閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

「せんろはつづく」大型絵本

2010-09-23 15:20:01 | お知らせ(新刊)

おやあ? 
茶々さんが、ちっちゃくなって絵本の中に…?

ではなくて、これは絵本のほうが大きいのですね。
『せんろはつづく』(金の星社 初版2003年)が大きくなって、
読み聞かせ用の大型絵本として発売されました。

縦が約50センチ、ひらくと幅が1メートル!
おとなでも、重くてたいへん。
原本をそのまま拡大しただけなんですが、迫力ありますよ。
普通の絵本と製本が違い、このように見開きがフラットになります。
ひろげて見ていると、ほんとに線路の上を歩けそうな感じ…
だよね、お茶々?
(あ、良い子は真似しないでください)


広い場所で、おおぜいに読み聞かせるのが目的なら、
「紙芝居」にすればいいんじゃないの?…と思っていたのですが、
このところ紙芝居のおしごともいくつかさせていただいて、
絵本との違いが、すこーし、わかってきたところ。
つまり、絵本は「本」で、紙芝居は「芝居」なのね。

…って、あたりまえのことみたいですが、
紙がつながって綴じてあるか、ばらばらのを重ねてあるか、
些細な違いのようだけれど、じつはずいぶん違う、ということ。

紙芝居の場合、文章は全部「裏」に書いてあります。
演じ手は「舞台裏」にいて、ちょうど人形使いのように
登場人物にせりふをしゃべらせ、演出をする。
つまり、人形と書割の一体化したものが何枚も重ねてある
…と考えればわかりやすいのかな。
そこには、楽しませる役者と、楽しむ観客、という関係がうまれ、
両者の間の緊張感や臨場感が、絵とストーリーにプラスされて、
はじめて紙芝居の世界は完成する。
(だから、紙芝居は、演じる人が作るのが本来の姿ではないか、
とわたしは思っています)

一方、絵本の場合、世界はすでに本の中で完成されていて、
読み手も聞き手も、一緒にそれをのぞきこむ、という形で進行します。
いわば、全員がお客。同じ側で共有したり、共感したりできる。

そして、もうひとつ、絵本の特徴は、手にとれる、ということ。
読んでもらったあとで、もう一度、黙ってひとりで眺めたり、
順番にめくったり、ランダムに、あるいは逆行してめくったり、
好きな場面だけいつまでもぼーっと見ていたり。
そうしながら、子どもは、頭の中でストーリーを反復したり、
自分流に理解しなおしたり、想像をひろげたり、しているでしょう。
それは「綴じてあって、手にとれる絵本」だからこそ可能なことです。


というのは、わたしの個人的な印象にすぎないので、
そうでない面もあるかもしれないし、
作品によっても読む人によっても違うのかもしれませんが。

テレビというのは、なんでしょう。
やっぱり紙芝居の延長線上にあるものかしら。
ここでは、送り手と、受け手は、はるか遠く隔てられていて、
まじわることがありません。
3Dになったからって、それが手にとれるわけでもないし。
だから、将来、紙の絵本がなくなって、子どもの見るものは
映像ばかりになるかっていうと、そういうことはないと思う。
ないと、いいけど。

せんろはつづく
(読みきかせ大型絵本)

サイズ51 x 48.6 x 3 cm

竹下文子・文
鈴木 まもる・絵

金の星社
コメント
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