「黒ねこサンゴロウ・旅のつづき」シリーズの中国語版の校正をしております。
あちらでは「旅のつづき 1~5」ではなく、「海猫的旅程(=うみねこの旅)6~10」としてリリースされるとのこと。
前回と同じくコピーのできないPDFなので、送っていただいたのをダウンロードしたら、それをグーグルドライブにアップロードし、1話ずつをグーグルドキュメントに変換する。そうするとイラスト抜きの文字の部分だけが表示されるので、それをコピーして翻訳ソフトに貼り付ければ、日本語にして読むことができる。
もっと簡単な方法はないかと思うけど、あれこれ調べたり新たなツールを導入したりしているひまがないので、とりあえずこれでいきます。前回より多少は余裕があるとはいえ、実質10日しかないし。
サンゴロウシリーズの中でも後半の5冊は、ふつうにさらっと読むぶんには平気なのですが、こういう「作業」として一字一句を見ていくときは、書いた当時の状況がよみがえったり、ついつい深く入りこみすぎて「暗影猫魔」に生命力を吸い取られかねないので、合間に休憩をとるなど、気をつけねば。
で、まずは『ケンとミリ』です。これは直訳すると「声の波の中での再会」みたいなタイトルになっているのかな。
この巻は『旅のはじまり』と同じく、現実世界(日本)の子どもが出てくるので、ところどころ「訳注」が入っています。
具体的にいうと、半ズボンと、禁煙車と、ツルのはたおり。
そうか、海外ではこれがわからないんだな…ということがわかって面白い。
しかし、当時は特急に「喫煙車」というものがあった、なんてことは、もう作者も忘れてしまっていて、日本ではこうですよ、という注をつけられたら誤解を招くのではないかしら。「半ズボン」(いまや死語?)だって、昔は男子児童がはくものというイメージだったけど、いまは大人だって平気で短パンはいて歩いてますし。
重要なアイテムである「トランプ」のマークが、梅花(クラブ)、紅桃(ハート)、黒桃(スペード)、方片(ダイヤ)、鬼牌(ジョーカー)となっていて、なるほど!と思いました。
ケンがミリのことを「何センチ何ミリのミリ」と言ってるところは、(ミリの表記が「米莉」なので)米粒を思い浮かべている、とあり、うまいこと訳してくださってます。
それと、たぶんそうじゃないかと予想していたことですが、原本45ページ前半の数行はごっそり削除されておりました。ミリはともかく、主人公のケンは、先生の言うことを聞く「良い子」でなければならない、ということですかね。これはまあ、文句をいってもしかたがない。
翻訳ソフトのありがちな間違いや変てこな日本語にもだいぶ慣れましたが、中国語の「古屋珊瑚郎」が和訳で「降谷コロロ」と表示されたのには、おめめぱちくり。コロロって…何?