弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

J-Wave瀬谷ルミ子さん

2011-10-14 00:51:28 | 歴史・社会
瀬谷ルミ子さんのブログで『ラジオJ-Wave「Jam the World」出演、テレビ東京「地球VOCE」出演!』という紹介がありました。
放送日時:10月12日(水)20時~22時
「紛争地での活動のうち、南スーダンへの自衛隊派遣やソマリアについて中心にお話をする予定です。」

放送局の案内はJ-WAVE JAM THE WORLDの10月12日世界の紛争について(ゲスト:NPO「日本紛争予防センター」 事務局長 瀬谷ルミ子さん) に紹介されています。
実際の放送は、電波ではなくインターネットのラジオ配信で聴取しました。

瀬谷さんのブログで紹介された「南スーダンへの自衛隊派遣やソマリアについて」のお話に興味があったのですが、放送の前半は司会者の
「瀬谷ルミ子さんってどんな人?」
「瀬谷ルミ子さんの凄さは、どうやって身につけてきたの?」
という興味を中心に番組は進められ、私が聞きたい内容は後半の半分のみに限定されました。こればかりはしょうがないですね。

それでは、番組の後半部分を文字起こししましたのでご覧ください。
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男司会:Jウェーブブレークスルー。今夜は武装解除紛争予防のプロ、NPO日本紛争予防センター事務局長の瀬谷ルミ子さんをお招きしています。

男司会:日本が(自衛隊を)南スーダンへPKOを派遣するかどうか、検討中ということになっていますが、瀬谷さんはこのことについてどうお考えですか。
瀬谷:はい、実際、南スーダンにも私たちの事務所がありますので、第一次調査団の方たちは、そちらに派遣されている日本人の駐在員にも会っています。派遣前にも南スーダンのことについて防衛省に説明に行ったりもしています。
派遣するしないの前に、日本が南スーダンにどういう目的で自衛隊を派遣するのかというところが大事なんじゃないかと思っています。今、国連のPKOで部隊を派遣している国って、ほとんど全部途上国なんです。先進国は派遣していない。途上国というのは、国連PKOに部隊を派遣することで国連から給与、謝金も入ってくるのと、国としての実績もできるからということなんですけど。じゃあ日本がその中に混じって今、自衛隊を派遣するというのは、日本として世界にどういうかかわり方をしていきたいと思っているからか、というのを、あまり議論されていないのと、おそらく防衛省の中でもはっきりしていないなあ、というのが、実際に話をしていて感じます。
日本自体あまりPKOへの派遣実績がないので、自分達が何ができるのだろうと、防衛省の方たち自体が不安がっている。実際派遣される方たちも。派遣するからには将来に備えて経験を積む、という意味で、PKOに日本が今後PKOを通じた貢献をしていくという方針があるんだったら、その一歩としては私はいいんじゃないかと、思うのですが。
アフリカ自体が、今後アフリカ人でPKOをやっていこうという流れが起きているので、将来的に日本が、アフリカの人たちが自分達でPKOできるように技術移転のようなふうにしていくことが求められているんです。じゃあ、日本の自衛隊はその意味、どういう風に現地にノウハウを、どんなノウハウを伝えていていくんだろうということが、わからないまま、とりあえず実績づくりで。

男司会:基本的にイラクに行ったときも、インフラ整備みたいな、道路作ったりとか、そういうことが多かったように記憶していますが、今回も基本的には後方支援、インフラ整備というのが主眼ということで聞いていますけれども、実際には南スーダンの中でもまだ部族紛争は続いていると聞いたことがあるのですが。その中に日本のPKOが入ったときに、どうなんでしょう。インフラ整備だけでOKということになるんでしょうか。
瀬谷:本当であれば、そういう部族紛争の解決のために、部族紛争が起こる問題が例えば水場が足りないとか、井戸が足りないというときは井戸を提供することで問題解決したりというやり方もあるので、そういう意味でのインフラ整備だったらありだと思うんですね。ただ、実際にそこまではまだ想定していないし、そういう経験もないというのがひとつと、今のところ自衛隊が派遣される予定の地域というのが南スーダンの首都で、部族紛争というよりも基本的に大都市なんですね。なんで、部族紛争のニーズもほとんどない一番安全なところに派遣して。後方支援という意味で、ニーズはないわけではないんでしょうけど。本当に平和目的で貢献するのであればもっと周辺の本当に対立が起こっている地域にどう貢献をしていくのか、ということを中長期的に考えていく必要があります。

男司会:その紛争が起こっている地域によく議論になる、この間の前原政調会長が、武器使用緩和について言及されていましたが、重装備でPKOに当たった場合に、逆に敵と見なされるケースがあるという風にも一部報道されたりしますが、そのあたりはどうなんでしょうねえ。
瀬谷:基本的な武器の装備は、PKOの枠組みで派遣されるんだったら私は必要だと思うんですね。そうでないと、逆に他の国やほかの軍が守ってあげなければいけない存在になるので。
日本の場合、今のところ、PKOで自衛隊を派遣する場合と災害で派遣する場合で、同じ国に派遣したとしても、PKOは武器を持って行けるけれど災害派遣でいった場合は持って行けないというジレンマがある。災害派遣の場合もパキスタンのような危ない国に行くときは武器を持てるようにしなきゃいけないんじゃないかという議論が起こっている。
派遣の目的が日本の実績造りであっても、現地にどう貢献していくかという意味で、お荷物にならないように、ということが必要ですね。そこが担保できないのであれば、行くべきではない。そのぐらい重い責任と決断が求められるというものであると踏まえなければいけない。

女司会:南スーダンに限らず、例えば紛争予防とか武装解除というのはすごくスムーズに行かないこともあると思うんですが、それはいかがですか。
瀬谷:そうですね。自分達が良いことをしていると思いすぎてしまうのがやっぱり間違いの元だと思うんですね。先程話に出た自衛隊もそうですし、PKO自体の派遣存在も、現地の人にとってはPKOが逆に攻撃の対象になったりすることもあったり。私たちがよかれと思ってすることが、武装解除もそうなんですが、兵士の更生ばかり考えていると被害者が不公平に感じて、その社会に、兵士・加害者の方が得をするんじゃないかという価値観を植え付けてしまうこともあるので。
女司会:バランスって大切ですね。

男司会:なかなか、いずれにしてもきれいにスムーズに最後まで終わるということはいいような気がするのですが、一番これが困ったという体験というのはありますか。
瀬谷:困ったこと、まあ、細かい話だったら、いくつもあるんですけど、一番最近の例でいうと、ケニアで暴動の被害者の避難民になった人たちが新しく村を立ち上げたときに、そこに水のパイプを引いてくる支援をしたときなんですけど、水のタンクをどこに置くかで村の中が揉め始めて真っ二つになってしまって。うちは紛争予防センターなのでなんとか予防しなきゃと。村が二分し始めたときに、たまたまパイプが盗まれる事件が起こって、その犯人探しで村人が一致団結して。結局逆に問題解決したということがあった。
やっぱりそのときも、私たちが何か現地に提供しようと思ったことがきっかけで争いが起きてしまうということもあるので、そこできちんと対話して解決できるようなところまで持ってかないで、そのまま諦めて出て行ってしまう団体もあるので、そこは関与したものの責任としてきちんと見届ける必要があります。

男司会:これだけの経験を積んでこられて、私よりも二十歳も若いんですが、私の54年は何だったのか。
瀬谷:そんなこと言わないでください。
男司会:瀬谷さんが仕事を進める上で、常に大事にされていることは何ですか。
瀬谷:本当にいつも言ってしまうことなんですが、やらない言い訳をしないようにするというのは、私の中で基本的なポリシーとしてあるんですね。結構こういう仕事って、紛争解決の仕事って、難しいのが前提なんですよね。明らかに難しい。なので、そこであれは大変だとか、これはちょっと難しいというのをはなからいってたら、何も解決しないですよね。なので、問題があるのが前提で、それをどう解決していくかというのを考えなければいけないので。その姿勢がない人がチームにいると何も動かなくなってしまう。
男司会:耳が痛いですね。
瀬谷:自分で実践できているから。定かではない。ただ同時に、やらない言い訳と、できないことって違うので。できないことをできると言っちゃいけないんです。
男司会:当然だと思うんですが。よく日本人の駐在員が現地の社員に突き上げられて「イッツソーディフィカルト」と必ず答えちゃうんです。それを思い出しました。

女司会:今日放送を聞かれて興味を持たれた方もたくさんいらっしゃると思うんですが、先月、瀬谷ルミ子さんの本が出版されていまして、タイトルは「職業は武装解除」まさに今の、職業に就こうと思ったきっかけとなる一枚の写真があるのですが、その写真も載っていたりして。今までの瀬谷さんの活動というのもよくわかりやすく書かれているんですが、ぜひ興味ある方、この「職業は武装解除」ご覧になっていただきたいと思います。
瀬谷さん、今日はお忙しい中、どうもありがとうございました。
瀬谷:どうもありがとうございました。
--以上----------------------
なお、瀬谷さんの「職業は武装解除」を拝読した感想(というかレジュメ)を、その1その2として記事にしています。
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