弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

飯柴智亮著「2020年日本から米軍はいなくなる」

2014-08-31 21:23:54 | 歴史・社会
飯柴智亮さんについては、2008年にこのブログで3回ほど話題にしました。
飯柴智亮「第82空挺師団の日本人少尉」2008-02-07
飯柴智亮さんに一体何が?!2008-07-24
米国陸軍飯柴大尉のその後2008-08-10
フォートルイス陸軍基地(ワシントン州)の情報部門に所属していた飯柴大尉は2006年から今年2月にかけ、別の人物と共謀。イリノイ州の企業から購入した銃器に付ける照準器60個などを、米政府の許可なしに日本に輸出したとして、2008年8月に訴追されました。
①銃器の照準器など、輸出するには米政府の許可が必要なのに、許可を受けずに日本に輸出した。(飯芝氏は「許可が必要と知らなかった」といっている。)
②輸出に際し、輸出関係書類に「銃器部品」と記載しなかった。
飯柴大尉は司法取引に同意、11月7日に量刑が言い渡される。

その後の飯芝氏の動静がわからなかったのですが、最近になって本を出していることを知りました。
2020年日本から米軍はいなくなる (講談社+α新書)
飯柴智亮
講談社

飯芝氏の略歴について本の扉には『1973年、東京都生まれ。元アメリカ陸軍大尉、軍事コンサルタント。米軍に入隊するために19歳で渡米。1999年に永住権を得て米陸軍入隊。03年、米国市民権を得て04年に少尉に任官。08年大尉に昇進。S2情報担当昇降として活躍。09年除隊。現在、アラバマ州トロイ大学大学院で国際問題を研究し、国際政治学のPhD(博士号)取得を目指す。』とあります。
08年11月に判決を受けた後、09年に除隊したのですね。その後も米国で勉強しながら軍事コンサルタントを務めているということで、ひとまずは安心しました。

《はじめに》
『今回、飯芝氏の元米陸軍情報将校としての能力と、ミリタリー・アドバイザーのコネクションを駆使し、在日米軍が撤退する可能性とその時期について、米国内において、政府・軍関係者、および軍産複合体関係者に広く取材を敢行した。』

さて、本の中身をかいつまんで記すと、以下のような内容です。
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米軍は、敵の先制攻撃圏には軍を置かない。制空権を敵に握られた地域の地上兵力はヤバいことが、湾岸戦争でわかった。現在すでに、海兵隊は沖縄からグアム、オーストラリアに下がり、分散配置されている。

米軍が撤退したら、自衛隊の武装方法も変わる。
海上自衛隊のP-3Cやイージス艦は、米軍の空母を守るためにある。航空自衛隊のF-15は、日本の制空権確保のためにいる。空自のF-15が制空し、三沢の米空軍のF-16が爆撃する。だから、在日米軍がいなくなったとき、日本が単独で防衛できる兵器システムになっていない。

台湾が中国のものになると、ドミノ倒しのように均衡が崩れていく。そのとき、米軍との戦力バランスは完璧に中国に傾く。習主席の中国は2020年頃に台湾を手に入れるだろう。
習主席は、台湾を取り戻して自国のものとして、さらに、かつて中国を侵略した日本に復讐し、アジア全域を支配下に置くという国家指針を持っている。

中国に空母が3隻揃うと、台湾に軍事侵攻を開始する。
2024年から2025年頃に、現在の練習空母遼寧に加えて、プラス2隻で、空母3隻体制が整う。
ただし、中国が最新空母を造るには、経験と技術を有するロシアの軍事協力が不可欠である。中ロ関係が崩れれば空母はできない。

台湾が中国に獲られなくても、沖縄・嘉手納基地の航空優勢が崩れるケースがある。中国空軍が保有するスホーイ系戦闘機が2000機を超えれば、極東の兵力が米軍1に対して中国軍3となり、沖縄米軍は後方に撤退するだろう。スホーイ系戦闘機、ロシアから輸入したSu-27の中国版J-11Bは、長射程の空対空、空対艦ミサイルを搭載可能で、航続距離4000キロを超える。
中国の経済成長率が落ち続けているので予測が非常に困難だが、2020年には2000機になるだろうとアメリカは予測している。

従って、沖縄の米軍は順次後方に下がる。
辺野古に移設予定の海兵隊ヘリコプター部隊はフィリピンに移動する。沖縄のグリーンベレーもフィリピンに行く。

横須賀の米第7艦隊は絶対に必要。
現在、中国は800~900のミサイル発射台を持ち、そのうちの100~150が在日米軍向けと予測される。第7艦隊の攻撃型原潜にはトマホークが200発搭載されている。ターゲットリストには中国の司令部とミサイル発射台100~150の情報すべてが入っている。だから、ミサイルは潰せる。横須賀の第7艦隊はまだ大丈夫。
中国海軍が潜水艦発射型弾道ミサイルJL-2のような長距離高性能ミサイルを200発、実戦配備するまでだが。横須賀を攻撃できるようになるのは2035年頃だろう。そのときは、フィリピンのスービック基地に横須賀と同様の施設を造って、フィリピンと横須賀に第7艦隊を分散させる。

米議会は、金のかかる空母の数を減らそうとしている。結果、横須賀から第7艦隊が撤退する。そのとき、日本に空母用のF-35Bを買わせて、軽空母を持って良いよ、となる。

2007年、中国は衛星撃墜実験をして成功させている。2013年に打ち上げた衛星はロボットアーム付きで、別の衛星に接近してそれをつかむ実験をしている。
米軍のすべての兵器・通信機器は、宇宙の衛星がないと動かないものばかりだ。米国の軍事衛星を中国に攻撃されたら、米軍は全く機能しなくなる。中国はまさにそれを狙っている。それをやられたら、在日米軍はその前にハワイまで下がる。

2014年1月に中国が実験したマッハ10の速度をもつ超高速飛翔体WU-14のような新兵器が登場したときもハワイまで下がる。
米国大統領に、「在日米軍の撤退」を掲げている共和党のロン・ポール元連邦下院議員のような人物が当選した場合も、大統領命令で即撤退する。

《在日米軍撤退後に日本自衛隊が具備すべき軍備》
今、中国の戦闘機ははJ-11B(中国版Su-27)で、能力はF-15を超えているかもしれない。さらにSu-35になると完璧にF-15を凌駕する。これに自衛隊が対抗するには迎撃能力を高めるしかない。衛星、グローバルホーク、AEW早期警戒機、レーダー、次に優秀なAWACS早期空中警戒管制機の運用。必要なのが長距離・高速で敵機を撃破できるミサイル。中国機2000機に対して、我が方は700機必要。
米国の専門家は、日本はF-15SEが最適だろうといっている。ミサイルが機内に内蔵され、正面からのレーダー反射面積はF-22と同じ。F-35を待つ間、F-15SEで,繋ぎを買うべきだとの意見。
イージス艦をミサイル迎撃に使うのではなく、本来の戦闘機撃墜用に使う。基地防衛にパトリオットを投入する。

海自は、いずも型(26000トン)、ひゅうが型(19000トン)のヘリコプター搭載護衛艦に、F-35Bを搭載して4個軽空母機動部隊を造る。搭載機数は合計で40機。対潜哨戒機も増強する。
中国空母が日本近海に現れたら、F-2戦闘機に対艦ミサイルを搭載して出撃する。
海自の軽空母は何隻かやられるが、中国空母を最低1隻撃沈し、艦載機のほとんどを撃墜すればよい。そのあとに米軍が出てくる。

対中国は統合空海戦闘だから、陸上兵力の出番はない。もし陸上兵力が必要な状況に陥ればその時点でもう、100%勝負はついている。

Jマリーン水陸両用団は、1500名でよい。
陸自で本当に使えそうなのは、宇都宮の中央即応連隊、九州の水陸両用団の基幹連隊になる西部方面普通科連隊、習志野第1空挺団、松本の山岳レンジャーであり、あとは要らない。
日本に戦車は1台も要らない。
ストライカー(機甲車両)旅団がアメリカに3個あるので、その1個旅団分の装備を買い取るのだ。日本の国産車両より安くて性能は上だ。しかもC-130輸送機で空輸できる。
日本の陸自に必要なのは機動力と展開力だ。米軍の第160特殊作戦航空連隊ナイトストーカーズのような航空部隊が必要。さらにMV-22オスプレイ。
旅団には、CAS(近接航空支援)能力と、JTAC(統合末端攻撃統制官)が必要。1個小隊に2名ほしい。
各方面隊に沖縄を含めて6個旅団必要。オスプレイは各旅団に10機、補用2機の計12機。1個旅団で兵員が600名。
第1空挺団などを含め、全体で7200人。陸自はこれで十分。これに戦闘支援、後方支援を含めると、総兵力は5万人。

これにより、日本は中国にとって攻めがたい国になる。中国は勝てると判断するまでこない。絶えず日本が準備して、中国が勝てない国になっていれば、来ない。
-----------以上--------
コメント (11)
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