家の裏で、うーあーふーしゃーと猫の声がする。
またマドリとさんちゃんだな。
「こらこらっ! けんかしないのっ!」
裏庭に面した窓をあけて、声をかけ、ふと足元を見たら、
マドリがおすわりして同じように外を見ているじゃないの。
「あれ?」と言うと、マドちゃんもこっちを見上げて、
「誰でしょね?」というような顔をしている。
そのあたりは「草刈り圏外」で、草木が好き放題に生い茂り、
猫でなければ入れないようなところ。
草の間に、白っぽいのと、こげ茶っぽいのが、ちらっと。
すもも嬢さんと、宿敵の茶々さんですね。
これもまあ、よくあること。
たいていは、うさぎのように逃げるすももを、茶々が追いかけ、
相次いで猫穴から飛び込んできて、おしまい・・
のはずですが・・
「みぎゃーっ!」
と、いきなり声が高くなり、どさばさと草が揺れ動き、
それがあっというまに斜面をころがっていって・・
え、落ちた!?
あらあら大変。川に落っこちた!
川といってもすごく小さいので、「溝」くらいなんですが、
こちら岸は2メートル半ほどの垂直なコンクリ壁。
落ちたとすれば下まで落ちるしかないわけで・・
おぼれるほどの深さはないと思うけど・・
現場はすぐ目の前。しかし、途中に猪よけの柵があるし、
ヒトは2メートル半の壁を飛び降りられませんので、
ものすごく大回りして、やっと向こう岸へ駆けつける。
と、全身ケバ立ったお茶々が川岸にいて、
えーと、すももは・・?
ああ、いたいた。
木がかぶさってトンネル状になった陰のとこ。
水際の石の上にうずくまって、こちらもハリネズミ状態。
濡れてはいませんが・・猛烈に唸っていますねえ。
しょうがないな、もう。
とりあえず、まだやる気の茶々を「ぺん」して遠ざける。
さいわい長靴はいて来たので、川に入って、嬢さん確保。
両手でしっかり「ぶらさげて」そのまま持ち帰る。
(興奮している猫は、自分のほうに向けて抱っこすると
爪立てて肩に這い上がり背中を蹴って逃げることがあり、
へたするとこっちもケガしますので・・)
なにしろ足場が非常に悪い場所なので、両手がふさがると
すばやく移動できず、なかなかたいへん。
その間、ずーっと猛獣の子みたいにうなりっぱなし。
お茶々は、あとから、けろりとひとりで帰ってきました。
すもも、鼻の上に、ごく軽いひっかき傷が3つ。
猫の柔軟性と身体能力の高さはたいしたものですが・・
やぁれやれ。
嬢さんがたのおかげで、ばあやは苦労が絶えませんですよ。
(上の画像は、階段の手すりの上のすもも。
ここも、以前はちょいちょい落ちる猫がいたため、
落っこち防止の板を打ちつけてあります)