畑の大根の葉が15センチほどに伸びた。
バッタやら青虫やらに食われて、ぽちぽち穴だらけだが、
少しくらいの虫食いはあまり影響しない。
もうじき気温が下がってくれば虫もいなくなり、
すくすくと育って立派な大根になるはず。
畝の端に、名札がわりに種の袋がさしてあり、
品種は年によっていろいろだが、
今年のは「新理想大根」と書いてある。
はて、理想の大根とはどのようなものか。
袋の裏の説明を読んでみると、
・生育旺盛で肥大早く、収穫も多い。
・胴太で、肉付きは先端まで非常に良い。
・皮肌は純白色で、形状よく揃う。
・漬物にも、煮食用にも適す。
ということだそうです。
なるほど。
一方、閑猫の考える理想の大根(@家庭菜園)とは、
いっぺんにまいても、いっぺんにそろって育たず、
1~2週間ずつずれて食べ頃になってくれる大根!
・・ですが、そんな都合のいいものは、ないか。
毎年、大根は、種さえまけば、よくできる。
大きく失敗した年というのは記憶にない。
しかし、失敗を見越して、かなり多めにまくものだから、
たいてい最後には食べきれずたくさん余ってしまう。
放っておくと、太い根が(正確にいえば大半が「茎」ですが)
にょきにょきと地上に立ちあがり、その上に
白と薄紫の菜の花が、人の目の高さに乱れ咲く。
わが家ではすっかり見慣れた春の光景だけれど、
一般的には、かなり奇妙な眺めだろうと思う。
昨春は、花に蜜蜂がよく来ていたので、
一番端の1本だけ、抜かずにそのまま放置していた。
花が種になり、茎まですっかりからからに枯れるころ、
根も「へちまたわし」のように茶色く繊維だけを残して、
野菜の大根からは想像もつかない姿になっていた。
枯れて、朽ちるまで、放っておいてもらうこと。
実を結び種を散らし、そこからまた芽を出しよみがえること。
植物としての大根からみれば、
それこそが「理想」ではないだろうか。
そう考えれば、おでん鍋は大根の終着点ではない。
夢破れ途上に斃れたものたちの姿かもしれない。
(・・と馬鹿なことを書いておりますが、
わたくしはおでんが好きなので、早くとれるといいなあ、大根)
よーし、これで冬もあったかいぞ!
(薪割りしたのは、茶々じゃないよ。おとうさんだよ)