閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

水玉学入門・その2

2012-07-20 09:43:57 | 日々

宿題その2。
「水玉ができやすい植物ランキング」。

えーっと・・
これは「生物」なのか、「物理」なのか?
それさえよくわかってない閑猫でありますが・・
がんばって調べてみましょう。
長いので、途中で飽きた人は寝てていいです(笑)


まず誰でも思いつく、蓮の葉、里芋の葉。
上の画像のように、銀色の大きなコロコロの水玉ができる。
これは葉の表面に仕掛けがあり、水をはじいてしまうからだ。

「水をはじく」というと、すごくつるつるなのかと思うけれど、
蓮の葉も花も、さわってみると、椿の葉のようにつるつるではない。
非常にこまかいビロードというか、ピーチスキンというか、
紙でいえば「マット仕上げ」の感触に近い。

じつは、蓮の葉の表面は、1つの大きさが数ミクロンという
小さなつぶつぶの細胞におおわれているんだそうだ。
そのつぶつぶの1つ1つに、さらにこまかい突起がたくさんついている。
つまり、小さい人たちが、たくさんの手を出して、水玉を壊さないように
そーっと持ち上げている・・ような状態。
それが「超撥水性」の正体。

(えー、そうなんだ。知らなかった!)

これは「ロータス効果」といって、こびりつかないフライパンとか、
汚れの落ちやすい壁とか、いろんな技術に応用されているそうです。
興味のある方は検索してみてください。

 

次に、キャベツの葉。
表面を粉状の天然ワックス成分がおおっていて、水をはじく。
これは家庭のお台所でも体験できることがある。
(ふつうは捨ててしまうかたい緑色の外葉です)
大きなコロコロ水玉ができるところは蓮と似ているけれど、
仕掛けはちょっと違うのですね。

しかし、ただ「はじく」だけでは、ころがり落ちてしまう。
水玉としてとどまるには、「落ちない工夫」が必要。
蓮や里芋の葉は、盃のように中央がくぼんでいる。
はじかれた水はそこにあつまり、大きな水玉となる。

 

これはカタバミの水玉。
水平にひらいた3枚の葉の真ん中に、ちょこんと乗っている。
このように、水平だったり、くぼみがあったりすること。
これが、落ちない工夫のひとつ。

しかし、あたりを見回すと、水平や盃状の葉っぱというのは
とても少ないことに気づく。
水玉は、斜めのところに乗っていたり、葉の縁についたり、
あるいは葉の先端にさかさまにぶらさがっていたりする。
なぜ落ちないのか。
それは表面張力・・というと、流体力学?の分野になるらしく、
π(パイ)まではわかるけどcosって何だっけ?という
閑猫頭では追いつくことができませんので、ちょっととばして・・

これは以前にご紹介した苺の葉の水玉。
葉のふちの細ーい毛に水玉がひっついている・・ように見える。

蓮の葉は「はじくだけ」だったけど、
いちごの葉は「はじいて、つかまえる」仕掛け。
それも、葉の縁のぎざぎざの先端を利用して、
「1つぶずつばらばらにつかまえる」という
器用なことをしている。
これも「落ちない工夫」のひとつ。
なぜかというと、お隣どうし水玉がくっついて、大きくなり、
一定の重さを越えると、表面張力が万有引力に負けて、
ぽたりと落ちてしまうからだ。

 

「ばらばらにつかまえる」がもっと上手なスギナ。

 

あるいは、カリステモンの花。

このように、「つく場所がたくさんある」植物は、水玉率が高い。
1つ1つは小さくても、いっぱいあると、それぞれに光を反射するから、
一面にきらきらして美しい。
(でも写真とるの難しい。どこにピント合わせたらいいのか迷う)

さて、一方、ロータス効果のことを調べていたら、
関連して、ペタル(花弁)効果というのが出てきた。
これはバラの花びらでよく見られる・・とのことですが、
バラがないので、パンジーで代用しましょう。

ほら、よくはじいて、きれいなまぁるい玉になっているのに、
斜めのところでもころがり落ちずに止まっている。
これは、表面に「つぶつぶ細胞」があるのは蓮と同じだけれど、
細胞の間隔がもうちょっとあいているために、はじかれた玉が
隙間に吸いつくような形になって、落ちにくい・・のだそうだ。
なぁるほど。
(そして、前回書いたように、気温が低いときの朝露なら、
表面張力が高いから、さらに落ちにくい)

そうすると、椿の葉のような、つるつるしてかたい厚手の葉には
水玉が出来にくいことも、なんとなくわかる。
つるつるのフラットな面では、表面張力が低くなる。
(磁器のお皿にたらした水滴は、つぶれた水たまりになり、
ころころの球体にはならない)
さらに、それを「つかまえる」仕掛けもないから、
水はすんなり低いほうに流れていき、玉にならずに落ちてしまう。

うまくできても、葉先に1個だけですね。

その点、不思議なのが、コーラルツリー。
この枝はとてもまっすぐでなめらかだ。
なのに、どうして他より大きな水玉がたくさん並ぶのか。
どうして斜めになってもすべり落ちないのか。

光に透かしてよーくよく見たら、一見つるつるの枝の表面には、
うぶ毛のように細い細い細い毛が、まばらな感じで生えていた。
たぶん、水玉は、その助けを借りて表面張力を保っているのだろう。
何ミクロンとか、コンマ以下2桁ミリグラムとかいう、
とても小さな単位での、微妙なバランス。

・・ということですから、
(って、ものすごくアバウトな理解の仕方なんですが、
だいたい合ってるのでしょうか?)
水玉ができる植物には、それなりの理由があるのでした。
そして、どういうタイプも、それぞれに、きれいだったり、
珍しかったり、面白かったりするので、
ランキングは、なしです。


個人的には、たとえば・・


チチコグサの枯れ花についた露水玉。
探しても見つかるものではないし、
待っていてもあらわれてくれない。
こういうものを、偶然うまく拾えたときは、
とてもラッキーだと思う。

 

 

<追記>

上の記事を書いたときには知らなかったことや、
思い違いをしていたことがあります。
「水玉学入門・その4」および「水玉以前」
合わせてお読みいただけると幸いです。 

 

 

コメント
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