中唐の詩人 白楽天の五言律詩、「新春江次」を紹介します。
新春江次
浦乾潮未應
堤湿凍始銷
粉片粧梅朶
金糸刷柳條
鴨頭新緑水
雁歯小紅橋
莫怪珂聲碎
春来五馬驕
浦ハ乾(かわ)キテ潮(うしほ)未(いま)ダ應(おう)ゼズ
堤(てい)ハ湿(うるほ)ヒテ凍(こほり)初(はじ)メテ銷(しょう)ス
粉片(ぷんペン)ハ梅朶(ばいだ)ヲ粧(よそほ)ヒ
金糸(きんし)ハ柳條(りゅうじょう)ヲ刷(さつ)ス
鴨頭新綠水(おうとうしんりょくすい)
雁歯小紅橋(がんしせうこうけう)
怪(あやし)ム莫レ珂聲(かせい)ノ碎(さい)タルヲ
春来リテ五馬驕(おご)レリ
「訳」
新春の江辺の景況を述べた詩
浦曲(うらわ)が乾いて潮(うしほ)は未だ上り来らず、凍(こおり)が初めて解けて堤防が湿(うるほ)っている。
梅の枝は白い花片(はなびら)を著(つ)け、柳の枝は金糸を刷(つづ)り、
水は緑色をなして鴨の頭(かしら)の如く、朱塗の小橋は雁歯(がんし)の
如く階段をなしてゐる。
春が来たので駒が勇み、珂聲が殊に耳だって聞こえる
二句ずつ、きちんと対句になっています。春を喜ぶはなやかな詩です。
「続国訳漢文大成 文学部第十二巻 白楽天詩集三」東洋文化協会
新春江次
浦乾潮未應
堤湿凍始銷
粉片粧梅朶
金糸刷柳條
鴨頭新緑水
雁歯小紅橋
莫怪珂聲碎
春来五馬驕
浦ハ乾(かわ)キテ潮(うしほ)未(いま)ダ應(おう)ゼズ
堤(てい)ハ湿(うるほ)ヒテ凍(こほり)初(はじ)メテ銷(しょう)ス
粉片(ぷんペン)ハ梅朶(ばいだ)ヲ粧(よそほ)ヒ
金糸(きんし)ハ柳條(りゅうじょう)ヲ刷(さつ)ス
鴨頭新綠水(おうとうしんりょくすい)
雁歯小紅橋(がんしせうこうけう)
怪(あやし)ム莫レ珂聲(かせい)ノ碎(さい)タルヲ
春来リテ五馬驕(おご)レリ
「訳」
新春の江辺の景況を述べた詩
浦曲(うらわ)が乾いて潮(うしほ)は未だ上り来らず、凍(こおり)が初めて解けて堤防が湿(うるほ)っている。
梅の枝は白い花片(はなびら)を著(つ)け、柳の枝は金糸を刷(つづ)り、
水は緑色をなして鴨の頭(かしら)の如く、朱塗の小橋は雁歯(がんし)の
如く階段をなしてゐる。
春が来たので駒が勇み、珂聲が殊に耳だって聞こえる
二句ずつ、きちんと対句になっています。春を喜ぶはなやかな詩です。
「続国訳漢文大成 文学部第十二巻 白楽天詩集三」東洋文化協会