山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

'11北海道くるま旅( 第47日)

2011-07-30 04:20:52 | その他
《今日の予定》
終日別海町ふれあいキャンプ場に滞在


《昨日のレポート》
ウトロの夜は涼しく、夏を忘れさせてくれる快適さがあった。少し疲れ気味の身体には快眠は何よりの良薬である。このところ移動ばかりの毎日が続いており、その疲れが溜まって来ているようだ。気楽にその日暮らしの旅を楽しんでいると思っていても、どこかに動き回ることによるストレスなどがかかって、変化を楽しんでいるのだという意識とは無関係に身体に疲れを溜め込むというのは、生き物としての人間の性(さが)なのかも知れない。今回の北海道の旅では、あまり動き回らずに避暑的静養をと考えていたのに、一所に留まって居たのは2週間ほどしかない。当初の思惑とはかなりズレて来ている。今日中には別海町のふれあいキャンプ場に入って、今度こそ腰を据えることにしようと思った。十年来の北海道の旅では、何故か別海町が一番滞在日数が多い。里心のようなものがどこかで育っているのかも知れない。
その様なことを考えながら、ウトロでの朝一番は、オロンコ岩に登ることだった。オロンコ岩はウトロの海岸に点在する奇岩の中では最大のもので、知床八景の一つでもある。車からは10分足らずの距離だ。しかし、巨岩のてっぺんに上がるための急崖を登るのは容易ではなく、老人には息が上がってしまうほどの厳しさだ。垂直に近い壁面に最初に道をつけた人を尊敬せずにはいられない。高所恐怖症のくせにてっぺんに行きたがるのは、昨日も書いたけど此処に自生する植物たちに逢いたいからである。なるべく下の海を見ないようにして登って行くと、崖の道の目の高さにイブキジャコウソウの群落が飛び込んできた。今回一番逢いたかった野草である。丁度今が花の最盛期らしく、淡いピンクの花が、わずか数センチの草丈の頭にぎっしりと花を咲かせていた。虫眼鏡を忘れて来てしまったので覗くことは出来なかったが、カメラでもその優雅さは十分に感ずることができた。絶壁には涼しげな顔をしたツリガネニンジンがベル状の花を風にそよがせと海を見ていた。てっぺんに上が
って、トリカブトの花を探したが、まだ花期ではないらしく、花を見ることは出来なかった。オロンコ岩からは、野草たちだけではなく、眺めの方も素晴らしい。高所恐怖症を忘れてしまいそうだ。新たに造っている港の様子やゴジラ岩などウトロの町の全てが俯瞰できるのである。しばらくその景観に見とれた後、ソロリと降りるのを開始する。どうしても眼下の海を目にしないわけには行かない。極力足元だけを見るようにして、冷や汗を掻きながらの帰途だった。小1時間のワクワクの冒険タイムだった。
食事の後はゆっくりと片付けをして、出発は9時半頃となった。昨夜ここに泊まった30数台の旅車の中では我々は遅い出発の3本の指に入ると思う。日差しはかなり厳しくなって、暑さがジワリとまとわりつき出した。今日も悩まされ続けるようである。
今日は知床峠を越え羅臼に下りて、海岸線を走って標津から中標津へ向かい、少しばかり買い物をした後別海町のキャンプ場に入る予定でいる。先ずは相棒の希望もあり、知床探訪の玄関口となる知床自然センターへ。
車を留め館内で情報を確認した後、フレペの滝まで往復する。フレペの滝は海岸の絶壁に何条かの糸状になった水が流れ落ちて海に注いでおり、その姿から乙女の涙と呼ばれているとか。詳しいことは解らないけど、切り立った崖を覗き込むのはあまり得手ではなくロマンよりは恐怖の方をより多く感じてしまう。今年も草村の中に鹿たちを見られるかと期待したが、あまりに暑いせいか、彼らは森の中からは出てこないようだった。滝見台近くの道端にはナミキソウの群落が点在しており、小紫色の花を今が盛りと咲かせていた。帰り道の森の中に巨大なヒトリシズカを見つけ驚いた。関東は奥多摩辺りに自生しているのと比べて10倍くらいの大きさに見えた。北国ではヒトリシズカでさえもその存在を強く主張しているのかと思った。
知床自然センターを出た後は、知床峠に向かう。ウトロ側から行くのは初めてではなかったか。急な坂道が続いて老体になり出した我がSUN号にはかなり厳しい登りだったと思う。峠で一息入れた後は、今度は下り坂が続く。ディーゼル車はエンジンブレーキが効くので、それを最大限活かしながらゆっくりと坂道を下る。間もなく羅臼の市街に入り、道の駅で昼食休憩。黒ハモのいなり寿司というのを買ってきて食べたが、なかなか美味だった。相棒は小骨が喉にしっかり引っ掛かる人なので、心配していたが、無用だった。
昼食を終え、後は別海に向かって走るだけである。標津から右折して中標津に向かう。中標津の町で給油と買い物を済ませ、別海のキャンプ場に着いたのは15時半頃だった。半月ぶりの帰還である。この地も今日は日差しがキツくて目が痛くなるほどだ。受付を済ませた後、車をいつもの場所に留め、テントの設営を行う。長期滞在の時はテントを設けることにして、持参している。大汗を掻きながら設営を終えたのだが、ここで大問題が発生した。
発生したと言うより、発生していたのに気づいたという方が正しいのかも知れない。ポータブル冷蔵庫の100V電源用コードが無いのである。仕舞ったと思われる箇所は皆丹念に探して見たのだが、どこにも見当たらない。これが無いと、折角100Vの電源があるのに12Vで使うことになり、テントの中に移動することもできず、車内がやかましい。かなり高額で追加購入しているので、財務官の目は同情の影もなく、批判と軽蔑の光が細く強まっているのを感じた。置き忘れたのかも知れないと、念のため前回使った美深のキャンプ場に問い合わせてみたが、届け出は無いとのことだった。最近は確かに物忘れが増えて来たようだけど、この様な物を忘れるとは思われず、でもやっぱり置き忘れたのだとすれば、これはゆゆしき問題だなと思った。探すよりも病院へ行く方がニーズ大なのかも知れない。笑えない笑い話ではある。
とにかく諦めて、汗を流しに丘の上にある温泉に行くことにした。今日は久しぶりにゆったりと温泉に浸り、ぐっすり眠って明日からの別海暮らしをあれこれ思い巡らしてみたいと思っていたのだが、そういう訳にはゆかない気分である。車に戻り、どうもスッキリしない気分で一杯やって、明日に期待することにした。
コメント
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