村上春樹「1Q84」がベストセラーになっていますが、まだ読んでいません。私は本を買うときは文庫本を買うことにしていまして、まだ文庫本が出版されていないためです。
ところで、作者自身「執筆の動機として、ジョージ・オーウェルの近未来小説『1984年』を土台に、近過去の小説を書きたいと以前から思っていたが」と語っているようです(ウィキ)。
そこで、「1Q84」の文庫本が発行されるまでの間を利用して、オーウェルの「1984年」を読んでみることにしました。
「1984年」は1949年に発表された小説です。
私は学生時代、SF全集に集録された「1984年」を所有していたのですが、今はもうありません。その代わり、「1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)」が書棚にあります。奥付を見ると、昭和59年印刷で、つまり1984年に書店に並んだ本であるということです(下の写真)。
一方で定価が480円なのにカバーに「¥240」のラベルが貼ってあり、古本屋で購入したことも明らかです。どのような経緯で私の手許にあるのか、もう覚えていません。
いずれにしろこの文庫本は、字が小さすぎて現在の私には読むことに困難を感じます。仕方ないので、新しく文庫本を購入しました。
私は、学生時代にこの小説を読んでいたつもりになっていたのですが、今回読んでみてわかりました。以前読んだとしても最初の数ページ程度にすぎず、何も理解していなかったということが。
1945年に第二次大戦が終了した後、どのような経緯かはわかりませんが、1984年当時、この地球の人間世界は3つの超大国によって分割統治される星になっていたのです。アジアの大部分とヨーロッパ大陸全土(英国を除く)がユーラシア、南北アメリカの全部と英国がオセアニア、東アジアの地域(日本や中国を含む)がイースタシアという超大国です。
そのうちの旧イギリスはロンドンに一人で住むウィンストンという39歳の男性が主人公です。オセアニア住人ということになります。
ユーラシアは、スターリンのソ連がそのままアジアからヨーロッパ大陸全土を制覇したような国になっているようです。しかし小説の舞台はオセアニアであるため、ユーラシアやイースタシアがどのような政治体制と人びとの生活になっているかは一切わかりません。何しろ国の間の人の行き来が完全に遮断されているらしいのです。
この小説の舞台であるオセアニアは、米国や英国が主体であるにもかかわらず、やはりどんないきさつか分かりませんが、「党」の一党独裁国家になっているのです。イデオロギーは「イングソック」と名付けられ、「イギリス社会主義」がベースになっているらしいことがうかがえます。
オセアニアの人間は、上層(党中枢)、中間層(党周辺)、下層(プロール)に厳然とわかれた階級社会になっています。「プロール」とは「プロレタリア」から来ているのでしょうか。主人公のウィンストンは中間層に属します。
中間層の人たちは、生活のすべてが監視されています。ウィンストンのアパート居室には「テレスクリーン」が配置され、行動はテレスクリーン内の監視カメラで常に監視されています。この国では「心の中で何を考えているか」までもが支配の対象となっているのです。現在の一党独裁体制に不満であると心の中で考えただけで、粛正の対象となります。
ウィンストンの母親、そしてその後に父親も、ウィンストンが小さい頃、ある日忽然と姿を消しました。粛正されたに違いありません。
ウィンストンはこのような国家体制から逃れたいと考えます。そして、党中枢に近い地位にいるオブライエンも同じ志をもっているのではないかと推測していました。そのオブライエンからある日、誘いがかかるのですが・・・。
いやはや、オーウェルの「1984年」がこのような展開をたどる小説だとは知りませんでした。
取り敢えず、1984年を読んだことで、「1Q84」に取りかかる準備は完了しました。あとは「1Q84」の文庫本が売り出されるのを待つだけです。
ところで、作者自身「執筆の動機として、ジョージ・オーウェルの近未来小説『1984年』を土台に、近過去の小説を書きたいと以前から思っていたが」と語っているようです(ウィキ)。
そこで、「1Q84」の文庫本が発行されるまでの間を利用して、オーウェルの「1984年」を読んでみることにしました。
「1984年」は1949年に発表された小説です。
私は学生時代、SF全集に集録された「1984年」を所有していたのですが、今はもうありません。その代わり、「1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)」が書棚にあります。奥付を見ると、昭和59年印刷で、つまり1984年に書店に並んだ本であるということです(下の写真)。
一方で定価が480円なのにカバーに「¥240」のラベルが貼ってあり、古本屋で購入したことも明らかです。どのような経緯で私の手許にあるのか、もう覚えていません。
いずれにしろこの文庫本は、字が小さすぎて現在の私には読むことに困難を感じます。仕方ないので、新しく文庫本を購入しました。
一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)ジョージ・オーウェル早川書房このアイテムの詳細を見る |
私は、学生時代にこの小説を読んでいたつもりになっていたのですが、今回読んでみてわかりました。以前読んだとしても最初の数ページ程度にすぎず、何も理解していなかったということが。
1945年に第二次大戦が終了した後、どのような経緯かはわかりませんが、1984年当時、この地球の人間世界は3つの超大国によって分割統治される星になっていたのです。アジアの大部分とヨーロッパ大陸全土(英国を除く)がユーラシア、南北アメリカの全部と英国がオセアニア、東アジアの地域(日本や中国を含む)がイースタシアという超大国です。
そのうちの旧イギリスはロンドンに一人で住むウィンストンという39歳の男性が主人公です。オセアニア住人ということになります。
ユーラシアは、スターリンのソ連がそのままアジアからヨーロッパ大陸全土を制覇したような国になっているようです。しかし小説の舞台はオセアニアであるため、ユーラシアやイースタシアがどのような政治体制と人びとの生活になっているかは一切わかりません。何しろ国の間の人の行き来が完全に遮断されているらしいのです。
この小説の舞台であるオセアニアは、米国や英国が主体であるにもかかわらず、やはりどんないきさつか分かりませんが、「党」の一党独裁国家になっているのです。イデオロギーは「イングソック」と名付けられ、「イギリス社会主義」がベースになっているらしいことがうかがえます。
オセアニアの人間は、上層(党中枢)、中間層(党周辺)、下層(プロール)に厳然とわかれた階級社会になっています。「プロール」とは「プロレタリア」から来ているのでしょうか。主人公のウィンストンは中間層に属します。
中間層の人たちは、生活のすべてが監視されています。ウィンストンのアパート居室には「テレスクリーン」が配置され、行動はテレスクリーン内の監視カメラで常に監視されています。この国では「心の中で何を考えているか」までもが支配の対象となっているのです。現在の一党独裁体制に不満であると心の中で考えただけで、粛正の対象となります。
ウィンストンの母親、そしてその後に父親も、ウィンストンが小さい頃、ある日忽然と姿を消しました。粛正されたに違いありません。
ウィンストンはこのような国家体制から逃れたいと考えます。そして、党中枢に近い地位にいるオブライエンも同じ志をもっているのではないかと推測していました。そのオブライエンからある日、誘いがかかるのですが・・・。
いやはや、オーウェルの「1984年」がこのような展開をたどる小説だとは知りませんでした。
取り敢えず、1984年を読んだことで、「1Q84」に取りかかる準備は完了しました。あとは「1Q84」の文庫本が売り出されるのを待つだけです。