弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

エルピーダが会社更生法適用申請

2012-02-28 19:52:18 | 歴史・社会
昨日このブログを訪問された方の数が2000人を超えました。キーワードは「坂本幸雄」です。
坂本幸雄でググってみたら、何と1ページ目の3番目に当ブログの記事「NHKプロフェッショナル・坂本幸雄」(2007-05-13)が載っているではないですか。5年も前のブログ記事です。時の人である坂本幸雄氏に関する記事が、そんなに枯渇していたのでしょうか。

「オファーを待っていたが…」経営破綻のエルピーダ、坂本社長は当面続投
産経新聞 2月27日(月)20時15分配信
『会社更生法の適用を27日に東京地裁に申請した半導体メモリー「DRAM」の専業メーカー「エルピーダメモリ」の坂本幸雄社長が同日夕、東京証券取引所で記者会見。経営破綻したことを謝罪するとともに、理由などを説明した。自身を含む現経営陣は当面全員が残留することを明らかにした。弁護士の監督のもと、事業継続とともにスポンサー企業探しなど、会社再建に当たる。
同日、会社更生法を申請したことについて、坂本社長は「製品価格の下落や円高などが原因だ」と説明。そのうえで「(資本提携の交渉相手から今日を期限に)オファーを待っていたが、具体的な回答がなかった。金融機関からの借り換えも難しく、このまま再建を続けても、キャッシュフロー面でリスクが高いと判断した」と説明した。』

改めて私のブログ記事を読み直してみました。

エルピーダメモリーは、日立とNECの半導体部門が合体して1999年に設立され、その後三菱電機も参画しました。エルピーダ誕生前、日立とNECの合計シェアは16%程度であったものが、2003年に坂本氏が入ったとき、シェアは2%まで落ちていました。
坂本氏は経営不振のエルピーダメモリ社長となり、5年前のNHK番組によれば「短期間で黒字化を達成し、今も会社を躍進させている」ということでした。
私はブログ記事の最後に
『番組によると、エルピーダは台湾メーカーと合弁で台湾に最新工場を建設しています。70nmルールという最先端の微細技術を使うそうです。これからもつまずくことなく、エルピーダが躍進することを祈念します。』
と書いたのですが、祈りは通じませんでした。
この5年間は、エルピーダメモリにとって茨の道だったようです。

最近はエルピーダの経営不振が言われる中、資本提携先として探っていたマイクロンのCEOが突然墜落死(2012.2.4産経新聞)したことが影響したかも知れません。また経産省の元審議官でエネ庁の次長がエルピーダ株のインサイダー取引容疑で逮捕されたことも、経産省の働きを鈍らせたという評論があります。

会社更生法を申請したことについて、坂本社長は「製品価格の下落や円高などが原因だ」と説明しました。
円高が原因、ですか。
高橋洋一氏は、デフレ脱却と円高是正のためには、日銀がインフレ目標に取り組むことと必要十分な金融緩和を行うことが必要だとずっと訴えてきました。最近パナソニックとソニーが巨額の赤字を計上した際には、「お気の毒なことです」と発言していました。日銀が円高を放置し、その犠牲になったという意味でしょう。
その流れでいえば、エルピーダメモリの破綻は日銀による円高放置の最たる犠牲者になった、ということになります。
あと半年早く、日銀によるインフレ目標のアナウンスと10兆円の追加緩和を行っていたら、はたしてエルピーダはどのような道を辿ったのでしょうか。
コメント (2)
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