真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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レンタル女子大生 肉欲延滞中
竹洞哲也
/
2017年10月21日
「
レンタル女子大生 肉欲延滞中
」(2017/制作:Blue Forest Film/提供:オーピー映画/監督:竹洞哲也/脚本:当方ボーカル/撮影監督:創優和/録音:山口勉/編集:目見田健/音楽:與語一平/整音:高島良太/助監督:江尻大/監督助手:市原博文/照明助手:小松麻美/スチール:阿部真也/仕上げ:東映ラボ・テック/出演:彩城ゆりな・酒井あずさ・櫻井拓也・イワヤケンジ・森羅万象・吉田俊大・友田彩也香)。照明助手の小松麻美が、地味に竹洞哲也2014年第一作「
痴漢電車 いけない夢旅行
」(脚本:小松公典/主演:辰巳ゆい)ぶりの中復帰。
拍子抜けするくらゐアッサリしたタイトル開巻、居酒屋にて、何某かの撮影中。カメラを向けられる側の中岡有希(彩城)に、仕事終りの五島幸一(イワヤ)が合流、愛称テルこと池田輝雄の話から始まる。同じゼミ生で就職活動に爆死し大絶賛引きこもるテル(櫻井)を、何気に想ひを寄せぬでもない有希が案じて訪ねる。別に下級生で問題はないが、有希の進路に関しては等閑視される。何だかんだの末、社会に必要とされないのならひとまづ個人からと、有希はサイト登録制の緩い何でも屋「自分レンタル」にテルを誘ふ。製薬会社部長の五島は、あるいは五島も、自分レンタルを介したテルとの出会ひを通して、自らも自分レンタルを始めた口。ところでしかも役職つきが、その会社は副業を認めてゐるのか。おひとりさまウェディングが趣味のOL・新倉美和子(友田)に新郎役で呼ばれて以来、気に入られ重用されるテルが、美和子に入れ揚げる様子に有希はやきもきする。
配役残り、自分レンタルのイントロダクションに背中だけ見せるのは当方ボーカル当人の小松公典。酒井あずさは、五島の妻・蓮。闇雲に重い役所で、普段はあまりでなく意識させない端正さを際立たせる森羅万象は、起承転結の転部要を担ふ自分レンタル顧客・福田治郎。吉田俊大は、テルを撃墜し有希を内心喜ばせる、美和子の恋人・陣内貴志。その他、右手から彩城ゆりなを抜いた居酒屋の奥に見切れる客が二組。中盤の周磨要と東京JOEには辿り着けるとして、序盤の異常に美人の二人連れが激しく判らない。あと、クライマックスに
ヒムセルフ
で飛び込んで来るのは阿部真也。
“レンタル”の文言から脊髄で折り返して想起した、山内大輔2006年第三作「
レンタルお姉さん 欲望家政婦
」(主演:姫川りな)には特にも何も全く掠りもしなかつた、竹洞哲也2017年第一作。「サイコウノバカヤロウ」とかいふ仮題ばりにダサいタイトルで、OPP+ver.も公開されてゐる。外堀から埋めて行くと主演の彩城ゆりなは、松岡邦彦のデジエク第五弾「
女と女のラブゲーム 男達を犯せ!
」(2014/脚本:今西守/主演:水希杏)と、渡邊元嗣2015年第三作「
愛Robot したたる淫行知能
」(脚本:山崎浩治)に続くピンク三戦目。入れ替り立ち替り時々のAVアイドルが通り過ぎて行つてゐるやうにも見えて、案外息が長い人もゐれば、
途方もなく長い人
もゐたりするのが、歴史の名に値するだけの年月を積み重ねた量産型娯楽映画たる、ピンク映画の面白さ。
それは、さて措き。終始撮影中の何某かの正体が、ピシャッと撮影者込みでラストに明らかとなる構成は酌める。今年は薔薇族や
伊豆映画
にまで出まくる櫻井拓也は昔日の―あへて断じるならば“戦犯”―久保田泰也の完全上位互換で、俳優部にも穴はない。画期的な濡れ場の僅かさに関しては、オーピーが初めからプラスありきで考へてゐる以上、最早一観客風情がどうかういふてもせんない、にせよ。一応有希起点のテルとのラブ・ストーリーといふ全篇を貫く主軸、覚束なさを加味するとチュ軸もなくはないとはいへ、最後まで観通してみると、退屈はしないばかりの尺が淡々と過ぎて行く始終には、呆れるほどの疑問も残らない。女の裸がなければ、強固な物語も燃えるやうなエモーションも、挙句にツッコミ処さへない。どうしたものか、どうしたいのか。本当に
日本一短い手紙
で猛然と一撃必殺を狙ひに来て現に見事モノにしてみせた、気概なり体力はもうこのコンビには残されてゐないのであらうか。
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