yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

蘇東坡の人柄

2015-04-01 05:30:19 | 文学
詩人、蘇東坡の人柄について、宇野精一教授は次のように面白いエピソードと共に書いて
います。
赤壁の賦を残した大詩人ですから、才能は群を抜いているのですが、才気にあふれ、皮肉をいったり、人をからかったりして、無用の対立を起こしたり憎まれたりしています。有名な「前
赤壁賦」に示されるような超越的な思想の持ち主に相応しからぬ感じがする。宋代の文人として又宰相として有名な王安石が「字説」という書物を書いて、文字の構造にについてこじつけの説明をした時、東坡が「波」の意味を問い、安石が水の皮である、と答えると、それでは「滑」は水の骨ですか、といった。又、「鳩」が九と鳥とで出来ているのはどうしてだろう、と安石が尋ねると、東坡は「詩経」の「桑に止ったきじばとの、その子は七羽」とあるのを引き、両親と子供で九羽になるからだ、と答えた。安石は成程と感心したが、後になって冗談であると気がついたという。宋代一流の哲学者、程伊川は立派な学者ではあるが、あまりに厳格で窮屈な人であったので、東坡とは気が合わなかった。ある日宮中でお祝事があり、その祝賀式に参加した帰りに、丁度、司馬温公が亡くなった折であったので、一同打ち揃って悔やみに行こうということになった。伊川は「論語」にある「孔子は弔問に出かけられた日は歌われなかった」という話を引いて反対した。すると「しかし、歌を歌った日は弔問に出かけなかった、とは書いてないよ」というものがあり、東坡もさらに鄙俗な言葉で伊川をからかったので大笑いになったが、これが両者仲違いの始めとなったという。
口は禍いの元です。

     近藤光男 「漢詩大系 17 蘇東坡」 集英社
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