閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

冒険者

2010-09-05 09:33:45 | 日々
記録的な熱帯夏。
庭はジャングルの様相を呈している。
ひときわ元気なのが、ヤマイモなどのつる植物だ。
何にでもからみつき、よじ登り、たくましく生い茂る。

少しでも上へ。
1枚でも多くの葉が太陽の光を浴びられるように。
地上では熾烈な生存競争が繰り広げられている。

つる植物は、支えなしでは生きられない。
芽を出すやいなや、支えを求めてやみくもに頭を振る。
なるべく頼りがいのある丈夫で高い支柱が望ましいけれど、
立派すぎる木では巻きつくことができないし、
どっちみち、あれこれ迷っている余裕はない。
とりあえずぶつかったところに巻きつく。
巻きついたら決して離さない。
ひたすら登り、登りつめたら、またその先を探す。
満足することも飽きることも知らない。
おそるべき上昇志向のエネルギーである。

チャンスは逃さずつかむ。
ありとあらゆるコネは遠慮なく利用する。
他人を押しのけ、あるいは踏み台にする。
基本は「早い者勝ち」だが、うまく登った先輩に
ちゃっかり巻きついて追い越していく後輩もいる。
まったく油断も隙もありゃしない。

草から低木へ。低木から高い木へ。さらに高い木へ。
華麗なる転職に成功して得意げな者もいる。
その一方で、頼った柱が不運にも倒産してしまい、
ふりだしに戻り地べたで途方に暮れる者もいる。
たまたま吹いた風で、あらたな手がかりを得た者もいる。
柱のてっぺんで行きつ戻りつ悩んだあげく、
自分自身に巻きついて身動きとれなくなった者もいる。

何もない空中に、くるくると登っていくつるを見つけた。
「魔法のロープ」の技でも会得したかと思ったら、
なんと、細いくもの糸に巻きついている。
行く手にくもの巣があり、家主がちょっと迷惑そうにしている。
そこを越えれば、木の枝があり、新たな世界が待っている。

またとないチャンスだ。
そのかわり、リスクは大きい。
先の保証はないし、足場はあまりにも不安定だ。
でも、とりあえず、踏み出したことは、間違っていない。
さあ、どこまで行けるでしょうか。
ガンバレ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする