山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

‘12年 北海道くるま旅くらしレポート <第12回>

2012-07-13 05:04:59 | くるま旅くらしの話

【昨日(7月12日)のレポート】    

≪行程≫

鶴居キャンプ場 →(道道53・R44)→ 道の駅:厚岸グルメパーク →(道道123他)→ JR厚岸駅 →(道道123)→ 子野日公園駐車場 →(道道123)→(散布原生花園?)→(道道123・R243)→ 別海町ふれあいキャンプ場(泊)  <166km>

≪レポート≫

 夜来の雨は朝になっても降り止まず、むしろ雨勢は一層強くなったようである。梅雨も終わりに近づいているのか、九州各地などでは大雨が降って川が氾濫し、大洪水になりかねないエリアがかなりあるとのニュースを見ていると、改めて近年の異常気象の恐ろしさを実感する。北海道もエゾ梅雨などと呼ばれる雨季が定着してしまった感じがするが、今日の雨も大なり小なり内地の梅雨の影響を受けているのは間違いないように思う。今日は全道が雨だというから、これから行く釧路や根室方面は霧や雨の暗い天気となるのは間違いないのであろう。くるま旅にとっても雨というのは嬉しくない天気である。

 鶴居のキャンプ場はびっしりとテントが張られて、長期滞在の人たちが雨の中でもテントの中でTVなどを楽しみながら暮らしておられるようだった。何年か前から見ると暮らし方も大分に様変わりしている感じがした。小さな集落が出来上がっている感じで、折り畳みの自転車に乗って、動き回っている人も散見される。歩けばいいのにと思うのだけど、それは余計なおせっかいというものであろう。雨の中を濡れながら少なくなっていた水を補給し、出発したのはいつもの太祖王建を見終えた10時半近くだった。先ずは釧路市街を目指す。

 鶴居村は文字通り丹頂鶴が飛来し、その保護に力を入れている村でもある。釧路に向かう途中に鶴見台という所があり、そこからは丹頂の居る様が見えるらしいのだが、まだ一度もお目にかかったことが無い。それが今日は珍しく丹頂の群れが草むらに餌をついばんでいるのに気付いて、慌ててブレーキを踏んで駐車場に車を留め、その様子を見物することにした。カメラ持参であるのはいうまでもない。10羽を超える鶴たちが一心に草むらに嘴を動かしていた。時々こちらを覗くように首を上げていたが、時々そうして貰わないと写真に変化が無くてつまらなくなってしまう。いっそ羽ばたいてくれればいいのだけど、彼らには今そんな気はない様だった。どうやら彼らは100%野生ではなく、人間との関係の濃い留鳥的な存在らしい。北海道の旅を始めて以来、これほどたくさんの丹頂を見るのは初めてである。相棒も懸命にカメラのシャッターを切っていた。思わぬ遭遇だったが、嬉しい時間だった。

 釧路の町は近づくにつれて霧が濃くなっていた。霧の町というイメージは本物だなと思った。郊外に新たにできているショッピングモールに立ち寄り買い物をする。巨大な建物と広大な駐車場もこの雨で人の出足は鈍い様で、建物の中に人は少なく、当然駐車場も所々に固まって車が置かれている程度だった。いつも思うけど、確かに巨大ショッピングモールは便利でいいけど、何だか何かが欠けている感じなのである。人間には不便さも必要なのではないか、などといったら現実を大事に考えている人からは、いい恰好するな!とおしかりを受けてしまうのだろうけど、時々そう思うことがある。天邪鬼なのはわかっているけど、効率追求、利便性充足に走りすぎる文明や暮らしの行く先にどんな世界が待っているのか、例えば我々の世代の老後という奴は、必ずしも安心に満たされたものではないように思えるのである。もしかして最終のゴールが半端な満足と渦巻く不満や遺恨の果ての認知症の様なものであったら、それは人間らしい死に方からは程遠いものとなってしまう。さりとて、不便を我慢する生き方が真の安心をもたらすかどうかは、これ又不明のことであり、これからの老計も死計も難しい。巨大なショッピングモールの所為にすることなど何もないのだけど、時々そんなことを思ってしまう。

 釧路郊外からR44に入ると次第に信号が少なくなって、間もなく通行を邪魔するもののない道路環境となった。しかし霧は依然としてまとわりついているし、雨も勢いを変えることなく降り続いているので、後続車の邪魔をしないような運転を心掛ける。といっても後続車が長い列を作るというようなことはなく、2~3台なので、登坂車線に入ると幾らでも先に行ってもらえる状況だった。釧路の次の目的地は厚岸の牡蠣の駅弁である。その前にちょっと道の駅にも寄って見たけど雨はひどいし、車はびっしり駐車しているので、直ぐにJRの厚岸駅に向かった。ここの駅弁は相棒の好物で、いつも楽しみにしている。ところが駅前にあるいつもの店には、本日は終了しましたという札が下がっていた。仕方がないので、駅の売店に行き、駅弁を買おうとしたら、今は販売していないとのこと。聞けば、駅前のいつもの店は木曜定休なのだという。というのならあの下がっている札は何なのだと言いたくなる。これらはすべて相棒から聞いたこと。牡蠣を売り物にしている厚岸の町のいわば玄関口ともいえるJRの駅弁が無くなっているというのは、一体どういうことなのかと思った。JRを利用しなくても駅弁に憧れる人間はいるのだから、定休日などを設けずともいつでも牡蠣の駅弁が手に入るように対処して欲しいと思った。(経営というのはそんなものではないという声が聞こえているのは承知しているけど)

 ということでがっかりしながら先に進んだのだが、次の目的地は霧多布湿原の一部の散布というエリアにある原生花園(といって良いのではと思っている)のハクサンチドリの咲ぶりの様子を見ることなのだが、その前にまだ昼食もとっておらず、とりあえずどこかに車を留め、ありあわせのものを食べることにしようということにした。少し行くと子野日公園というのがあり、広い駐車場があったので、そこに車を入れて止めたのだった。ふと見ると傍に食堂があり、牡蠣料理のメニューが書かれていた。駅弁を諦めていたのだけど、捨てる神あれば拾う神あり、ここに拾ってくれる神様の店が待っていたのだった。さっそく店の中に入り、相棒は牡蠣フライ定食を、自分は牡蠣丼というのをオーダーする。牡蠣フライというのはまあ定番だけど、牡蠣丼というのを食べるのは初めてだった。ご飯の上に載っているのが卵とじ風の牡蠣なのだが、これが生牡蠣の風味が生きていて、その味付けと共に真に個性のある丼になって出て来たのが嬉しかった。相棒の牡蠣フライも満足のゆくものだったようだ。思わぬ美味にありつけて、先ほどまでの厚岸に対するネガティブな思いは少し収まったのだった。他愛もない話ではある。

 その後は憧れのハクサンチドリを探して先を急いだ。昨年の今頃この道道123を通っている時に、道脇の草原に群れ咲くハクサンチドリの赤紫の花に心を奪われ、車を留めてたくさんの写真を撮ったのだったが、それを収めていたポータブルハードディスクが壊れてしまい、結局復元が叶わず不意にしてしまったのである。それを挽回するためにも、今年はどうしてもここを訪れてもう一度あの優雅な姿をカメラに収めたいと思った。しかし今日の天気は悪化の一途をたどっているようで、雨勢は益々ひどくなり、ワイパーをハイスピードにしても前が見にくい状況となって来ていた。それらしき場所まで行き探そうとしても車の中からでは、背丈の低いハクサンチドリの姿を確認することはできず、ノハナショウブやチシマフウロなどがわずかに認識できる程度なのである。それらしき場所を往復してチエックしてみたが、やはり無理だった。外に出て傍に寄って確認できるような天気ではなかった。風も急に強くなり出し、このままでは大ごとになると思い、諦めて別海のキャンプ場に向かうのを急ぐことにした。何しろ右手の草原は海に突き出た断崖の上にあり、海はすぐそこにあるのである。突風などが吹いたらたまったものではない。明日以降天気が回復したら再訪することにして、その後はひたすらキャンプ場を目指した。当たりの景色は雨の中朧に煙っており、ほとんど何も見えないといっていいほどだった。海の近くから丘の樹木帯に入って、別海町の牧場が見えるエリアに入った時は心底ほっとしたのだった。

 別海町ふれあいキャンプ場到着15時。こんなひどい雨の中のキャンプ場入りは10回以上の来訪の中で初めてのことだった。ま、天に大歓迎されたと思うことにした。馴染みの管理人ご夫妻と1年ぶりの挨拶を交わした後、雨の中をとりあえず暮らしに必要な電源の確保やTVアンテナの設定などを行う。既に5台ほどのキャブコンやバンコン(いずれもキャンピングカーと呼ばれる旅車)が留っていた。テントを張っておられる方もいたので、長期滞在の構えなのだと思う。挨拶などは明日以降に持ち越すことにした。何しろ雨は降りやまず、外に出て動き回るなどとてもできない状況なのである。大相撲の実況の終わるのを見ながらという、早めの夕食を済ませ、すべては明日に持ち越して寝床の中の人となったのだった。

【今日(7/13の予定】 

終日別海町ふれあいキャンプ場に滞在(コインランドリー他外出あり)

コメント
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