閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

彼岸花

2008-09-11 21:42:33 | 日々

奇妙な植物だ。
何もない地面から茎だけが1本すうっと伸びて、
その先に花火のような花がひらく。

毎年、たとえ人は忘れても、彼岸花は忘れず、
同じ季節に、同じ場所に咲く。
誰もいない真昼の土手や田んぼのあぜに、
真っ赤な花がずらりと並ぶと、
美しいというより、どことなく禍々しい。
咲けば咲くほど、にぎやかさから遠ざかっていく。
お稲荷さんの朱塗りの鳥居の列のように、
反復する圧迫感がある。

写真に撮ったのは白花の園芸種。
彼岸花と呼ぶより、学名のリコリスのほうが似合う。
色が違うだけで、こんなに雰囲気が変わるのも不思議だ。
大きな黒い揚羽蝶がうっとりと蜜を吸っているのをよく見かける。

花が終わると、ようやく葉が出て、
その葉は冬じゅう濃い緑に茂っているが、
春には枯れてしまい、葉と花は決して会うことはない。
球根だけがその両方を知っている。

コメント
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