yoshのブログ

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林間煖酒燒紅葉 白居易

2023-11-26 06:29:52 | 文学
中唐の詩人 白居易の漢詩を紹介します。
送王十八(おうじゅうはち)帰山寄題仙遊寺
曽於太白峯前住
数到仙遊寺裏来
黒水澄時潭底出
白雲破處洞門開
林間煖酒焼紅葉
石上題詩掃緑苔  
惆悵旧遊無復到  
菊花時節羨君廻 

「読み方」
王十八(おうじゅうはち)ノ山ニ帰ルヲ送リ仙遊寺(せんゆうじ)ニ寄題ス
曽(か)ツテ太白峯前ニ住(じゅう)シ
数(しばしば)仙遊寺裏ニ到リテ来タル
黒水澄ム時 潭底(たんてい)出(い)デ
白雲破レル處洞門開ク
林間 酒ヲ煖(あたため)メテ紅葉ヲ焼(た)キ
石上 詩ヲ題シテ緑苔ヲ掃(はら)フ  
惆悵(ちゅうちょう)ス旧遊(きゅうゆう)復(ま)タ到ル無キヲ  
菊花ノ時節 君ノ廻(かえ)ルヲ羨(うらや)ム

      「訳」
     わたしはかつて太白峯の前に住み、たびたび仙遊寺へまいった。
       そこのふちは黒い水がたたえられているが、澄む時節があると底が見え
       また白雲のはれ間から洞門が見える。
       林間にモミジをもやして酒の燗をし
       石についた緑の苔をとって詩を書きつけたりしたものだ。
       悲しいかな、もう昔の遊びの場所にゆけないのだ。
       いま菊の咲く時に君がそこへ帰ってゆくのがうらやましい。

       「鑑賞」
日本でも「平家物語」に、次の話があります。風に飛ばされた紅葉を宮中の    
       役人がかき集めて、酒を温める火にくべてしまいました。「風情のわからぬやつめ」と叱られるかと思いきや、高倉天皇は「林間に酒をあたためて紅葉を焼き」という白居易のこの詩を引き、「詩情のある者よ」と感心されたといいます。このように平安時代の知識人は白居易の漢詩に親しんでいました。
   
           田中克己 「漢詩大系12 白楽天」集英社

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