子)、自身三年ぶり二本目となる松岡邦彦によるデジエク第九弾「
おばちやんの秘事 巨乳妻と変態妻なら?
」(2017/脚本:金田敬)に続く、ピンク第三戦となる桐島美奈子はこの後も吉行由実2018年第一作?が控へ、地味にキャリアを継続させてゐる。柴原麻里に半殺しにされた上焼かれて止めを刺される、新興宗教団体「希望の輪」脱会信者の声は多分EJD。
山内大輔2018年第二作は、四週前に封切られた「
変態家族 碧い海に抱かれて
」と、沖縄ロケ二本撮りの涼川絢音引退企画。ビリング順にシズエ・高橋・三沢・明恵が御馴染のスターシステムで脇を固める中、戦争の傷跡が色濃く残る島を舞台に、2015年第一作「
痴漢電車 悶絶!裏夢いぢり
」を大胆に直結した物語が展開される。コーズー!と擬音をも目に浮かぶ、絶好のロケーションを爆加速するギャバンな、もといダイナミックな構図とエッジの利いた色調補正で超絶のショットを連打し続ける反面、明白に画に負けた劇伴のトロさは、鈍足の馬脚を露し倒す。主演女優の絡みは殆ど二次元に近い体型に加へ、終にドラマ性の誘惑ないし色気に抗し得ず。暗鬱か、南国なのに白夜にも似た静寂な景色のカレンダー風な画像映画としては兎も角、いまひとつ物語的には決定力を欠きつつも、劇中世界が迎へる終末に、始終は轟然と猛起動する。島魚の毒にヤラれた者がバタバタ死んで行く死屍累々の果て、シズエことほたる(ex.葉月螢)が貫禄の決定力で撃ち抜く、「やつと世界が終る」の甘美にして苛烈なる名台詞!轟然と猛起動したかに、思へたのだけれど。一旦世界が終末を迎へたとしても、迎へたのちに時間の流れは逆行し、全ての死者は蘇る。神話を披露するには、涼川絢音の口跡は如何せん覚束なく、山内大輔の演出もそこまで強靭ではない。地雷の撤去現場がタギングまみれの廃墟に過ぎない辺りで、精一杯広げてみせた大風呂敷は、否応ない安普請の前に力尽きる。かなりのところまで攻め込んだやうにも見えるものの、最終的にはそこそこで止まる一作。撮るつもりがどうやらないと思しき以前に、横目で―正対しての直視かも知れないが―+戦線への色目を勘繰るならば撮らせるつもりもどうせなからうが、濡れ場を見せることに主眼を置いた、立派な裸映画を山内大輔が再び撮る日は来ないものか。女の裸を等閑にした、単なる映画で喜ぶとは限らないんだよ。
引退企画の特別仕様は、オーラス“ありがたう、涼川絢音”の、この上なくアッサリした一言のみ。涼川絢音よりも朝倉ことみが勝つてゐるといふ気は毛頭なく、そもそも同じ手口を二度使ふ訳にも行くまいが、引退記念作といふひとつのカテゴリーを完成させてしまつた感さへ強い、「
ぐしよ濡れ女神は今日もイク!
」との歴然とした差は否み難い。
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