真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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駄楽ひまなときブログ
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そのまんまです
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自己紹介
福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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痴漢電車 気分は絶頂/DMM戦
主に渡邊元嗣と、わ行
/
2014年05月15日
「
痴漢電車 気分は絶頂
」(昭和61/製作:獅子プロダクション?/配給:新東宝映画/監督:渡辺元嗣/脚本:平柳益実/製作:伊能竜/撮影:倉本和人/照明:石部肇/編集:酒井正次/助監督:笠井雅裕/監督助手:末田健/撮影助手:栢野直樹・斉藤幸一/照明助手:佐久間栄一/協力:渋谷道頓堀劇場/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/出演:大滝かつ美・風見玲香・清川鮎・藤冴子・池島ゆたか・ジミー土田・渡辺正樹・螢雪次朗)。製作の伊能竜は向井寛の変名。監督の渡辺元嗣は、勿論現在渡邊元嗣。
宇宙空間にスペースシャトルが無造作に放り投げられ、地球のショット挿み赤く光る彗星。そこそこの特撮を三十秒見せた上で、カメラは地上の東京に、電車噛ませてタイトル・イン。「ジャン!」と自らアタック鳴らしてストリップ小屋「渋谷道頓堀劇場」のサンドイッチマン・丘野松太郎(螢)登場。女(誰か判らん)に痴漢を楽しむ松太郎の画面後方には、ドリフの爆破コントみたいな、といふかそのものの真黒に汚れた顔の少女(大滝)が。電車が揺れ、気付かぬ内に松太郎の痴漢はドリフにスライド。思はず声を洩らしたドリフと顔を見合はせた、松太郎の方が悲鳴を上げる。チンコみたいな、といふかそのものの鼻眼鏡に、銜へタバコでダラダラ歩く松太郎のレス・ザン・モチベーションな仕事ぶりに、労働なんてこんなもんで十分だよなと全力で感動する。一方、大手航空会社「全日航」社長の大空邸。後妻の麗子(風見)と、大空の秘書・雨宮(池島)がベッドの中に。二人は大空からの電話(受話器越しの声も聞かせず)と、十全なラジオ・ニュース(手堅い読み手不明)を通して全日航が受注したスペースシャトルが宇都宮山中に墜落。大空のごり押しで乗り込ませた、一人娘の未来(ミキではなくミライ)が死んだことを知る。
配役残り、麻生みゅうとは別のベクトルでゴリラによく似た藤冴子―我ながらムチャクチャだ―は、悲しむでもなく寧ろな麗子の寝室を木上から覗くTVリポーター・高橋政子。木の下から政子と共同作業で、未来が死ねば大空の遺産は麗子が総取りするといふ外堀を投げる渡辺正樹は、政子の同僚・寅吉。ゴリラの癖に政子は木から落下、諺のやうな女だ。それを受け止めた寅吉は負傷し、政子の部屋に担ぎ込まれる。そこで二人が情を交すのはカテゴリー上当然の流れとはいへ、部屋には「痴漢電車 いくまで待つて」(昭和60/監督:稲尾実=深町章)のポスターが貼られ、政子がレポーターの前職はポルノ映画に出てゐたといふのは薮蛇な蛇足にしか思へない。百軒店飲食街で一度見付かつた際には振り切つたドリフと、松太郎は道頓堀劇場のゴミ捨て場にて再々会。支配人(片岡脩二)に促され、松太郎はドリフの面倒を見ることに。浮浪児といふ言葉を、久々耳にした気がする。同時進行で大空邸では、死体が発見されず生存の可能性が出て来た未来の始末を麗子が雨宮に指示。ゲーセンでインベーダーゲームの筐体から顔を上げないトレンチコートの人物に、雨宮は接触する。ジミー土田は、ゲーセン氏と同じトレンチを着用する池内。何処からか未来の情報を聞きつけ、道頓堀劇場の周囲に出没する。今でいふ高身長女優の清川鮎は、わざと脱ぎ忘れたパンティで松太郎を釣る、道頓堀劇場の新人踊り子・島田モモコ。
沈黙して久しい今なほ、伝説にして最強のピンクス・m@stervision大哥。そのm@ster大哥が何と
最高傑作と認定
されておいでの、渡辺元嗣昭和61年第一作、通算では第八(と1/3)作に当たる。あのm@ster大哥お墨つきのナベ最高傑作、期待はいやが上にも高まらぬ訳がない。してみたところが、尻の青い―ことが許される歳でもないが―節穴にはいまひとつピンと来らなんだ。そもそも、最終的には洗練度の低い主演女優に琴線を擽られない、個人的な嗜好が致命傷ともいへ、ドリフが大空未来であることを松太郎が隣室の政子に教はるのが土壇場も土壇場―但し尺は二分半強跨ぐ―の五十分。展開は始終をよくいへば丁寧に追ひ、未来の―少なくとも劇中―処女性を優先し本格的な濡れ場を温存した諸刃の剣が響かぬ筈もなく、女優部の中で大滝かつ美に渡辺元嗣が殊更に入れ揚げた形跡は案外窺へない。ズームが引くと実は結構なロングであることに驚かされる、街の灯に包まれた感動的なラストにリアルタイムの小屋で直面してゐたらコロッと号泣してゐたやうな気もしつつ、仮に今作がm@ster大哥仰せの通り第一期の頂点であるならば、渡邊元嗣の真の絶頂期は、2006年に幕を開け大絶賛現在進行形の第二期ゴールデン・エイジといへるのではなからうか。
これだけ逆らつておいて何だどころの話では済まないが、m@ster大哥がナベに捧げたエールは何度読み返しても涙が出る。
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