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涼洲詞 王翰

2015-06-23 05:07:59 | 文学
涼洲は、現在の甘粛 武威県、節度使の任地であり、河西回廊最大の都市でした。そして、酒泉・敦煌・玉門関の外はシルクロードの世界です。古来ここは、領土を拡張して要路を確保しようとする中国と、隙あらば中国本土に進入しようとする胡との紛争が絶えない地域でした。「涼洲詞」は、こうした辺境の厳しさや遠征の苦しさを主題として唐代にできた楽府題です。次に王翰「涼洲詞」の傑作を記します。


涼洲詞    王翰(おうかん)

葡萄美酒夜光杯
欲飲琵琶馬上催
酔臥沙場君莫笑
古来征戦幾人回

葡萄の美酒 夜光の杯
飲まんと欲すれば琵琶馬上に催す
酔うて沙場に臥すとも君笑うこと莫(なか)れ
古来征戦幾人か回(かえ)る

葡萄のうま酒を夜光の杯で飲む
飲もうとすると、琵琶を馬上でせきたてるように
かきならしている
したたかに飲んで酔いつぶれ、そのままへべれけになって沙漠の上に倒れ臥してしまった
私を、諸君どうか笑わないでほしい。
昔から辺地に出征して、無事に生還できた人がどれだけいるであろうか

この詞の詩眼は「笑」です。

涼洲詞には辺地の哀愁が惻々と伝わってきます。

詩吟でもよく吟じられますが、音程が難しい詩だそうです。

石川忠久 「NHK漢詩紀行」 日本放送出版協会
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