弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

WindowsXPのパスワード入力

2008-02-09 17:50:54 | サイエンス・パソコン
私は西暦2000年に独立して特許事務所を開設し、開設時はWindows98SEを用いました。その1年後にOSをWindows2000に入れ替え、現在に至るまでWindows2000を使い続けてきました。

ウィンドウズの寿命についてこちらで記事にしたとおり、Windows2000のサポート期限が切れるのは2010年の7月13日であり、まだしばらくはWindows2000を使い続けられるはずでした。

しかし、私が使っているウィルスバスターが、昨年秋にリリースされた2008から、Windows2000での使用ができなくなってしまったのです。トレンドマイクロでは「ウイルスバスター2008ではWindows 2000をサポートしておりません。これは、Windows 2000提供元のMicrosoft社にて2005年6月30日をもって標準のサポートが終了しているためです。」と案内しています。
調べてみると、当のマイクロソフトから発売されているOffice2007が、すでにWindows2000非対応です。
最近ではすっかりWindows2000が冷遇されているのですね。

私が愛用している親指シフトのキーボード(RboardPro for PC)は、Windows Vistaに対応する予定が全くないので、Windows2000がだめとなったらあとはWindowsXPがあるのみです。

そこで、事務所にあるパソコン2台のうちの1台について、Windows2000からWindowsXPに入れ替えてみました。

ところで私は、パソコンのログインIDにパスワードを設定しています。Windows2000では、パスワードを設定したとしても、パソコン立ち上げ時にパスワード入力画面を出さずに立ち上げることができます。XPでも当然そうだと思って設定したのですが、どうしても立ち上げ時のパスワード入力画面を省略することができないのです。

Windows2000の場合、コントロールパネルから「ユーザーとパスワード」をクリックすると画面が表示され、画面の「このコンピュータを使うには、ユーザー名とパスワードを入力する必要があります」のチェックを外すと、次回から立ち上げ時のパスワード入力が不要になります。ところがXPでは、この画面がどうしても見つからないのです。

しょうがないのでマイクロソフトのサポートに電話で問い合わせました。
まずこちらの要望を伝えたところ、「パソコン立ち上げ時のパスワード入力を不要にしたら、パスワードを設定する意味がないじゃないですか」と説教されました。余計なお世話です。

私の場合、パスワードを設定している理由は、事務所に空き巣が入ってパソコンの中身を見られる心配ではなく、インターネット回線を通じて侵入され、データを読まれる心配です。
私は、データバックアップとして、LANに繋いだネットワークハードディスク(いわゆるNAS)を使っています。こちらは24時間立ち上げっぱなしですから、インターネット経由で外部からNASの中身を読まれたらおしまいです。そこで、NASへのアクセスは特定のIDとパスワードを要求しています。このIDとパスワードをパソコンのそれと同じにしておけば、事務所のパソコンからはパスワード入力なしでNASにアクセスすることができます。そのために、パソコンのパスワードが必要だというわけです。

電話に出たオペレータは、XPの場合の私の要望の実現可否について知識を持っていませんでしたが、念のため調査して再度電話連絡をもらう、ということになりました。

しばらくして電話がかかってきました。
実現方法が見つかったというのです。
しかし、Windows2000のようにカーソルクリックで到達できる手段ではありませんでした。
Windows画面のスタートから、「ファイル名を指定して実行」へ行き、入力窓に、
control userpasswords2
とキー入力して実行するのです。
すると、Windows2000で見慣れた画面が出てきました。ここで、「このコンピュータを使うには、ユーザー名とパスワードを入力する必要があります」のチェックを外すことにより、従来と同様、パソコン立ち上げ時のパスワード入力を省略することが可能となりました。
コメント (7)
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飯柴智亮「第82空挺師団の日本人少尉」

2008-02-07 21:14:45 | 趣味・読書
飯柴智亮著「第82空挺師団の日本人少尉」(並木書房)
第82空挺師団の日本人少尉
飯柴 智亮
並木書房

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著者の飯柴氏は、1973年生まれ、東京で普通の日本人として育ち、少年時代に映画「ランボー」を観てからアメリカと米軍にあこがれ、その夢をとうとう実現させてしまったという人物です。この本が書かれた2005年現在、米国陸軍の現役少尉に任官しています。

少年時代の夢を追いかけるため、まず高校1年で日本の高校を中退してオーストラリアに渡り、現地の高校を卒業します。米軍に入隊するために必要と思われる英語を習得するためです。
その後、自衛隊の佐官のつてで在日米国大使館の武官である米空軍大佐と面会し、自分の希望を伝えます。そこで、多くの困難はあるが可能であることを聞かされ、いよいよ単身で米国に渡ります。
外国人が米軍に入隊するためには米国の永住権を保持していなければなりません。そして将校になるためには、さらに米国市民権が必要です。
飯柴氏は相談した米軍大佐の紹介で、ミシガン大学に進学した上で、在学しながら予備仕官訓練部隊(ROTC)で教育を受けることにします。米国市民権さえあれば、大学卒業と同時に少尉に任官できます。

飯柴氏は、4年間で大学を卒業するとともにROTC課程を修了しました。同期の人たちはみな少尉に任官していきましたが、飯柴氏は肝心の永住権も市民権も取れていませんでした。永住権は程なくして取得し、米軍入隊は可能となりました。そこで飯柴氏は、将校ではなく一兵卒として米軍に入隊することに決めるのです。
飯柴氏は所属部隊として、ノースカロライナ州フォート・ブラッグを基地とする第82空挺師団を選びました。米軍でも最精鋭部隊です。難関である空挺学校も卒業し、そこで飯柴氏は、空挺隊員としての訓練に明け暮れます。

2002年、飯柴氏の部隊はアフガニスタンでの「不屈の自由作戦」に参加することとなります。アフガニスタンに出発する直前、飯柴氏は米国市民権を取得しましたが、アフガニスタンには将校でなく兵士として出征です。

アフガニスタンでは、山岳地帯の最前線基地で警備に当たります。通常だと6週間おきに他の部隊と交替するのですが、すでにイラク戦争が始まっていたせいでしょうか、飯柴氏の小隊は結局5ヶ月間も最前線に留まることになります。最前線基地では、敵襲に対応して戦う毎日でした。

2003年6月、飯柴氏に帰国命令が出ます。米国市民権を得ていた飯柴氏は、将校養成訓練への転属願書を提出していたのですが、イラク戦争が始まって人事異動にストップがかかっていたのです。そのストップが解け、米国に帰りました。
そして2004年8月、少尉に任官します。
2005年6月現在、彼は米陸軍少尉として多忙の日々を送っています。

飯柴氏は、私と同じ日本人だからでしょうか、米軍兵士としての体験を語っているのですが、私自身が追体験しているような感覚を得ることができます。
アフガニスタン山岳地帯の最前線で、米軍が日々どのように戦っているのか、その点を理解できたことが収穫でした。
飛び抜けて変わった日本人をまた一人知ったことも収穫でした。
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特許年金額の改定

2008-02-05 20:31:29 | 知的財産権
1月6日の記事で、今年の特許法改正で特許年金が下がるらしいことを話題にしました。
そこでも述べたとおり、現在の特許年金は、2本立てになっています。現行の特許法に記載されている年金額は、平成16年4月1日以降に審査請求を行う出願に適用されます。平成16年3月31日までに審査請求をした出願は異なった料金で、1~9年は上記現行料金よりも高い金額となっています。

私は今回の法改正で、この2本立てを止めてすべての特許に新しい年金額を適用してほしいと願望しました。しかし、特許庁ホームページで確認した限り、2本立て年金額は今後とも継続するようです。

平成16年4月1日以降に審査請求を行う出願に適用される年金額は、以下のように改定されます。

特許料(請求項0項のときの基本料金)
       新料金  現行料金
1-3年    2,300円   2,600円
4-6年    7,100円   8,100円
7-9年   21,400円  24,300円
10年以降 61,600円  81,200円
(請求項数比例部分は省略します)

次に、平成16年3月31日までに審査請求をした出願については、どうなるのでしょうか。

特許庁の特許法等の一部を改正する法律案について-閣議決定のお知らせ-に掲載された法律案・理由(pdf)の25ページ第12条には
「(平成十五年旧特許法の一部改正)
第十二条 平成十五年改正法附則第二条第二項の規定によりなおその効力を有するものとされた平成十五年旧特許法第百七条第一項の表下欄中「一万三千円」を「一万千四百円」に、「千百円」を「千円」に、「二万三百円」を「一万七千九百円」に、「千六百円」を「千四百円」に、「四万六百円」を「三万五千八百円」に、「三千二百円」を「二千八百円」に、「八万千二百円」を「七万千六百円」に、「六千四百円」を「五千六百円」に改める。」
と記載されています。

そこで、平成15年改正法(特許法等の一部を改正する法律)の附則第2条第2項を調べてみました(pdf)。
「(特許法の改正に伴う経過措置)
第二条
2 新特許法第百七条第一項の規定は、前条ただし書第二号に規定する日(以下「一部施行日」という。)以後に出願審査の請求をする特許出願に係る特許料について適用し、一部施行日前に出願審査の請求をした特許出願に係る特許料については、第一条の規定による改正前の特許法(以下「旧特許法」という。)第百七条第一項の規定は、なおその効力を有する。」

ここで、「一部施行日」とは平成16年4月1日です。
そして、一部施行日前に審査請求した出願の特許料は「旧特許法」107条1項を適用するというわけです。
この「旧特許法」107条1項が、今回の法改正で以下のように改定されるということのようです。

特許料(請求項0項のときの基本料金)
       新料金  現行料金
1-3年   11,400円  13,000円
4-6年   17,900円  20,300円
7-9年   35,800円  40,600円
10年以降 71,600円  81,200円

日本弁理士会も知財協も、「2本立ては不便だから1本化してくれ」という要望は出さなかったのでしょうか。
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拒絶査定後の審査官との対話

2008-02-03 11:25:35 | 知的財産権
特許出願の審査において、拒絶査定がされると、30日以内に拒絶査定不服審判を請求できます。そして請求から30日以内であれば、明細書類について補正を行うことができます。補正書が提出された場合、審査前置といって、まずは審査官が補正後の出願の審査を行います。原則として拒絶査定を出した審査官が審査することになるでしょう。

通常の審査係属中であれば、拒絶理由通知に対応して補正を行う場合、審査官に相談を持ちかけることができます。補正案をファックスで送って審査官に見てもらい、それで許可されるかどうかを事前に相談できます。もちろん面接を申し込むこともできます。

ところが、拒絶査定がされると、出願が審査の係属から外れ、審査官はその出願と切り離されてしまいます。包袋も審査官の手元で見ることができなくなるようです。従って、拒絶査定後に審判請求して補正書を提出する場合、相談する相手の審査官が存在しないという状況になってしまうのです。

拒絶査定不服審判請求時、審査段階での審査官に電話すると、「自分の手元には包袋がないので調べられない」との返答だったり、場合によっては一度電話を切り、わざわざ包袋を取り寄せて調べてくれたことはありました。いずれにしろ、気軽に審査官と相談することができませんでした。

ところが最近、毎月出席している判例研究会で雑談していて以下の話を聞きました。

最近は、拒絶査定後であっても、審査時の審査官が、審判請求時の補正について相談に乗ってくれるようになったというのです。
出願人側にとって、非常に有り難いサービスです。特許庁にしてみても、これによって審判請求後のスムーズな処理を促進することができるのですから、メリットがあるはずです。

査定不服審判を請求するということはそれなりに重要な特許案件ですから、審判請求時の補正に関しても、前置審査でその補正を審査する審査官と対話を行いたいケースは多いのですよね。
次回のチャンスには、ぜひ審査官と電話連絡を取ってみようと思っています。

この記事をご覧の皆さんの中に、拒絶査定不服審判請求時における審査官との対話に関して、ご経験をお持ちの方がおられましたら、ぜひコメントをいただけたらと思います。


ところで、今年の特許法改正で、査定不服審判は拒絶査定から3月以内と期限が延長されますね。一方、審判請求時の明細書等の補正は、審判請求と同時にしかできなくなります。
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