弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

弁理士試験科目免除

2007-12-24 09:03:28 | 弁理士
弁理士法改正により、平成20年度弁理士試験以降は、論文必須科目が合格した日から2年間、論文式試験(必須科目)が免除されることになりました。
ここで、必須科目の免除は、「特・実・意・商」の全科目がひとまとまりなのか、それとも特実、意、商のそれぞれが別の科目なのかが不明確でした。
もし全科目ひとまとまりだったら(①)、特実、商で合格点に達しても、意匠法試験が合格レベルに達していなかったら全体として不合格であり、翌年に全体を受験しなければなりません。
しかし、特実、意、商がそれぞれ別科目なら(②)、特実、商で合格点、意匠法のみ不合格点だった場合、翌年は意匠法のみを受験すればいいことになります。

11月に「弁理士法施行規則の一部を改正する省令案」が公表されました。この省令案を読んで、私は上記①ではなく、②であると読みました。11月1日に弁理士試験免除科目で紹介したとおりです。

12月21日に、平成20年度弁理士試験のご案内弁理士法施行規則の一部を改正する省令 (平成19年12月21日経済産業省令第76号)が同時に公表されました。省令の方は、11月に公表された省令案から変わっていないようです。
ところが、「弁理士試験のご案内」に掲載されたパンフレットを読むと、省令案から私が推測した結論とは逆の結論でした。上記①であることが明示されているのです。
パンフレット抜粋
「次のいずれかに該当する場合は、論文式試験(必須科目)が免除されます。 
■前年度の弁理士試験の筆記試験合格者(ただし、前年度の筆記試験免除者を除く)
 ※この免除制度の適用は、平成20年度弁理士試験を最後に廃止されます。
■特許庁において審判、審査の事務に5年以上従事した者
★論文式試験(必須科目)合格者(平成20年度合格者から適用)
平成20年度弁理士試験以降の論文式試験の合格発表の日から2年間、論文式試験(必須科目)が免除されます。
※論文式試験(必須科目)の合否は、「特許・実用新案」、「意匠」、「商標」3科目一括で判定します。」

そういうことですか。
弁理士法と弁理士法施行規則の構造は以下のようになっています。

弁理士法(平成20年4月施行)
第十条2項  論文式による試験は、短答式による試験に合格した者につき、次に掲げる科目について行う。
一号  工業所有権に関する法令

第十一条 次の各号のいずれかに該当する者に対しては、その申請により、それぞれ当該各号に掲げる試験を免除する。
二号 論文式による試験において、前条第二項第一号に掲げる科目について「審議会」が相当と認める成績を得た者 当該論文式による試験に係る合格発表の日から起算して二年を経過する日までに当該科目について行う論文式による試験

弁理士法施行規則
(試験科目の内容等)
第三条の二 弁理士試験の科目のうち、法第十条第二項第一号及び同条第三項の科目については、次の各号に掲げる法令に分けて行う。
一号 特許及び実用新案に関する法令
二号 意匠に関する法令
三号 商標に関する法令

上記弁理士法11条2号で免除「科目」について規定し、施行規則3条の2でその「科目」を1号~3号に分割した意味合いは、「免除の判断を特実・意匠・商標の各科目ごとに行う」ということだと理解したのですが、その理解が正しくなかったということになります。
施行規則の最終版と弁理士試験案内とを同じ日に公表したということは、両者の整合性をとった上で発表されていると考えるべきでしょう。
コメント
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