閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

寒冷紗

2009-10-14 11:11:11 | 日々
Mが来週から地元で展示をするため、
お手伝いで会場に行ってきました。
といっても、展示物を運び込むのはまだ先で、
まずは「下ごしらえ」の段階。

なぜかというと、今回の会場となるのが、
ギャラリーでもホールでもなく、「住宅」だからです。
市に寄贈された地元の名士のお家だそうで、
大正初期に建てられたという木造二階建て。
玄関脇の応接間がちょっといい雰囲気だったり、
裏庭には重厚な土蔵もあったり。
しかし。

長年、増改築を繰り返しながら、最近まで実際に人が住んでいたため、
中に入ると、生活の跡、ちぐはぐな補修の跡が目立ちます。
たんすやテーブルなどの家具もそのまま置いてあり、
各部屋にエアコンついてるし、そのリモコンが柱についてるし、
日本画と洋画が混在してるし、飾り棚には旅行のみやげ物がぎっしり。
大黒様に達磨に干支の置物も、好みだった、というよりは、
もらったから一応飾っておきましょう、というお家だったようで。
邸宅、と呼ぶには、庶民的っていうか…あらら?という印象。

どうしてそこが会場なのか、という説明は省きまして、
ともかく、その家の1階の和室と洋室を1室ずつ使うのです。
ふすまとか、掛け軸とか、当主夫妻の肖像画とか表彰状の額とか、
はずせるものは、もちろん全部はずさせてもらったのですが、
昔の日本家屋、天井は低いし、壁の色は暗いし、床の間はあるし、
(洋間のほうにはごく新しい洗面台ユニットと金庫まである)
展示空間としては、いまひとつ…ふたつみっつ…。

背景をすべて覆ってしまいたいのだけれど、
それではいかにも「隠した」という感じで、うっとうしいし、
第一、完全に隠しきれるものでもなく、美しくありません。

そこで、知恵をしぼったあげく、持ち込みましたのが、
英国紗…ではない、農業用寒冷紗(白)100メートルを2巻。
本来は畑の作物の日除け、風除けに使うものです。
それを、二重、三重にめぐらし、外光を遮ることなく、
目障りな部分はぼんやりくるんでしまえ、という思いつき。

脚立と、大量の押しピンと共に、数時間かけて試行錯誤の結果、
いくらかは会場らしい空間が演出できたかな、というところ。
なんとなく学園祭みたいな気分がしなくもないけれど(笑)。
管理人のおばさんが見にきて
「あらー、花嫁さんのようだねー」と言いました。

そして、もうひとつの問題…
メインの和室に、そもそも、絵を掛ける壁というものがない
(ふすま、障子、釘の打てない土壁と柱!)
ことについては、学校から借りるイーゼルおよび譜面台で
なんとかすることになっています。
これは、4年前に石造りの製氷倉庫で使った手です。
さてさて、本番は、うまくいきますかどうか。

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