yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

金子みすゞ

2009-10-02 07:12:11 | 文学
  童謡詩人 金子みすゞは、本名金子てる。明治36年(1903年)に山口県長門市仙崎漁港に生まれ、そこで育ちました。その地で、彼女は下記の有名な詩を書いています。

    お魚
  海の魚はかはいさう。
  お米は人につくられる、
  牛は牧場で飼はれてる、
  鯉もお池で麩を貰ふ。

  けれども海のお魚は
  なんにも世話にならないし
  いたづら一つしないのに
  かうして私に食べられる。

  ほんとに魚はかはいさう。

    大漁
  朝やけ小やけだ
  大漁だ。
  浜は祭のやふだけど
  海のなかでは
  何万のいわしのとむらひ
  するだろう。

    わたしと小鳥とすずと
わたしが両手をひろげても、
  お空はちつともとべないが、
  とべる小鳥はわたしのやふに、
  地面(ぢべた)をはやく走れない。
  
  わたしがからだをゆすつても、
  きれいな音はでないけど、
  あの鳴るすずはわたしのやふに
  たくさんなうたは知らないよ。

  すずと、小鳥と、それからわたし、
  みんなちがつて、みんないい。

上記は金子みすゞの代表的な詩ですが、子供の心で作った純真な詩です。彼女は大正末期に優れた作品を発表して、西条八十に「若き童謡詩人の巨星」とまで賞賛されました。しかし、実際には書いても、書いても、発表の邪魔をされたりしたようで、古書店に勤めながら細々と生計をたてていました。作品が発表されない事を悲観したこともあって26歳の若さで自ら命を絶ちました。まことに薄幸の生涯でした。死後、約500の作品は散逸しましたが、五十余年の時を経てその作品の全貌が明らかになり、今では天才詩人と注目されるようになりました。
  

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