弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

郵政見直し・歳入庁・米NRC議事録、南スーダン

2012-02-26 15:18:52 | 知的財産権
ちょっと古新聞になりましたが、2月23日の朝日新聞朝刊は論点満載でした。

郵政法案なお隔たり 「4社体制」合意 金融2社株焦点
『日本郵政グループのあり方をめぐる議論がようやく動き始めた。公明党が見直し案をまとめ、政府案に抵抗してきた自民党も議論を開始。「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」の2社にどこまで政府の関与を残すかが焦点だ。』
『郵政民営化の見直し議論の先行きが見通せないなかで、日本郵政グループの経営は悪化を続けている。』
グループ全体では郵貯と簡保の利益のおかげで黒字を保っていますが、郵便事業会社の赤字はいかんともしがたい状況です。
その金融2社も次第に体力を奪われています。従来の完全民営化路線がストップし、新規業務に「待った」がかかっているため、「がん保険」など売れ筋商品を出すことができません。
--- 以上新聞記事---
私は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命は、民営化して普通の健全な金融会社に生まれ変わるべきと考えています。健全化のために縮小が必要であれば縮小すべきでしょう。郵便事業会社の赤字補填の財源会社であってはなりません。
金融2社の健全化さえ実現できれば、郵便事業会社が国有化に戻ろうが何しようがとやかく言いません。
今のままでは、どっちつかずでどんどん悪くなるようです。


「歳入庁」見えぬ道筋 一体改革控え議論急ぐ
『政府と民主党が、日本年金機構(旧社会保険庁)と国税庁を統合した「歳入庁」の創設に向けた検討に入る。2009年の衆院選マニフェストに明記された公約の具体化に、ようやく動き出した形だ。だが、新しい年金制度などの姿が固まらないなかの議論だけに、いつ、どう実現できるかは見通せていていない。』
社会保険料を集める日本年金機構と、税金を徴収する国税庁を一本化して歳入庁にすれば、徴収費用を抑えられ、徴収漏れを防止できることかはぜひ着手すべきである、というのは高橋洋一氏やみんなの党の所論でもあります。
民主党はマニュフェストに掲げていながら、今まで封印してきました。財務省から抑えられているから、という説明でした。さて、歳入庁は実現に向けて動き出すのでしょうか。

「必要なのは水、水だ」 米、福島原発事故時の対応公開
『米原子力規制委員会(NRC)は21日、東京電力福島第一原発の事故が起きた昨年3月11日から10日間の対応について、会議や電話などでの職員らのやりとりを公開した。ヤツコ委員長は1~3号機で炉心溶融が起きた懸念を抱いていたほか、4号機の燃料プールの水がなくなっているとの判断が、80キロ圏内の米国人への退避勧告につながったことが記録されていた。』
公開文書は3千ページを超える分量だそうです。電話応答記録まで含まれているのですね。
日本政府が原子力災害対策本部や東電との統合本部の記録を残していなかったこととの対比があまりにも鮮明です。

南スーダン 首都以外にもニーズ
『昨年7月に独立した南スーダンの国造りは始まったばかりだ。インフラが貧弱で、生活を支えるのは家畜だけといったちほうも少なくない。国連平和維持活動(PKO)にあたる陸上自衛隊の主力部隊が首都ジュバで活動を開始したが、地方にこそ支援が必要との声も聞こえる。』
『派遣隊員は拳銃や自動小銃、機関銃を携行するが、現行の基準では武器の使用は隊員の身を守るためなどに限られる。政府内ではジュバ以外での活動も検討されたが、武器使用基準が緩和されていない中、治安が不安定な地域で活動することは、不測の事態に対応できなくなる恐れがあるとして見送られた経緯がある。』

このブログでは、自衛隊の南スーダン派遣について「J-Wave瀬谷ルミ子さん」、「自衛隊施設部隊が南スーダンPKO派遣」、「南スーダンでのJCCP活動」で話題にしてきました。
そもそも、去年の夏に国連から南スーダンへのPKO派遣を打診され、派遣することが決まりました。
瀬谷さんが防衛省の人たちと接した印象では、日本も防衛省も、日本がどういう目的・スタンスで陸自施設部隊をPKO派遣するか、はっきりしていなかったようです。
瀬谷さんの発言:
『派遣するしないの前に、日本が南スーダンにどういう目的で自衛隊を派遣するのかというところが大事なんじゃないかと思っています。今、国連のPKOで部隊を派遣している国って、ほとんど全部途上国なんです。先進国は派遣していない。途上国というのは、国連PKOに部隊を派遣することで国連から給与、謝金も入ってくるのと、国としての実績もできるからということなんですけど。じゃあ日本がその中に混じって今、自衛隊を派遣するというのは、日本として世界にどういうかかわり方をしていきたいと思っているからか、というのを、あまり議論されていないのと、おそらく防衛省の中でもはっきりしていないなあ、というのが、実際に話をしていて感じます。』

陸自PKO派遣でまず問題となるのが武器使用基準です。今回も武器使用基準は緩和しないとのことです。そうすると、安全な場所でしか活動できません。南スーダンの首都ジュバは治安が安定しているから、そこで活動するようです。そうとしたら、なぜ自衛隊でなければならないのか、わからなくなります。結局、武器使用基準があるから危険な場所には出て行けず、自衛隊でなくても活動可能な場所で活動することになります。
朝日新聞の記事は、「南スーダンではもっと危険な場所にこそ派遣の意義がある」と述べていますが、そもそも武器使用基準を変更できない状況の中で、先進国としての日本がPKOとして軍隊を派遣する意味合いをどのように位置づけるのか、そこから議論していくべきでしょう。
コメント
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