yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

酔後題禅院

2012-09-07 06:41:32 | 文学
晩唐の詩人 杜牧の漢詩です。茶を詠ずる詩の極めつき、という作です。

酔後 禅院に題す

觥船一棹百分空
十歳青春不負公
今日鬢糸禅榻畔
茶煙軽颺落花風

觥(こう)船一棹(とう)百分空し
十歳青春 公に負(そむ)かず
今日鬢糸(びんし) 禅榻(ぜんとう)の畔(ほとり)
茶煙軽く颺(あが)る 落花の風

「訳」
大杯になみなみついだ酒を、ぐうっと飲み干す。わが青春の十年は、だれにも負けないものであった。「觥」は大杯のことをいいます。「百分空し」は全部空になること。「公」は世間という意味です。十年たって、今、鬢に白髪がまじる年になり、禅寺の榻(とう、長椅子)の前で、茶を煎る煙が落花の風にゆらぐのを、目で追っている。
後世、この詩から「茶煙鬢糸」の語が用いられるようになりました。宋の蘇東坡も茶を愛し、
杜牧の詩に似た漢詩を賦しています。

石川忠久 「漢詩のこころ」 時事通信社

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