yoshのブログ

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部長刑事と刑事部長はどちらが偉い?

2012-03-20 06:30:36 | 文化
私達一般市民は警察組織の階級や職名には不案内なのが普通ですが、警察内では階級や職名に特に敏感であると言われています。旧軍や官僚組織にも似たところがあるかも知れません。
一般人は、部長刑事と刑事部長ではどちらが偉いかなどについては、よくわからないのではないでしょうか。実は部長刑事と刑事部長には大きな階級差があります。刑事部長がはるかに上位です。
警察組織は内閣総理大臣を頂点としたピラミッド官僚組織です。総理大臣、国家公安委員会、警察庁と続きます。その警察庁では、長官の下に刑事局などの刑事警察機構があります。刑事局、県警(本部長は警視監)、警視長、警視正、警視(警察署長を務める)、警部、警部補、巡査の順になります。
また県警には刑事部があり、ここの部長が刑事部長で階級は警視長です。事件の捜査の実務者は刑事と呼ばれる人で、普通、階級の低い「デカ」と通称される人、すなわち、巡査部長、巡査長、巡査です。なお巡査部長には「デカ長」と呼ばれる俗称があり、事件捜査の練達者ですが階級は低いようです。

私が愛読する内田康夫氏の探偵小説の主人公は浅見光彦という一介のルポライターですが、事件に首をつっこんでは、デカ長にしばしば逮捕されます。鉄格子の嵌った殺風景な取調べ室に入れられて、そこで厳しい尋問が行われます。まず、免許証を提示させられて家族関係の取り調べから始まります。
「兄の職業は?」のデカ長の問いに、光彦が「公務員」と答えると、「公務員と言うがどういう役所だ?」「警察です」と答えたあたりから、デカ長は不安になってきます。「あんたの兄さんの年齢だと警視あたりであろうか」とデカ長に聞かれ、光彦が「もっと上かな」と答えると、デカ長は怒り始め、まずいことになって来たと思い始めます。
「その上というと警視長や警視監になるが?」「もっと上」と光彦が仕草で示します。そばで、取調べの記録を取っている若い巡査が恐る恐るデカ長に、「よく国会で答弁している刑事局長殿が確か浅見さんと言われるようです」と言うに至って、とうとうデカ長は「小便、小便」と言って慌てて逃げ出します。その頃には運転免許証の住所から東京、浅見邸の当主の素性が判明して大騒ぎになっています。取調べ室の外がにわかに騒がしくなり、その警察署の署長以下の幹部が勢揃いして、浅見光彦は取調べ室から応接室に直ちに移動するということになります。刑事局長の実弟を逮捕するというのは、警察の中では、はなはだ具合が悪いことのようです。なにしろ、刑事局長は全国の刑事警察機構のトップなのですから。
例えば、水戸黄門の弟を牢獄に入れたりすると、その藩の藩主はまことに具合が悪いのに良く似ています。

さて、階級に敏感な軍隊を思い起してみますと、明治政府が欧米に留学させた秋山真之・廣瀬武夫は、若いながらも大尉で、廣瀬武夫は後に戦死して中佐になりました。
「007」のジェームズ・ボンドは海軍中佐。
 小説の主人公の人物設定において、中尉や助教授が、高からず、低からずなので適当という話もあります。
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