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雅号「漱石」 由来

2018-07-22 06:04:39 | 文学
夏目漱石の雅号「漱石」の由来を紹介します。由来は有名ですが、「漱石」は中国の書籍「蒙求」にある次の故事によります。

秀才の誉れの高い孫楚という男が、隠遁を決意し、親友の王済に心境を語るに、俗世間を離れ自然に親しむという意の「枕石漱流」という言葉を、ひょいと間違えて「漱石枕流」といってしまった。王済はカラカラ笑って「流れに枕することはできぬ、石で口を漱ぐことはできぬ。そんなこっちゃ、隠遁なんて無理なことよ」といった。すかさず孫楚は、「流れに枕するのは耳
を洗うためであり、石に漱(くちすす)ぐのは歯を磨くためなんだ」と屁理屈をつけて反論したという。
そこから「枕流漱石」はへそ曲り、負けず嫌いという意味の諺に用いられるようになったもの。子規がはじめ号していたものを、漱石が譲りうけた。(中略)漱石は雅号をむしろ自嘲、韜晦(とうかい)、恐縮の感をもってつけていたと見られるから、漱石もつむじ曲りで負け惜しみの強かったおのれへの自省をこめて、子規からもらい受けたものであったにちがいない。

  半藤一利 「漱石先生ぞな、もし」 文春文庫









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