真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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女弁護士 揉ませて勝訴
か行
/
2015年09月24日
「
女弁護士 揉ませて勝訴
」(2015/製作:フリーク・アウト/提供:オーピー映画/監督・脚本:国沢☆実/撮影・照明・編集:Project LEM/録音:小林徹哉/助監督:後白河/スチール:本田あきら/整音:シネキャビン/効果:梅沢身知子/技術協力:東映ラボ・テック/照明応援:大久保礼司・広瀬寛巳/協力:小川隆史・江尻大・菊島稔章/出演:桃宮もも・美咲結衣・ほのか夢・前沢健太・秋間仙誉・村田頼俊・周摩要・生方哲・GON・東京JOE・中村勝則・紅森伐人・内藤忠司・白木努 、他二名・平川直大)。出演者中、周摩要から他二名までは本篇クレジットのみ。国沢☆実の星が、今回青く着色。
強姦され、非常階段で泣いてゐる女子高生。足元には、大ぶりなサバイバル・ナイフ。現在時制、ぼんやりと信号を待つ女弁護士の疼夕子(桃宮)が、青になつたのにも気付かず後ろから歩を進める男に肩を小突かれる、なほも覚束ない夕子を抜いてタイトル・イン。無罪請負人の異名を誇る夕子が、高圧的な年下の女課長・田村沙織(美咲)を残業を命ぜられたオフィスにて強姦した容疑の、ダメダメ派遣社員の矢代修(平川)に接見。グジャグジャ惰弱に罪と自らの非を認める矢代に対し、キレた夕子は煙草を一服するや激昂する。強引な遣り口でレイプ事件被告人の無罪を勝ち取り続ける夕子に、疼法律事務所唯一の若い衆・須永正之(前沢)も困惑を隠せない中、夕子から和解を勧告された、沙織は夕子の火に油を注いでゐるやうにしか見えない態度に当然臍を曲げ、遂に公判突入。世間知らずぽい造形がハマリ役の検察官(村田)を相手に、夕子が容易な勝利を確信だか過信する一方、事件当日、外回りから帰社した際に現場を目撃してゐた倉持章(秋間)が、次回公判にて証言する証人として登場。さして慌てるでもなく、夕子は文字通りの姦計を巡らせる。
配役残りほのか夢は、実は自身も高校時代赤マスクの謎の男に凌辱された過去を持つ、夕子のJKver.。清々しく似ても似つかぬ鋭角のキャスティングは気にしない気にしない、後々逆に映える。周摩要は、内藤忠司と東京JOEといふこちらは地味に似た二人を左右に従へた裁判長、紅森伐人が書記官、残りも―接見室込みで―刑務官に傍聴人の法廷要員。オーラスに際して漸く、傍聴席に見切れる国沢実が殆どウォーリー感覚。
ここに来て元気が出て来た様子を窺はせる、国沢実の2015年第一作にしてデジタル初陣。拭ひきれない全般的な安普請をものともせず、攻守が目まぐるしく変る法廷戦は案外普通に見応へがある。最終的には舌の長さが足らず口跡の心許ない主演女優に、堂々とした中央突破を命ずる国沢実の果敢な演出は、近年にない充実と迫力とを感じさせる。近作の常連組・美咲結衣は全く変り映えはしないながら安定し、前沢健太は四戦目にして遮二無二な突進で初日を出した印象。基本脆弱な負け組に徹するかにみせて、要所要所で我等がナオヒーローこと平川直大が発露させる鋭い獣性は、カットの端々をギリギリ締め上げる。フィルム撮影・映写下で観てゐた場合逆に平板に映つたのかも知れないが、不可視のレベルで暗い画に頭を抱へさせられることも概ねなく、何より、法廷での豪快ファックといふ怒涛の見せ場を十二分に見せきつた上で、衝撃の真相込みの真のクライマックスに改めて突入する構成は、公開順にデジタル・オーピー第四弾にして、初めて十分延びた尺を有効に活かした満腹感が強い。そして、そこで一見儚げなほのか夢が力強く撃ち抜く、“戦つて”のメッセージ。前作のプリミティブな革命映画「
特務課の女豹 からみつく陰謀
」(撮影助手:高田宝重/主演:伊藤りな)で久方振りに再起動したのか、国沢実が力強く、面白い。何がどうスッ転んだのか外様も外様の榊英雄が新規参戦しいよいよ混沌とする戦況を、この期に及んで国沢実が制する明日を夢想してみるに、妙なワクワクが止まらない。
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