真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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課外授業 いかせて上げる/DMM戦
た行
/
2017年10月17日
「
新任女教師 しごいてあげる
」(1990『課外授業 いかせて上げる』の、これはVHS題?/企画・制作:プロダクション鷹/配給:新東宝映画/監督:珠瑠美/脚本:目黒和男/撮影:伊東英男/照明:沖茂/音楽:MGB/美術:衣恭介/効果:協立音響/編集:竹村峻司/助監督:近藤英総/現像:東映化学工業株式会社/録音:ニューメグロスタジオ/出演:牧村耕治・嘉見力・朝田淳史・山口和幸・一の瀬まみ・仲山みゆき・森みなみ・渡辺奈智子)。男優部が先行する謎ビリングは、本篇ママ。jmdbはおろか新東宝公式をも元題を「課外授業 いかせて上げる」としてゐるが、“いかせて上げる”といふのは流石におかしくはないか。美術の衣恭介は、木俣堯喬の変名。
南ヶ丘高等学校校舎夜景、教師の芦田郁子(一の瀬)がプロレス風の覆面で顔を隠した二人組に、地下の体育用具室に放り込まれてタイトル・イン。各々性器の模型も駆使しての二人がかりの輪姦、水鳥川彩と一の樹愛を足して二で割る数式を完成させる、一の瀬まみの時代に埋もれた逸材ぶりにこの期に及んで垂涎する。レイプされた旨の夫への告白を決意した郁子が帰宅すると、夫は家庭教師先に出てゐた。夫の一郎(牧村)が教職をドロップアウトしたゆゑ、仕方なく専業主婦志望の郁子が定時制高の教師に復職したものだつた。
配役残り朝田淳史は、出し抜けに勃発する性犯罪を仕出かした生徒(当人は出て来ない)について、郁子に話を聞く刑事。渡辺奈智子が絞殺されて失禁する憐れな被害者なのだが、どうも木に竹を接いで挿入される登場場面はバンク臭い気がする。仲山みゆきは一郎の浮気相手、仲山みゆきの出演作になかなか辿り着けないでゐて、九十年代のアテレコ女王がこの人であるのを改めて確認したのが、今作に触れての殆ど唯一の収穫。特定不能の嘉見力と山口和幸は、体育用具室の件で郁子に接触する生徒の井上と、井上から二万取られた上で、ラスト再び郁子を輪姦する生徒Aか。ビリング推定だと、上位の嘉見力が井上。森みなみは、実は退職理由が生徒に対する暴行であつた一郎に、犯された生徒。
日々の糧を食むための雑業がクッソ忙しい、苛立ち紛れに見てみた珠瑠美1990年第一作、自棄なのか?と、したところが。負け戦を予想以上だか以下に爆砕してみせるのが、
大御大
や
関良平
に劣るとも勝らない珠瑠美といふ名の破壊王。一郎と仲山みゆきの関係性が不鮮明で混濁しかけた物語といふほどでは全くないへべれけな始終を、藪蛇に勿体ぶつた謎説明で本当に意味が判らない姦計を挙句御丁寧にも十重二十重に張り巡らし、完ッ全に止めを刺す。挙句郁子が正体不明のサスペンスの中右往左往する尺で、折角の、一縷の寄す処たるべき一の瀬まみの裸すら疎かになる始末。ただこの点に関しては、お話がどれだけへべれけでさへなくとも、裸映画としては最低限仕上げて来る珠瑠美にしては、下手な色気を出した結果なのか珍しいといつていへなくもない。特筆したところで、始末に負へないものが一欠片たりとて救はれる訳では無論ない。ラストの再輪姦で幾分持ち直しつつ、締めはタマルミ貫禄の官憲到着エンド。始終の決着の、投げやりな投げ放しやうがこの際清々しい、
矢張り自棄なのか?
これで、一の瀬まみの美巨乳を満足に拝ませてゐればまだしも立つ瀬があつたであらうに、支離滅裂な展開以外一切見所のない理不尽か不条理な徒労感のみを炸裂させる一作。そんなものが、見所になるものか。何より、最もどうかしてゐる、あるいはどうかと思ふのは。斯様なピンク映画として既に木端微塵な代物を、パケだけそれらしくあつらへるとピンクよりもより直截に煽情的であることが求められるであらう、アダルトビデオで御座いと堂々と販売してのけた新東宝の、羊頭を懸けて哺乳類ならばまだしも烏―臭みが如何ともし難く食へないらしい―を売るが如く、不誠実極まりない大概な商売に畏れ入る。
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